全面 - 佛教大学通信教育部学友会・神奈川支部

神奈川支部通信
文部科学省認可通信教育
佛教大学通信教育課程
学友会
つ
ば
さ
神奈川支部
3月号
2015年3月1日発行
発行責任者
浅川雅則
~ 3月に思う ~
芳賀 幸男
暦ははやくも3月となった。春になって気持ちも改まる。正月を迎えるのとはまた
違った新鮮な感覚が湧き上がってくる。何度も繰り返した進級や卒業と、それに続く
新しい門出の記憶がDNAとして残っているのだろうか。新年の抱負の大半は3日坊
主で終わったが、もう一度始めてみようかという気にもなる。
今年に入って定年退職の壮行会が2回あった。お祝いでもなく送別会でもなく、壮
行会である。本人たちはいたって元気で、晴れ晴れとしていた。会社人生から解放さ
れることの安堵感もあるだろうが、次の人生に対する期待を語る姿からは、こちらの
ほうが大きいことがわかる。会社人生=仕事と考えがちだが、実は人との出会いと別
れの繰り返しである。次の人生での出会いは、どんなものだろうか。
大学での学びに飛び込んで丸2年、すんなりと卒業とはいかず。ただ、この2年間、
多くの学生や先生との出会いがあった。また、大学に入学しなかったら、触れること
もなかった専門書や学術研究の数々。学習は亀の歩みのごとくであるが、新しい知識
との出会いを一歩一歩楽しみながらの日々である。大学に入学した時の目標や意欲だ
けはまだ持ち続けている。それを思い返している3度目の春である。
生住異滅の移りかはる実(まこと)の大事は、たけき河のみなぎり流るるが
如し。しばしもとどこほらず、直ちにおこなひ行くものなり。されば真俗に
つけて、必ずはたし遂げむと思はむことは、機嫌をいふべからず。とかくの
もよひなく、足をふみとどむまじきなり。(『徒然草』第155段)
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卒業論文を書くために
~
(第2回)
データの重要さを知る
~
OB 狩山仁己
前回の流行歌を使って国民意識の変化を考えることについて、どうアプローチする
かをやってみよう。
仮説を立ててその裏づけとなるデータを探すことから始める。「木綿のハンカチー
フ」の高度経済成長後の青年は、なぜ田舎に帰りたくなくなったのか。
都会に魅力があったから、と皆思うだろう。確かに直感的にそう思って当然だ。し
かし、それはあくまで仮説である。我々はその仮説を証明しなければならない。私が
そう思うだけでは証明にならない。誰もがなるほどと思うよう説明しなければならな
い。evidence(証拠)が必要なのは裁判だけではない。事実については誰も反論でき
ない。だから仮説を証明する事実を探す必要がある。事実とは何か。それはデータで
ある。ではこの「都会に魅力があったから」という仮説を裏付けるデータはどんなも
のがあるだろうか。まず魅力の源泉となる都会の豊かさの指標を探す。
もっとも手っ取り早くは個人所得の県別比較がある。企業の数を比べる手もある。
その他に持ち家率、一人当たり公園面積、貯蓄率、県別世帯当たりと一人当たり平均
貯蓄額、平均給与額、年間消費額等々いろいろあるだろう。消費額でも宝飾品や教育
費を比較すると違いが出ると思う。
ついで都会の利便性を示すデータには何があるか。鉄道の営業キロ、鉄道駅の数、
バス停の数などどうだろう。電車が縦横無尽に通っているというのは移動手段が多く
便利といえるからだ。下水道、テレビや電話の普及率県別年度推移なども考えられる。
飲食店数、医療機関数、平均寿命、小売店舗売り場面積の比較などいくらでも考えら
れる。
もし、以上のデータから全て東京の数値が全国平均を上回る、あるいは三大都市圏
以外の県の数値を上回っていれば、東京の豊かさ、利便性を事実として示したことに
なる。また、昭和47年の数値が39年の数値を上回っていれば、東京の豊かさ・利便性
が増したといえるし、地方よりその伸び率が大きければ東京と地方の差が拡大したと
いえる。そして、その事実から導き出される解釈として、都会は地方と比べ魅力があ
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ると主張することも合理性を有するといえるだろう。ただ、そんなものは魅力でも何
でもないという全く正反対の解釈もありうる。緑地面積や一戸当たりの敷地面積を比
べれば地方が上回るだろう。公害の件数を比較する手もある。しかし、データの数字
は動かない。この事実の解釈の合理性が仮説の優劣・当不当を決めるわけである。
こういったデータはどこにあるのか。国の各省庁の統計から探すのである。都道府
県でも各種統計を公表している。民間調査機関の各種調査も使える。今はインターネ
ットでいろいろ調べることができて便利になった。ネットであたりをつけて、図書館
等で実物の統計資料を見るといいだろう。図書館の司書に相談するのも効率的に調べ
るいい方法である。
次に公共政策をテーマにしてみよう。例として次のような政策課題を設定する。
「A地区の高齢者の健康診断受診率が低い。高める政策を立案せよ」
何から手をつけるべきか。受診率の低い理由を探さねばならない。やり方は「仮説
→データの裏づけ」の繰り返しである。
受診率が低い理由としていくつか考えてみよう。
1
健康に自信がある。
2
病院が近くにあるから、具合がわるくなればいつでも診てもらえる。
この仮説をデータで裏付けるのである。もし、データで裏付けられなければその仮
説は捨てる。
では「1」の仮説を裏付けるデータには何があるだろうか。「平均寿命の延び(10
年、20年前と今ではどれくらい延びたか比較する)」。「特定年齢での死亡率(これ
はある年に生まれた人の数が半分になるのは何歳か、というデータである。これも昔
のデータと比較する。)」健康食品の隆盛に目を付ける手もある。健康食品市場の規
模の変遷を見ることで健康食品が猛烈に売れていることが分かるだろう。そしてその
購買層を調べるのである。おそらく高齢者層が有力な顧客だろう。健康雑誌の売れ行
きを見てもいい。「2」の仮説については医療機関の数、人口○○人あたりの医師の
数、病床数を見れば一目瞭然だろう。
受診率が低い理由の仮説がデータで裏付けられたとして、そこから受診率向上の政
策を企画立案するわけである。
<参考文献の重要性>
データや史料、テクストのほか大事なのは参考文献である。どのような本、論文・
先行研究を調べたのか、末尾に掲げる参考文献で一目瞭然である。だから先生によっ
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ては、論文など読まず参考文献と注しか見ない。そして論文の程度を測るのである。
「よく調べているな」「こんな本しか読んでないのか」と判断されてしまう。読まれ
る前から勝負がついているのである。学部レベルの論文の成否は参考文献にあるとい
っても過言ではない。
*広く質問を受け付けます。どのようなことでもかまいませんので遠慮なく質問して
ください。
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3月15日(日) 10時30分~16時 科目最終試験会場にて
試験日当日、試験会場とは別室で「学習サポーターによる学習相談室」と「学友会
による学生同士の情報交換会(学習の進め方、試験の対策、勉強時間の確保、リポー
トについて・・・等)」を行っています。友人づくり、試験後の一休みにもご利用くだ
さい。お茶とお菓子も用意しています。
*東京/山梨・北関東・常総・神奈川の四支部が交代で、当番を受け持ちながら実
施しています。今回は北関東が担当です。
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