編集・発行/信楽園病院検査科 第 12 号 2007年 尿はたくさんの情報を提供してくれます 2月発行 臨床検査技師 中村 典子 尿検査は血液検査と異なり採血による痛みや苦痛が少なく患者様の負担が少ない検査です。 病院では診療科を問わず広く実施されています。そこで今回は尿検査を取り上げました。 ● 尿はどこでつくられる? 体内を循環する血液が腎臓に流れ込むと『糸球体』と呼ばれる部分で ろ過されて『原尿』(尿のもと)がつくられます。次いで『尿細管』と 呼ばれる部分でからだに必要な水分やブドウ糖、電解質などを原尿 から再度吸収して不要な物だけを尿として排泄しています。 ● 尿検査―からだに関するたくさんの情報を持っている― 尿は全身をめぐる血液中の不要物です。したがってからだのどこかに異常があると、尿の 中に不要物が排泄されなかったり、逆に排泄されてはならない物が尿の中に捨てられたりし ます。ですから尿を検査する事でからだのどこに異常があるのかを知る事ができるのです。 それでは尿検査でどんなことを調べているのでしょう。 ①一般検査 尿量・外観・pH・尿糖・尿蛋白など尿の性状を調べる。 ②生化学検査 尿に含まれるナトリウム・カリウムなどの電解質やブドウ糖・タンパク 質・ホルモンなどを測定する。 ③顕微鏡検査 尿の沈殿物から腎臓や尿路の異常を調べる。 ④細菌学的検査 尿路感染症の原因菌の種類を調べる。 一般的に行なわれる尿検査項目(定性検査)についてご説明します。 項 尿 目 蛋 尿 内 容 基 準 値 白 腎臓や尿路の異常を探る (−) 糖 糖尿病や腎臓の異常を探る (−) ビリルビン ウロビリノーゲン 肝臓や胆道の異常を見る (−) 正常(−∼±) ケ ト ン 体 糖尿病の管理や代謝障害を見る (−) 潜 血 反 応 腎臓・尿路の異常または内科的な疾患を見る (−) 亜 硝 酸 塩 尿路感染症の有無を見る (−) 白 尿路系の炎症を見る (−) 血 球 最後に尿検査をお受け頂く際の注意点を挙げさせていただきます。 1:出始めの尿はできるだけ避け、排尿途中の尿を採取する。 2:ペーパーなどをかぶせない。 (繊維の混入を防ぐため) 3:生理中はその旨を伝える。 4:異常値を恐れて水などを入れない。 尿は採取時間や食事など影響を受けやすく常に同じ状態ではありません。正しく採取して毎 回の検査を受けましょう。 どうしても尿が出ない時はスタッフに声をかけて下さい。
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