一次元造波水槽における水面のロバスト制御

26 一次元造波水槽における水面のロバスト制御
機械創造工学課程 06308888 廣田貴士 担当教員 小林泰秀 准教授
1.はじめに
3 周波数応答実験
・造船,土木等の分野で,海洋波を再現するための実験水槽が必要. 制御対象である水槽の水の特性を知るため周波数応答実験を行っ
た.同じ条件での応答の再現性の結果を図5に,図5とは異なる条
既存の実験水槽は吸収式造波装置が用いられている.
件での結果を図6に示した.また,共振周波数の計算値は次式より
吸収式造波装置=水槽の壁を動かし,反射波の発生を防ぐ.
求まる.ここで,L:水槽の長さ[m],h:水位[m]である.
・同じ波を扱うANCにおいて単方向波の利点が確認されているが,
1 gn
2h
2L
造波機構においては未だ適用されていない.
f 
tanh
 
n
・本研究では,造波機構に単方向波を適用して,その効果を調べる
ことを目的としている.
n
2
n
,
A
n
λn:n次共振のときの波の波長(1周期の長さ)
h:水槽の水位
単方向波発生用アクチュエータ
アクチュエータAから発生させた波を,もう一方のアクチュエータB
から発生させた波で打ち消して,単方向のみに波を発生させる装
置.このとき,Bの波はAに対して,逆相,逆振幅である.
波の進行方向
n
条件:全てL=0.745[m]
h=0.320[m]
B
アクチュエータ
0.96
波が発生
1.44
1.77
打ち消しあう
d
図1 単方向波発生用アクチュエータ
2.実験装置
実験装置の概略図を図2に示す.今回は水槽とアクチュエータ
を1個製作した.
図5 同じ条件の周波数応答実験結果
・低周波数の応答結果に関しては,共振周波数の計算値と実測値の
結果がほぼ一致していて,また,4回の結果が重なっているので再現
性もある.
条件:L=1.495[m]
h=0.320[m]
外乱
水位センサ
500
厚さ10mmの
アクリル板
アクチュエータ
30
3000
z
水位計
0.55
y
A/D
パワーアンプ
D/A
パワーアンプ
D/A
D/A
パワーアンプ
u
図2 実験装置の概略図
w
G
y
u
400
7[mm]
[補償器設計問題]
プラントGに対して,以下の条件を満たす
補償器Kを求める.
表1 共振周波数の計算値と実測値の比較
次数
1
2
3
1
2
3
4
図3 H∞制御問題
計算値[Hz]実測値[Hz]誤差[%]
0.96
0.99
3.63
1.44
1.49
3.55
1.77
1.82
2.42
0.55
0.55
0.00
0.95
0.95
0.00
1.23
1.24
0.81
1.44
1.46
1.37
L=0.745,h=0.32
L=1.495,h=0.32
・図5,6の共振周波数の計算値と実測値を表1に示した.誤差は大
きくても3%程度なので,この実験結果は,ほぼ精確であるといえる.
・スピーカの軸のストロークは約7[mm].
しかし,あまり波が起きない.
4 まとめ
・図5の機構を製作して,ストローク
を4倍に拡大した.
・水槽とアクチュエータを製作した.
・周波数応答実験により,理論的に妥当な結果が得られた.
5 今後の課題
28[mm]
1.44
図6 異なる条件での周波数応答実験結果
・図5の場合とは異なる条件でも,低周波数に関しては,共振周波数
の計算値と実測値がほぼ一致している.
(ⅰ)閉ループ系が内部安定
(ⅱ)wからzまでのH∞ノルムを最小化
K
100
0.95
PC
w
z
1.23
水位計
A/D
図4 変位拡大機構
・制御系設計