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PA機材の使い方
(1)機器の電源を入れる順番、切る順番
練習室のシステムでは、ギター、ベース以外の音を出すためにはPA(Public Address)システムと
いう系統を通って、左右のスピーカーから音を出しています。使い方を間違えると破損を招くだけ
でなく、生命にも関わる場合があるので次のことを最低限厳守してください。
(1) 機器の電源を入れる順番、切る順番
(2) ケーブルを抜き差しするときはスイッチやボリュームが0の状態で行う
(3) 分からない時はマニュアルを読む、もしくは知っている人に聞いてみる
まず(1)は本章で説明します。通常PAシステムというのは次のような順番で音を増幅してスピー
カーから出力を行っています。(図1) それで電源を入れる時は、音が出る順番に入れていきます。
すなわち、最初に音源の電源を入れ、次にミキサー、その次にパワーアンプ、最後にスピーカー
(練習室ではボーカルとドラムの返し)の順番になります。(図2) このとき、PROTECTIONなどの
ランプが点灯するまで一つ一つ待ちましょ
音源(マイク等)
1
4
う。電圧が安定していないままポンポン電
源を入れるのは機器にとってはダメージが
とても大きいです。逆に電源を切る時は、
音の出る順番と逆方向に切っていきます。
ミキサー
2
3
(図3) 一応理由を書いておきますが、機械
というのはスイッチを入れた時は電圧が安
定していないので、意図しない信号が流れ
たりする場合があります。それがもしもス
ピーカーまで流れた場合、過負荷でスピー
パワーアンプ
3
2
カーを破損するか、大音量の音が発生して
しまい、難聴になる危険性があります。そ
こでスピーカーに電源を入れるのは最後な
のです。逆に電源を切る時は音が出ないよ
うに最初にスピーカーを切っておくので
スピーカー
図1 信号の経路
4
1
図2 電源を
図3 電源を
入れる時の順番
切る時の順番
す。
(2)抜き差しはボリューム0でおこなう
ギターアンプ、ベースアンプだってそうだから当たり前じゃないかと思うかもしれませんが、ど
れをどう操作したら ボリューム0の状態 =信号が流れていない状態になるのかは意外と知らない
人が多いでしょう。加えて言えば、マイクの音が出ないとか、音が小さいという場合の半分はこの
基礎編
信号の流れ=ルーティングが把握出来ていない場合がほとんどです。逆に言えばきちんとルーティ
ングを理解できれば適切に機材を扱って、良い音で演奏できる一助になるのです。パワーアンプの
クイックガイド
方はつまみを-20dbまで絞れば良いので割愛するとして、ミキサーの方はヤマハ公式の説明書に
分かり易く書かれているので、そちらを紹介しておきます。
1
電源スイッチを含むすべてのスイッチ をオフ
にして、レベルコントロール *を最小に設定し
ます。
* STEREO OUTマスターフェーダー、チャンネル
フェーダー、GAIN コントロールなど
NOTE
2
・ 外部機器の接続については、11ページのセット
アップをご参照ください。
・ ギターやベースなどの楽器を接続する場合は、
MGと
これらの楽器の間にDI やプリアンプ、アンプシュミ
レーターなど を接続してく ださい。MGとこれ らの
楽器を直接接続する と、音やせやノイズの原因 とな
ります。
3
6
イコライザーとパン (バランス) は▼のある位置に設定
します。
す べ て の外 部 機器 の 電源 を オ フに し て、各
チャンネルにマイクや楽器、スピーカ ーなど
を接続します。
NOTE
5
7
使用するチャンネルの ONスイッチとSTス
イッチをオンにします。
STEREO OUTマスターフェーダーを“0”に
合わせます。
各チャンネルフェーダーを上下させてす べて
のチャンネルをミックスし、STEREO OUT
マスターフェーダーでミックス全体のレ ベル
を調整します。
NOTE
・ PFLスイッチがオフ(
)、モニター信号切り替えス
イッチがSTEREO(
)の状態で、STEREO L/R バ
スに送 られ る信 号がレ ベル メー ターに 表示 され ま
す。
・ レベルメーターのPEAK LED が頻繁に点灯してし
まう場合は、各チャンネ ルのフェーダーを少し ずつ
下げ、信号が歪まないように調整してください。
スピーカー保護のために、周辺機器→ MG →
パワーアンプ(パワードスピーカー )の順番で
電源をオンにします。(電源をオフにするとき
は、逆の手順で行ないます。)
ファンタム電源を必要とするコンデンサーマイクを接
続している場合には、パワーアンプ( パワードスピー
カー ) の電源をオンにする前に、MGのファンタム電源
スイッチ(17ページ参照 )をオンにしてください。
4
楽器やマイクで音を出しながら、最大 入力時
に PEAKインジケーターが一瞬点灯する程度
に GAINコントロールを調整します。
NOTE
各チャンネルのPFL スイッチをオンにすると、より正
確な信号のレベルを LEVELメーターに表示できます。
LEVELメーターの“▼”(0) の位置をときどき超える
ように、入力信号 をGAIN コントロールで調整し てく
ださい。
また、PFL スイッチをオンにしたチャンネルの信号を
PHONES 端子 から ヘッ ドフ ォン で モニ ター でき ま
す。
(ヤマハMG166CXマニュアルより抜粋, P7)
ここで重要なのは、5,の ONスイッチとSTスイッチがどちらも押されていないと、スピーカーか
ら出力されない というところです。(安全のための仕様です。) 上のマニュアルでは本当にこれ以
上無いくらい、ミキシングのやり方を簡単に説明してくれているので、是非熟読しておきましょ
う。
(3) 分からない時はマニュアルを読む、もしくは知っている
人に聞いてみる
それでも使い方が分からない時は、マニュアルを読んだり、知っている人に聞きましょう。PAに
つなぐ機材というのは大体コンセントにつないで使用する、比較的出力の大きな機器です。なの
で不用意にどこかのレベルを最大にして使用すると他の機器の破損をまねいたり、難聴を招くよ
うな大音量、感電などの事故が起こる可能性が増します。要するに「よく分かんないけど、まあ
いいっか」で弄らないでね、って事です。みんなの共有財産でもある機材たちですから、長く使
えるように使い方を分かった上で、大切に使っていきましょう。