平成27年成人式 式典 町長式辞 本日ここに、平成27年柴田町成人式を挙行するにあたり、21世紀を担う 皆さんの明るく、はつらつとした姿を拝見し、立派な成人になれたことを町民 を代表し心よりお慶び申し上げます。また、今日まで深い愛情を持ってお子さ んを立派に育て上げられた保護者の皆様、ご家族の皆様にも重ねてお慶びを申 し上げます。そして、来賓の皆様におかれましては、公私共にご多忙の中、ご 臨席を賜り厚く御礼申し上げます。 本日の成人式を開催するにあたっては、成人を迎えられる方々で実行委員会 をつくり、式典内容を自ら企画立案するとともに、また、多く町民ボランティ アの皆様にも、お力添えをいただきながら、手作りの式典を挙行できますこと を、町長としても大変嬉しく思っています。 さて、成人式を迎えた皆さんの現在の心境はいかがでしょうか。大人の仲間 入りをするといった気負いよりは、おそらく5年ぶりに同級生や先生方と再会 することに、心躍っているといったところが本音といったところかもしれませ ん。しかし、成人式という一生に一度の節目の日だからこそ、大人になる意味 を一度立ち止まって考えてください。これまで皆さんを支えてくれた、ご両親 や大勢の方に大人になった今日の日だからこそ、日ごろ思っていてもなかなか 言えなかった、感謝の気持ちを伝えていただきたいと思います。 さて、皆様の中には、柴田町に残られた方、あるいは町外にお住まいの方な ど、それぞれ異なった環境を自ら選んだ中で、いま、自分の人生を歩み始めて いらっしゃることと思います。これからは、いくつもの人生の岐路に立ち、自 分の力で重要な選択や意思決定を重ねていくことになります。まさに、人生と は、すべての選択が自分の責任の下に積み重なったものと言われています。ぜ ひ、若さを武器に、自分の可能性を信じて、積極的にいろいろなことにチャレ ンジしてほしいと思います。そして、なるべく早く、生きがいや目標を捜し求 め、その実現に向かって努力し、失敗や挫折を乗り越えながら、たくましく生 きる力を身につけてほしいと願っています。しかし、そうは言っても、20代 という年代は責任のある大人になろうと気持ちはあっても、実際にどう生きた ら良いのか迷い、悩み、苦しみ続けるのが常です。特に若いときは感受性が強 いだけに、厳しい現実を目の前にして、生きていくのがつらくなったり、逃げ 出したくなる時もあります。その時に、生きる勇気や知恵を与えてくれるのが、 先輩方の生き方です。先人たちが残してくれた人生哲学や、一流と言われる人 たちの成功談、逆に人生を後悔している人たちの失敗談を参考にして、これか らの自分の生き方はどうあるべきなのか、何を目指して生きていくのか、今日 ぜひ自問自答してほしいと思います。 参考になるかどうかわかりませんが、昨年、一番活躍した若者といえば、な んと言っても男子プロテニスの錦織 圭選手ではないでしょうか。昨年度、全 米オープン男子シングルス準優勝。また、世界のトップ8が結集するワールド ツアーファイナルズへ出場するなど、世界ランキングが第5位まで上昇しまし た。ところが、誰の目にも順風満帆に見えたその裏側で、錦織選手は人知れず 苦しんでいたそうです。それは4年前の21歳のとき、ちょうど東日本大震災 が発生、世界のトップテン入りが見えてきた頃から、世界のトップテン入りに こだわりすぎて、自分を見失っていた時期があったそうです。トップテンに入 るという周りからのプレッシャーに押しつぶされ、その結果、全米オープンで は格下の選手に、まさかの一回戦ストレート負けを喫してしまいました。この 時期は、本来の錦織選手のプレーが全然できず、精神的に相当追い詰められた そうです。でも、全米オープンの惨敗から 2 週間後、日本に帰国した錦織選手 は自分の力を信じて、国別対抗戦「デビスカップ」の日本対コロンビア戦に賭 けてみようと気持ちを切り替えたそうです。この試合は、日本がワールドグル ープ世界上位16ヶ国に昇格できるかどうかが決まる大事な一戦でした。全米 オープン戦といった個人戦とは違い、国の代表として戦うわけですから、これ まで経験したことのないくらいの相当なプレッシャーを感じたそうです。しか し、この試合での錦織選手のプレーは、全米オープン戦とはまったく違うもの になっていました。全米オープン戦では、追うことすらあきらめていた、ボー ルに必死に喰らいつき、相手のミスを誘い、その結果、日本は見事にデビスカ ップワールドグループ昇格を決めました。錦織選手の心の中で「この試合は負 けられない、絶対に勝つ」という強い気持ちが育っていたからこそ、どのショ ットも臆することなく打てていたし、たとえミスをしても、個人的に戦うこと が出来たということでした。錦織選手は、自分を冷静に見つめなおし、自分の 力を信じることで、人知れず抱えていたプレッシャーという大きな壁を乗り越 えることが出来たのです。 実は皆さんの人生にも大なり小なり、毎日一生懸命がんばっていても、どう しても避けられない困難やプレッシャーに遭遇する場合が多々あります。例え ば、今の日本社会においては実に3人に1人が正社員になれません。その他は、 その他でなかなか結婚が出来ず、家庭さえもてない若い人が増えています。ま た、ブラック企業で身体を壊すまで働かされたり、思わぬ倒産で職を失ったり、 人間関係に疲れ失意の中を歩いている人たちも実はたくさんいます。まさに皆 さんが船出をする、大人の世界は、皆さんにとって生きづらい世の中になって います。いつ、何が起こるのかわからない、混沌とした世の中ですので、ぜひ 皆さんには、錦織選手のように20代のうちに、そうした困難、挫折、プレッ シャーを乗り越えていくだけのたくましい力と生きる術を身につけてほしいと 願っています。 社会人として第一歩を踏み出した皆さんが、たくましく生きていくための基 本的な心構えについてお話しますと、一つに、 「人に信頼される大人になるとい うこと」です。決して愚痴や不平不満をこぼさずに、誠実に仕事をこなしてい くことで、人に信頼されるようになります。二つに「自分自身を律すること。」 そのためには、わがままな自分を、気持ちをコントロールし、思いやりの心を 持って、人に接していくことが大事だと思います。三つに、 「誰にも負けない得 意分野を作ること。」いざというときに、もしかすると、会社が潰れてしまうと いうことに出会うかもしれません。その時に、どんなところでも生きていける 技術を身につけておくことが大事ではないかと思います。ぜひとも、この3点。 「人に信頼される大人」と、 「自分の気持ちをコントロールできる大人」と、 「誰 にも負けない得意分野を持つ大人」この3点を、成人式のお土産に持って帰っ てほしいと思います。 さらに、忘れてほしくないのが郷土を愛する心、皆さんを育て上げましたこ の郷土。柴田町を忘れてほしくないということです。いま柴田町は、 「花のまち 柴田」をスローガンに、まちづくりを町民と協働で進めています。その一環と して整備しているのが、白石川堤と船岡城址公園を結ぶ「さくら連絡橋」です。 今年3月29日には、プレオープンして渡れるようになります、ぜひ皆さんお 友達を誘って、桜の季節にはお花見に訪れてほしいと願っています。また、4 月18日には、ハーフマラソンコースでの「さくらマラソン大会」が、槻木地 区で開催されることとなりました。 このように、多くの町民の方々が、町を元気にしようと積極的にまちづくり の活動を行っています。おかげさまで今年は、外国人も含めて多くの方々が柴 田町を訪れて、活気にあふれた柴田町になっております。今年はさらに柴田町 の自然環境、里山、歴史などを活用した、歩いて楽しいフットパス事業を通じ て、花のまち柴田の魅力を磨いていきたいと思います。ぜひ、皆さんのその若 い力を柴田町のまちづくりに活かしてほしいと思います。 結びになりますが、大きな夢と希望をいだいて船出をしようとしている新成 人の皆さんの未来に、幸多からんことをご祈念申し上げますとともに、本日ご 臨席を賜りましたご来賓の皆様に感謝を申し上げまして、私の式辞といたしま す。 平成27年1月11日 柴田町町長 滝口 茂
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