リラクサー誘電体 Pb(Zn1/3 Nb2/3)

リラクサー誘電体 𝑃𝑏 ( 𝑍𝑛1⁄3 𝑁𝑏2⁄3 ) 𝑂3 − 9 % 𝑃𝑏𝑇𝑖𝑂3 のドメイン観察
2015/12/17_中間発表アブストラクト
物性物理学第二講座 植木 真人
【 目的 】
𝑃𝑏 ( 𝑍𝑛1⁄3 𝑁𝑏2⁄3 ) 𝑂3 − 9 % 𝑃𝑏𝑇𝑖𝑂3 は 𝑃𝑏 ( 𝑍𝑛1⁄3 𝑁𝑏2⁄3 ) 𝑂3(以下 PZN)に 𝑃𝑏𝑇𝑖𝑂3 (以下 PT)を 9 %ド
ープした、ペロブスカイト構造をとるリラクサー誘電体である。リラクサー誘電体は強誘電体の一種であるが、通常の強誘
電体とは異なり、散漫な相転移や誘電率の周波数依存性、巨大な誘電率などの特徴を持っている。強誘電体は一般
的に低温相においてドメイン構造を示す.PZN – 9%PT は室温で菱面体晶と正方晶の相転移を観察できる.これら
の相で見られるドメインがリラクサー的挙動を担っていると考えられている.
このドメインの種類を、X 線トポグラフィを用いて決定することで、リラクサー的挙動の発現機構の解明を手助けすること
が目的である.
【 実験 】
試料は溶液ブリッジマン法で作成された PZN – 9%PT の単結
晶のインゴットを(110)面で切り出したものを 2 種類用いてい
る.一つ目は昨年まで使用されていた試料で 2.0×2.5×0.05
mm3 程度に薄片化した試料 No.3c-2、二つ目は 5.5×4.5
×0.16 mm3 程度に薄片化した試料 No.4c である.
今回は試料に電場を掛けて測定をするために、新しい試料
No.4c で電場なしの通常状態で偏光顕微鏡観察を行った.偏
光顕微鏡観察では偏光方向と分極方向が一緒になったときに消
図 1.No.3c-2(左図)& No.4c(右図)の偏光顕
微鏡観察の結果.No.3c-2 は 2.0×2.5×0.05
光するため、異なる分極方向を持つドメインを観察.
mm3、No.4c は 5.5×4.5×0.16 mm3.No.3c-2
【 結果 】
のドメインはストライプ状であるのに対し、No.4c は複雑な
偏光顕微鏡観察は 0°、25°、43°、60°で消光が確認された.
構造をしている.
No.3c-2 及び No.4c の偏光顕微鏡観察の消光角 0°の画像
を図 1 に示す.この結果から No.4c のドメイン境界は、No.3c2 と同様に[-111] の晶帯軸を持っている点や、図2左図(図 1
赤色枠部分拡大図)のように [-110] の細かい筋状のドメイン
が存在する点などの共通の部分も見られた.
しかし、異なる点も多く見受けられた.例えば No.3c-2 はストラ
イプ状のドメインに対して No.4c は複雑な構造を持っている.ま
た、No.4c では図 2 右図(図 1 黄色枠部分拡大図)のように
筋状のドメインが [-110] の他に [001]・[1-11] にも見られ
図 2.No.4c の偏光顕微鏡観察の実験結果.
た.
消光角 60° での図 1 赤色枠部分(左図)&消光
今後は分極方向・結晶構造を明確化するために、電場を掛けた
状態での偏光顕微鏡観察や X 線トポグラフィの実験を進めていく
予定である.
角 0° での図1黄色枠部分(右図)のそれぞれの拡
大図.どちらも消光している中に筋状のドメインの存在
が見て取れる.