糖尿病豆知識:02 糖尿病と運動療法 糖尿病治療には食事療法と運動療法が必要な理由 体重 1 ㎏を減らすには、およそ 7200kcal のエネルギーを消費する必要があると言われていま す。その為、一日につき 300~500kcal 分、消費カロリーを増やし、摂取カロリーを減らす事が 重要です。 食生活の見直しで、間食を控える、ジュースをカロリーゼロのものに替える、大盛りを普通盛 りにするなど工夫して摂取カロリーを抑えます。極端に摂取カロリーを減らすと、筋肉と水分が 減ってしまいます。筋肉が落ちると、基礎代謝が低下します。食事量を元に戻した時にエネルギ ーが余ってしまうことがリバウンドの原因になります。その為運動を組み合わせて筋肉の維持を する事が重要です。 基礎代謝を向上させるには筋力トレーニングが有効です。3~4 ヶ月の筋トレによって筋肉な どの除脂肪量が 2kg 程度増加し、1 日当たり 100kcal 程度基礎代謝が増えると言われています。 筋トレをすることで基礎代謝をあげ、太りにくい体を作りましょう。また連続して長時間運動を 行う事で多くのエネルギーを直接的に消費することができる運動を有酸素運動といいます。内臓 脂肪を減らすには有酸素運動が効果的です。 有酸素運動は運動によって直接消費エネルギーを増やす効果のある運動であり、筋トレは基礎 代謝を上げることで普段からの消費エネルギーを間接的に増やす効果のある運動といえます。 普段から運動をしてない人はまず、身体を動かす事からはじめましょう。 <運動で消費されるエネルギー量> 体重 80kg の人が 100kcal を消費するためには・・・ ・ ウォーキング 29 分 ・ 自転車 24 分 ・ 水中歩行 14 分 ・ 体操 20 分 肥満の解消には、運動でカロリーを消費する事が大切です。しかし、マラソンのよう な、いわゆる運動ばかりが、カロリーを消費して脂肪を燃やすばかりではなく、階段をあがる、 電車で立つといった運動以外の日常生活での活動でも、脂肪は燃えて体熱が発生します。 座っている状態から立つだけで消費エネルギーはおよそ20%アップします。アメリカの調査 では、「太っている人は、そうでない人と比べて座っている時間が1日 160 分も長い」そうです。 普段の生活で、エレベーターをよく使う人は階段を使う、いつも車を使う人は少しの距離なら歩 く、一番手軽な方法は歩くことです。 ただし、合併症がある人は運動を行うことにより病状を悪化させてしまうことがあります。安 全で効果的な運動を行うために、合併症の有無、程度の評価のために、血液検査、心電図、尿検 査、眼底検査、レントゲンなど検査を行います。医師に確認した後で運動を行いましょう。 1 運動療法のポイント いつでも、1 人でもできる運動を選び行いましょう。継続可能な運動を選ぶ事が重要です。 ウォーキング、サイクリング、水中歩行、ラジオ体操、ストレッチなどご自分の生活の中に取り 入れられる運動を選びましょう。 合併症のない場合、筋力トレーニングを取り入れてみましょう。本格的に行う場合はインスト ラクターのいるスポーツジムで行うのが安全です。家で行う場合、腹筋、腕立て伏せ、スクワッ ト等がお勧めですが、そのやり方については理学療法士に確認しましょう。 雨の日は、エアコンの効いた室内でラジオ体操、ストレッチなどを行うことも運動になります。 2 運動に適した時間帯 食後 1 時間に行うと、食後の高血糖が抑えられます。食後に時間を作ることが難しければ、空 いた時間に運動をしてください。 ただし、血糖を下げる飲み薬、インスリン注射をしている方は、使っている薬によって低血糖 になってしまう時間帯があるので、注意が必要です。 3 運動の量と回数 連続した運動が 30 分以上できない時は、細切れの運動時間が合計を 30 分以上でも効果は得ら れます。 ウォーキングなら、隣の人と会話ができるくらいの速さです。 週 3~5 回の運動を目標にします。 運動を行う時の注意点 • • • • • • 靴擦れ、足の怪我の予防の為にも、靴下と靴を履いて運動をしましょう。 急に運動を始めると思わぬ怪我をします。怪我を予防するためにも、運動の前後にはストレ ッチを行い筋肉柔らかくすることが重要です。 喉が渇いたと感じたら、脱水の症状です。 脱水予防の為に運動を行う前と運動中に小まめに水分補給を行ってください。 気候に合わせた服装にしましょう。 ブドウ糖を持って運動します。 「あれっおかしい、低血糖?」と思ったらすぐにブドウ糖 10g、 またはブドウ糖を含むジュースを飲んでください。
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