35 消波機構のロバスト制御 機械創造工学課程 05112885 吉岡成幸 担当教員 小林泰秀 准教授 1 はじめに 3 周波数応答実験 単方向波アクチュエータを構成するためには,二つのアクチュエー タの周波数特性が同じであることが望ましい.そこで二つのアクチュ エータの周波数特性を測定して比較を行った.その結果を図5に示 す.周波数応答は,スピーカの入力信号からセンサの出力信号まで ・一方,同じ波を扱う能動騒音制御では,二音源をペアにして一方向 の応答である.また,共振周波数の計算値は次式より求まる.ただ にのみ音波を発生するように制御音源を構成することにより,ハウリ しこの式は有限の深さの水の波にのみ適用できる.ここで,L:水槽 ングが抑止され,制御系の安定性が向上されることが知られている. の長さ[m],h:水槽の水位[m]である. しかし,造波機構においては,このような二つのアクチュエータをペア 2L 1 gn 2h にして用いることは検討されていない. ・造船や土木分野では,海洋波を再現するための実験水槽が必要. 既存の実験水槽は吸収式造波装置が用いられている. 吸収式造波装置=水槽の壁を動かし,反射波の発生を防ぐ. fn ・本研究では,造波機構において単方向波を発生させるアクチュエー タを構成し,制御性能に与える効果を調べることを目的としている. n 2 tanh n , n n λn:n次共振のときの波の波長(1周期の長さ) 単方向波発生用アクチュエータ アクチュエータAから発生させた波を,もう一方のアクチュエータB から発生させた波で打ち消して,単方向のみに波を発生させる装 置.このとき,Bの波はAに対して,逆相,逆振幅である. A 波の進行方向 全ての条件: L=1.495[m] h=0.320[m] B アクチュエータ 1.23 0.55 波が発生 打ち消しあう 0.96 d 1.44 図1 単方向波発生用アクチュエータ 2 実験装置 図5 周波数応答実験結果 実験装置の概略図を図2に示す.もともとアクチュエータが一 個あったが,今回はアクチュエータをもう一個製作した. ・ 二つのアクチュエータそれぞれに対し二回ずつ実験を行ったが,そ れぞれ結果が重なっているのがわかる.また、共振周波数の計算値 と実測値の結果がほぼ一致している.しかし,二つのスピーカーでゲ イン特性に違いがみられる. 外乱 水位センサ 500 アクチュエータ 30 3000 z 水位計 厚さ10mmの アクリル板 y A/D パワーアンプ D/A パワーアンプ D/A 水位計 A/D PC w D/A パワーアンプ u 図2 実験装置の概略図 z y w 表1 共振周波数の計算値と実測値の比較 次数 1 2 3 4 1 2 3 4 理論値[Hz] 0.55 0.96 1.23 1.44 0.55 0.96 1.23 1.44 実測値[Hz] 0.54 0.96 1.24 1.43 0.55 0.97 1.24 1.44 誤差[%] 1.82 0.00 0.81 0.69 0.00 1.04 0.81 0.00 既存のアク チュエータ 新たに製作 したアクチュ エータ [補償器設計問題] プラントGに対して,以下の条件を満たす u 補償器Kを求める. ・表1にそれぞれのアクチュエータによる実測値と理論値を示した. (ⅰ)閉ループ系が内部安定 誤差は大きくても3%程度なので,この実験結果は,ほぼ精確であ (ⅱ)wからzまでのH∞ノルムを最小化 るといえる. 図3 H∞制御問題 G K 4 まとめ ・アクチュエータを製作した. ・スピーカの軸のストロークは約7[mm]. ・周波数応答実験により,理論的に妥当な結果が得られた. しかし,あまり波が起きない. 7[mm] 28[mm] ・そのため、既存のアクチュエータ と同様に,図5の機構を製作して, ストロークを4倍に拡大した. 図4 変位拡大機構 5 今後の課題 ・制御系設計
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