つ ば さ - 佛教大学通信教育部学友会・神奈川支部

神奈川支部通信
文部科学省認可通信教育
佛教大学通信教育課程
学友会
つ
ば
さ
神奈川支部
12月号
2015年12月1日発行
発行責任者
神奈川支部
芳賀幸男
10月支部学習会 実施報告
~ 卒論を書いて卒業しよう ~
10/24(土)に、横浜市・関内において支部学習会を開催しました。
テーマは「卒論を書いて卒業しよう」です。佛教大学通信教育課程卒業生を講師
にお願いしました。発表のポイントは以下のようになります。
1.鈴木稔さん(人文学科卒)
・卒論テーマは、身の程にあった、重箱の隅を突っつくレベルを選ぶ。
・結論には正解がないのでこだわらない。論文の形式に沿った文章にする。
・第1回草稿提出から清書許可まで3か月で終える。先生との面談はせず、
先生の草稿へのコメント(大量にあった)を参考に書き続けた。
2.吉田欣司さん(仏教学科卒)
・卒論作成について指導教官は先達、素直に教えていただく姿勢が大切。
・原典を読むことを要請された。裏付けのない自分の思いを入れないこと。
・第1回草稿提出から清書許可まで6回指導教官と面談した。
お二方の発表は「卒論合格」を踏まえたもので、迫力もあり非常に参考になりま
した。指導教官との付き合い方もそれぞれですが、その指導がないと完成しないと
いうのは共通していました。
発表の後は、受講生・講師・学習サポーター全員で、受講生の卒論への取り組み
についてディスカッションを行いました。発表に劣らない盛り上がりになりました。
内容の充実した学習会で、受講生からは「満足」との発言がありました。ただ、
受講生が5名と少なかったのが残念です。次回は、より多くの参加を期待します。
- 1 -
科目最終試験のお知らせ
● 科目最終試験 12月の試験はありません
● リポート提出 12月
12月1日(火)~10日
10日(木) ⇒ 試験日 1月24日(日)
科目最終試験「学習室・学友会主催学習室」のお知らせ
1月24日(日) 10時30分~16時 科目最終試験会場にて
試験日当日、試験会場とは別室で「学習サポーターによる学習相談室」と「学友会
による学生同士の情報交換会(学習の進め方、試験の対策、勉強時間の確保、リポー
トについて・・・等)」を行っています。
友人づくり、試験後の一休みにもご利用ください。お茶とお菓子も用意しています。
◇◇◇◇
◇◇◇◇ ◇◇◇◇
◇◇◇◇
卒業論文を書くために
~
(第9回)
先行研究、参考文献の探し方
~
OB 狩山仁己
前に触れたが、新書の類を参考文献とするのはあまりお勧めできない。たとえ学者
が書いていようとも新書は基本的に概説書・入門書だからだ。一概に駄目というわけ
ではない。例えば中公新書にある堀米庸三『正統と異端』や、岩波新書の島田虔次
『朱子学と陽明学』などは専門書として十分通用するものである。ただ、このような
本は少数派であると思ってほしい。
専門家でないが有名な人が書いた本も避けるべきだ。有名であってもその道に関し
ては素人だからだ。梅原猛は仏教関連本をたくさん出しているが、学術的なものでは
ない。一種のエンターテインメントとみなすべきだろう。また、単なる解説者の本も
駄目だ。仏教でいえばひろさちやがそうだ。無数の本を書いているがどれも学術書で
はない。要するに書店の一般書コーナーに置いてある本は参考にしない。いや参考に
はするが、証明には使わない。査読に合格した学会誌掲載の論文が基本である。書店
- 2 -
では専門書コーナーにある本である。
先行研究をどうやって探すのか。以下私の場合を紹介する。
まず、テーマとした「福田行誡」をネットで検索した(注)。すると日本印度学仏
教学会の論文データベース(INBUDS)がひっかかった。そのデータベースの中に福田
行誡関連論文が17本見つかった。その一覧を印刷して、面接で大学を訪れた際、図書
館の司書に見せた。そして論文掲載された雑誌が所蔵してあるかどうか調べてもらっ
た。大部分は所蔵されていた。そこで開架の本は場所を教えてもらい、閉架の本は出
してもらった。そして該当論文を全てコピーした。目次と奥付のコピーもする。なん
と言う雑誌の何年何月号の何ページに掲載されているかを押さえるためである。
佛大図書館になくてよその図書館にあるものがあった。最近は図書館相互貸し出し
をしていることが多い。この本もよその図書館から取り寄せて後日自宅まで送っても
らうことができた。CiNii(サイニイ)とか、OPACとか今いろいろな論文データ
ベースがあるので、それを最大限利用する。「論文データベース」で検索するといい。
私の場合人名から探したが、キーワードから探す場合もある。その場合、先に書い
たテーマが小さければ小さいほどよいと関連するが、専門性の高いワード、学術用語
で検索するとよい。あるいは、複数のワードで検索して絞り込む。一般的な言葉だと
ヒット件数が膨大になる。アラブの春をテーマにしたとして「民主化運動」では駄目
だろう。私ならどうするだろう。「ムバラク体制×民主化」あたりから始めるが、こ
れでも全然駄目だろう。関心のある事件、言葉などなどから絞るしかない。情報を探
す能力が要求される。というか試されることになる。
これで限界を感じたら、図書館のレファレンスサービスを利用する。図書館司書に
「これこれについて調べているがいい資料はないか」「こういうことが書いてある文
献はないか」「『・・・・・・』という文章を読んだ記憶があるがそれが書かれてい
る本は何か」など相談しよう。司書は本の受け渡しのためにいるのではない。十分な
訓練を受けた資料探しのプロなのだ。徹底的に利用するべきである。
「国会図書館の利用」
やはり一度は国会図書館へ足を運びたい。基本的にない資料はないはず。ここを利
用したい場合、まず利用者カードを作らないといけない。国会図書館のホームページ
から申し込み書類を印刷して、必要事項を書き込んで、運転免許証のコピーといった
身元を明らかにする書類と一緒に送る。すると2週間足らずでパスワード等書かれた
書類を送ってくる。それを持って国会図書館に行き、利用者カードを作ってもらう。
館内に大きなバッグは持ち込めない。荷物類はコインロッカーに預ける(お金は戻
- 3 -
る)。だから館内には筆記具とノートぐらいしか持ち込めないが、コピー代のために
財布も忘れずに。
まず本を探すためパソコンで検索する。目当ての本を借り出す。コピーすべき箇所
のコピーを頼む。また本を探す。これの繰り返しである。テーマに沿った参考文献を
借り出し、読んでいくと新たに調べたいことや見なければならない本が次々と、それ
こそ芋づる式に出てくるのである。
例えば、東西日本のたこ焼きを研究テーマに『神奈川県におけるたこ焼きの歴史』
という本が目的で図書館に行った。それを読んでいると『たこ焼き春秋』2012年4月
号掲載の「たこ焼きに青海苔がふりかけられるようになった時期の確定」という蛸野
八郎国立小麦粉文化大学教授の論文を読まなければならなくなる。すると更に『たこ
焼きの東漸』という本も参照したいと思う。これを見ると今度は日本たこ焼き学会編
『烏賊野刺美教授喜寿記念論集』所収の奥戸蓮男パリ・ミシュラン大学教授「たこ焼
きと明石焼きの分岐に関する一考察」も参照しないとならなくなる。場合によっては
「黒澤明監督映画に見るたこ焼きの重要性について」なんてのも参考にしなければな
らないかもしれない。かくして、その場で次から次へと参考文献を借り出し必要なペ
ージをコピーしないと研究・調査はできないのである。
注:テーマについては『つばさ』2015年9月号「第6回」に記載。
*広く質問を受け付けます。どのようなことでもかまいませんので遠慮なく質問して
ください。
佛教大学通信教育課程学友会・神奈川支部ホームページ
神奈川支部ではホームページを開設しています。ホットなお知らせや「つばさ」
のバックナンバーなどがご覧いただけますので、ぜひ訪問してください。
http://www.busa-kanagawa.net/
または、「佛教大学 神奈川」と入力してくだ
さい。
- 4 -