高温L-乳酸発酵液からの乳酸カルシウム回収 鳥取大学 社会開発システム工学科 環境計画研究室 仲森 岳司 1.背景と目的 高温L-乳酸発酵とは? 現在,高温L-乳酸発酵を開発している. L-乳酸の利用法 でんぷんやセルロースといった多糖を原料に栄養要求性の 少ない菌類で温度・pHを管理して発酵を行い,L-乳酸を生 成するための方法. 生成された粗L-乳酸を工業用L-乳酸として利用する ためには精製が必要である. 乳酸カルシウムの生成は工業的なL-乳酸精製工程 の第一ステップである. 目的 ・農業地域での実践を踏まえ,できるだけ簡便な方法での精製 ・除去される不純物の確認 地域で乳酸カルシウムとして用いる. 農業地域で飼料添加剤として利用することを検討. 10 8 L-乳酸(g) 6 TOC(g) 4 2.方法・結果 2 0 発酵液 ろ過 アルコール沈殿 リン酸水素カルシウム沈殿 図1 L-乳酸,全炭素の物質量変化 粗L-乳酸発酵液作成 20 15 不純物除去による精製 タンパク(mg) PO4-P(mg) 10 T-P(mg) 5 粗乳酸発酵液 除去対象物 0 発酵液 ろ過 リン酸水素カルシウム沈殿 図2 タンパク,リン酸,全リンの物質量変化 ろ過 固形物 アルコール沈殿 リン酸水素カルシウム沈殿 タンパク アルコール沈殿 リン 限外ろ過 80 濃縮 15 60 L-乳酸… TOC(g) 40 濃縮発酵液 20 10 TOC(g) L-乳酸(g) 5 0 0 分析結果 発酵液 ろ過 発酵液 アルコール沈殿 ろ過 限外ろ過 図3 L-乳酸,全炭素の物質量変化 粗乳酸発酵液 15 ろ過 アルコール沈殿 アルコール沈殿 40 タンパク(mg) 10 限外ろ過 T-P(mg) 5 T-P(mg) 20 10 濃縮 0 0 発酵液 濃縮発酵液 タンパク(mg) 30 ろ過 アルコール沈殿 発酵液 ろ過 限外ろ過 図4 タンパク,全リンの物質量変化 分析結果 3.まとめ 乳酸カルシウムの回収 考察 ◆限外ろ過により除去するプロセスで,乳酸カルシウムの収率は59.28%となった. ◆600mlの発酵液から限外ろ過により除去するプロセスで,乳酸カルシウムを25.62gを回収 できた.回収した乳酸カルシウム1gあたりのL-乳酸純度:28.2%,タンパク質:0.02%,全窒 素:0.53%,全リン:0.01%となり,飼料基準を満たす乳酸カルシウムが回収できた.
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