「ボランティア活動」を掲載しました。

みちのく杜の湖畔公園北地区
みちのく自然共生園
自然再生活動 平成 27 年 6 月
みちのく自然共生園の自然再生ボランティア活動では、東北地方らしい自然豊かな里地の自然を再
生する活動を展開しています。この場所にわずかに自生していたサクラソウを殖やしたり、人と自然
との係り合いで生まれた、かつての広大な花野の草原をつくる活動に取り組んでいます。
●定例モニタリング 花野再生塾(6 月 7 日)
・会員活動を兼ねたモニタリングです。前週に植え付けたサワアザミの苗の状況、前回の会員活動で
人工授粉を行ったサクラソウの苗圃の状況、コナラ林、展望野草園、湿性花園等の状況を観察しま
した。6月の作業は、人工授粉したサクラソウのタネとり、サクラソウポット苗を植え付けた箇所
の除草、湿潤な梅雨を活用してポット苗の植付け(主にサクラソウ園のゼンテイカ等)等をに行う
ことにしました。例年発生するアレチウリの動向にも注意が必要です。
写真 サクラソウ苗圃の状況確認
写真 展望野草園のモニタリング
●サクラソウの採種・精選・播種(6 月 21 日採種精選、28、29 日播種)
・5 月に人工授粉を行ったキャンプ場の個体群を中心に採種を行いました。サクラソウを圧迫してい
るフキとヨモギの引き抜きも行いました。その日に精選を行いました。半量のタネはジベレリン処
理を行い、
4 月に播種し生存が悪いポットに追加播種しました。
残りは冷蔵保管し春に播種します。
写真 結実したサクラソウのタネを探します
写真 一人だとしんどい精選もみんなでやれば楽しや?
●ゼンテイカ及びサワアザミ苗の植付けとサクラソウ周辺の除草(6 月 1、15、22、28 日)
・昨年、一昨年播種したゼンテイカのポット苗の植付けを行いました。
・これまで植え付けたサクラソウ苗の周辺のヨモギ、ヒルガオ、ヤブマメ等の雑草を除去しました。
写真 ゼンテイカポット苗の植付け
写真 サクラソウの苗周辺の除草
●オキナグサ・チガヤの播種、
(6 月 7、14 日)
・会員活動として、オキナグサの播種を行いました。黒土とダマにならないよう混ぜて、情報館前の
エントランスサイン周りや展望野草園の野芝がない裸地に播種しました。播種した箇所の除草も行
いました。また、放牧地で優占させようとしているチガヤの採種・播種も行いました。
写真 オキナグサのタネを黒土と混ぜます
写真 チガヤの播種
●各所の除草(6 月 28、29 日)
・ヒメシャガを育成している段丘崖の除草を行い、黒土部分は雑草を抑えるためにノシバのソッドを
貼りました。また、特定外来生物のアレチウリを除去しました。今年はまだ少ないようです。
写真 段丘崖の除草と張芝
写真 アレチウリの引き抜き
●桑の実天然酵母を試す(6 月 14~15 日)
・共生園内にたくさん実る桑の実で酵母を起し、がんづぎを膨らませてみました。1週間育てた桑の
実酵母がうまくいくかどうかが興味深々。ついでに天然酵母パンも焼いてみました。
写真 粉と酵母液を混ぜます
写真 中種で膨らんだ生地
●エクスカーション(6 月 8 日自主活動)
・いま植栽しているゼンテイカの実際の生育環境を見に行きました。自然再生は観察したことを元に
試行錯誤していくことの積み重ねなので、いろんな植生や事例を見ておくことが欠かせません。
写真 宮城県県南の丘陵地
写真 ゼンテイカの開花群落
桑の実天然酵母のがんづぎ
平成 27 年 6 月 14~15 日
●がんづぎと天然酵母
東北地方の農作業の「こびる」で食べられていた、がんづき。新粉、餅粉、小麦粉を水で練っ
て蒸したタイプや、重曹で膨らませた蒸しパンのようなタイプがあります。蒸しあがった丸い形
を月、散らした黒ゴマの様子を雁に見立てて「雁月」とか、中国の火を使わない風習の「寒食」
が名の由来だそうです。共生園内にはヤマグワがたくさん生えており、この時期、たくさんの桑
の実を落とします。重曹で膨らますのは、あまり自然な感じではないので、桑の実で酵母を起こ
して、膨らませてみることにしました。桑の酵母と小麦が混じったときの甘酸っぱい風味が楽し
めるよう、今回は普通のがんづぎで使う味噌や醤油、黒砂糖等は使わないようにしました。
●材料と道具
A薄力粉 120g A強力粉 30g A塩 2g
B桑の実酵母液 45g B水 65g B砂糖 15~30g
菜種油 15g
●作り方
①高さがあるタッパーにAの材料を入れて、蓋をして良く振ります。
②Bの材料をよく混ぜ合わせてからタッパーに入れ、菜種油を入れて、蓋をして良く振ります。
③3分程度振ると生地がまとまってきます。さらにしばらく振ります。
④1時間以上落ち着かせてからタッパーの蓋をあけ、容器の周りについている生地をゴムべらで
まとめ平らにします。高さがわかるよう、タッパーの外側にテープ等で目印をつけておきます。
⑤生地が2倍程度膨らむまで待ちます(常温で一晩)
。
⑥油を塗った型に生地を落とします。お好みで煮た桑の実をのせたり入れたり。
⑦1~2時間、二次発酵させます。
⑧180℃に予熱したオーブンで 20~25 分程度焼いて、出来上がり。
または、蒸気が上がっている状態の蒸し器に入れ、強火で 10~15 分蒸します。布巾を被せて、
結露水が垂れないようにして蒸します。
●酵母液の作り方
①黒く熟した桑の実 100gを採取し、水で軽く洗います。
②煮沸したジャム瓶に①桑の実を入れ、湯冷ましした水 150~200cc入れて蓋をします。ミ
ネラルウォーターの場合、硬水を使用すると酵母が弱ります。
③1 日 1~2 回蓋を開けて酸素を入れ、蓋をして適度に振ります。26~27℃程度がいい感じ。
④2~3日目頃から泡立つようになります。シュワーと音がしていれば元気な証拠。
⑤桑の実が浮いて、その後 1 日程度おいたら、とりあえず出来上がり。ザルで桑の実を濾して、
煮沸して冷ました瓶に移します。保管は冷蔵庫の野菜室に入れ、時々、蓋を開けて酸素を供給
するようにします。1 週間程度は粉を膨らませる力があります。使用する時は常温に戻してか
ら、粉を合わせます。
●中種の作り方
中種をつくって膨らませると生地が柔らかくなりますが、酵母の香りはやや減ります。
①全粒粉40gを煮沸した瓶に入れ、酵母液40ccを加えて、よく混ぜます。
②2~3 倍に膨らんだら、全粒粉(強力粉)40g、酵母液40ccを追加して、よく混ぜます。
膨らまなかったら酵母が弱く失敗です。
②の工程を 1~2 回繰り返して、出来上がり。1 週間程度は膨らませる力があります。常温に戻
して使用します。状態を確かめるには砂糖を一掴み入れ、泡立つと酵母が元気な状態です。中
種を使う場合は、その分の粉と水分の量を調整します。
●食べてみると
焼くと酸味がある生地になり、蒸すと酸味が和らぎます。天然酵母の酸味のあるパンの味が苦
手な人は蒸した方がお勧めですが、焼いた方が美味しいという声が多かったです。膨らみが悪か
った時を想定して、共生園産の菜種油を入れましたが、その香りが邪魔に感じられたので不要で
す。共生園で発酵させたので、18 時間程の過剰酵時間となって、やや生地がべとつきました。
桑の実のジャムやソースを合わせる場合は、できるだけレモンや砂糖の量を抑えないと、桑の実
の風味が無くなります。実の柄も煮る前に丁寧に取った方が、えぐみが少なくなります、煮てい
るときに出てくるアクも取ります。砂糖は、氷砂糖の方が桑の実の風味との相性が良さそうです。
桑の実は木イチゴ等より風味が薄いので、繊細さを要します。桑の実がたくさん手に入るここな
らではの、贅沢なこびるです。ちなみに、強力粉や全粒粉を主とし、水分量を 60~57%にして
発酵させて焼くと、美味しい天然酵母パンになります。
(報告 麻生嘉)
写真 蒸したタイプ
写真 焼いたタイプ 桑の実ソースの雁が飛びます