6月9日 8 8.1 授業のまとめ 補題 8.1 p ∈ Z は素数とする. f, g ∈ Z[X] について f g ∈ (p) なら f ∈ (p) または g ∈ (p) である. 定義 8.2 f が Z 上既約多項式であるとは,すなわち f = gh ⇒ g または f が Z[X] の可逆元 が成立つことをいう. 定義 8.3 (原始多項式) Z[X] の元 f = an X n + · · · + a1 X + a0 が原始多項式とは, gcd(a0 , a1 , · · · , an ) = 1 であることを いう. Z[X] の既約元は, 必ず原始多項式であることに注意. (逆はもちろん成り立たない. ) 補題 8.4 f, g ∈ Z[X], g は原始多項式とする. f = gh なる h ∈ Q[X] が存在すれば, h ∈ Z[X] である. 8.2 宿題 宿題 8.5 次の命題を証明せよ.f ∈ Z[X] が Z 上既約なら, f は Q 上既約である. (ヒント:f = gh なる g, h ∈ Q[X] で Q[X] の非可逆元が存在したとする.αg ∈ Z[X] なる整数 α をなるべく小さく取り,原始多項式に帰着せよ. ) 宿題 8.6 Z[X] における素因数分解について,次の定理を証明しよう. f ∈ Z[X] に対し, Z[X] の既約元(=素数,既約な原始多項式) p1 , · · · , pn ∈ Z[X] (Z 上既約多項式) が存在して, f = p1 · · · pn となる. 既約元 q1 , · · · , qm ∈ Z[X] が p1 · · · pn = q1 · · · qm をみたせば, n = m かつ, 適切に並べ替えれば, 各 i = 1, · · · , n に対して ci pi = qi なる Z[X] の可逆元 ci が存在する. 1. Q[X] では素因数分解が可能なので, f = φ1 · · · φn なる Q[X] の既約元 φ1 , · · · , φn が存在する. 適当な αi ∈ Q と 原始多項式 fi ∈ Z に対して φi = αi fi とする.α = α1 · · · αn とおく.以下を示せ. (1) fi は Z[X] の既約元である. (2) αf1 · · · fn−1 ∈ Z[X]. (3) α ∈ Z. (4) f は Z[X] における既約元の積として表せる. 2. 素数 p1 , · · · , pm , q1 · · · , qr と Z 上既約な原始多項式 f1 , · · · , fn , g1 , · · · , gs が p1 · · · pm f1 · · · fn = q1 · · · qr g1 · · · gs を みたすとする. 以下を示せ. (1) f1 , · · · , fn , g1 , · · · , gs は Q[X] の既約元である. (2) n = s かつ並べ替えて fi = ci gi なる ci ∈ Q − {0} が存在する. (3) ci ∈ Z. (4) ci は ±1. 37 (5) 簡単のため fi = gi (1 ≥ i ≥ n) とすると, m = r, 並べ替えて pj = ±qj . 宿題 8.7 次の多項式は Q 上で既約か. 1. X 4 + 2 2. X 4 − 2 3. X 4 + 4 4. X 4 − X + 1 宿題 8.8 次の多項式は既約か. 1. X 3 − X + 2 ∈ Z3 [X] (ヒント:可約だとすれば?) 2. X 3 − X + 2 ∈ Z5 [X] 3. X 3 − X + 2 ∈ Z[X] (ヒント: (1), (2) との関連を考えてみよう. ) 4. X 3 − X + 2 ∈ Q[X] 38
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