6.窒素とリン

6.窒素とリン
(1)窒素の性質とリンの同素体(黄リンと赤リン)の性質
(2)アンモニア
アンモニアNH3は、刺激臭をもつ無色の気体で、冷却または圧縮すると、容易に液体となる。また、
水によく溶け、その水溶液は弱い塩基性を示す。
実験室では、塩化アンモニウムと
水酸化カルシウムの混合物を加熱して発生させる。
2NH4Cl+Ca(OH)2
→CaCl2+2H2O+2NH3
<ハーバー・ボッシュ法>
アンモニアは、工業的には、ハーバー・ボッシュ法により製造される。ハーバー・ボッシュ法は、
アンモニア合成法の代表的方式。窒素と水素からアンモニアを合成する方法で,
温度 500~600℃,圧力 300 気圧,触媒 (四酸化三鉄) の条件で行なわれる。
N2+3H2
⇌
2NH3
問.N210molとH230molの混合物をアンモニア合成の触媒を通過させたとき、N2の20%が
NH3に変化したとする。このとき、通過後の気体に含まれる物質は何か。また、その物質量を整数値
で答えよ。
N2
+ 3H2 ⇌
2mol
6mol
2NH3
4mol
N2 10-2=8mol
N2 30-6=14mol
<窒素酸化物>
酸化物
一酸化窒素
二酸化窒素
常温での状態
無色の気体
赤褐色の気体
毒性
―――
有毒(刺激臭)
水溶性
溶けにくい
溶けやすい
製法
銅に希硝酸
銅に濃硝酸
<オストワルト法>
NH3 4mol
(1) アンモニアを空気と混合し、白金触媒を用いて800~900℃に加熱して酸化する。
4NH3+5O2→4NO+6H2O ―――①
(2) 一酸化窒素をさらに酸化して二酸化窒素にする。
2NO+O2→2NO2
―――②
(3) 二酸化窒素を水と反応させる。
3NO2+H2O→2HNO3+NO ―――③
(4)①式+②式×3+③式×2より、
NH3+2O2→HNO3+H2O
<リンの化合物>
(1) 十酸化四リン P4O10
白色の物質。強い吸湿性をもち、乾燥剤や脱水剤に用いられる。
(2)リン酸 H3PO4
十酸化四リンを水に加えて加熱すると、リン酸になる。リン酸の水溶液は中程度の酸性を示す。
リン酸は生体内ではたらく重要な酸であり、また、燃料電池の電解質としても使われる。