さくらいろ - N Drive

おかざきの
さくらいろ
愛知県岡崎市
【桜色】
しだれ桜の近くには桜並木もある
「花その山」
と詠われた里山の花便り
愛知県岡崎市といえば、岡崎城の桜が有名だが、一度は見てほしい里
N
Note
#
01
山の一本桜がある。樹齢1300年ともいわれる
「奥山田のしだれ桜」
は、
持統天皇が「花ぞの山」
と讃えた村積山を望む小高い丘に立つ。持統
天皇みずから植えたと伝わる堂々たる巨樹は、特徴的な紅色の蕾が
奥殿陣屋の花ぞの苑。色とりどりの花が咲く
孤高の一本桜が咲く、あでやかな春景
奥山田のしだれ桜
岡崎市奥山田町屋下 ☎0564-23-6384
(岡崎市経済振興部観光課)
http://okazaki-kanko.jp/event/439.html
伊勢湾岸道 豊田東ICより約10分
702(大宝2)年、持統天皇が手植えしたと伝わる、高さ12.5メートルの巨樹
は、通常3月下旬から4月上旬に見ごろを迎える。1963(昭和38)年、岡崎市
の文化財に指定。地元の有志により奥山田のしだれ桜保存会が結成され、
保護活動を行っているほか、開花時期に合わせて毎年桜まつりを開催する。
ふっくらと膨らむと、弾けるように淡い桜色の花びらが開く。
そして枝
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Note
#
02
花その山に春風ぞ吹く」
という古歌のごとく、春風に揺れるツツジや
チューリップなどの花畑も圧巻。岡崎の美しき春に魅了された先人た
ちを思いながら、里山の穏やかな春に憩う旅を楽しもう。
「この木は村の宝、誇りだよ」。奥山田のしだれ桜保
存会会長、市川庄治さんはまるで我が子を見つめ
るような穏やかな目線を向けながら、太い幹をやさ
しくなでた。
いっぱいに乱舞するように咲いたのち、雪のように花びらを散らす。
村積山の麓にある奥殿陣屋もおすすめだ。
「 細川の岩間の苔も緑にて
春を告げる
「地域の宝」を守る
百花繚乱、庭園や花ぞの苑が色づく
奥殿陣屋
岡崎市奥殿町雑谷下10 ☎0564-45-7230 http://okutono.com
開館時間/9:30∼16:30 休館日/月曜
(祝日の場合は翌日)、年末年始
伊勢湾岸道 豊田東ICより約10分
表紙の花ばたけがある
「花ぞの苑」
では、ポピー、バラ、梅など色とりどりの花が
咲き、
かつて花園の里として称賛された往時の姿をしのばせる。松平家の親藩、
奥殿藩の陣屋のうち、龍溪院の庫裏となっていた書院を移して復元した建物が
歴史を色濃く伝えている。
1300年以上もの間、激動の時代を生き抜いてきた
巨樹。その命を守り、後世へ受け継ぐべく、1996
(平成8)年に地元の有志が集い、保存会が設立さ
れた。木の根を守るために
木材のチップを敷き詰めた
り、定期的に雑草を刈った
りするなど、まめに手を入
れる。
「ただ、桜の木を守り
たいという一心で続けてき
た」
と語る市川さん。
「 保護
するためには、人が入れな
いように柵で囲うのは簡単。
でも、
この美しい姿をよ
り近くで大勢の人に観てほしい。
どこか懐かしさが
あり、みんなにとって故郷のような場所になれば嬉
しいね」
と目を細める。
「 満開のときはもちろん、濃い
ピンクの蕾がふくらみ始める姿も、花が散った後の
新緑や冬の雪化粧した姿も心に染み入るんだ」。里
山の老桜が、
その瞬間だけ見せる季節の表情を捉
えに、季節を変えて出かけてみたくなった。
奥山田のしだれ桜
奥殿陣屋