新興国:投資先の見極めが重要。アクティブ・ファンドも選択肢に (2015/9

MARKET INSIGHTS
Market Bulletin
2015年9月15日
新興国:投資先の見極めが重要。
アクティブ・ファンドも選択肢に
要旨
• 新興国市場の見通しについては、警戒感を持つ必要がある。米国の金利
上昇やドル高、中国の減速は新興国に悪影響をもたらすだろう
• 新興国経済の先行きを見通すには、輸出の先行きが重要と考える。世界
経済の緩やかな成長に合わせる形で、輸出の伸びも限定的となる可能性
がある
• 一方、個別に新興国を見ると、様々な違いがある。新興国への投資の際に
は、有望な投資先を幾つか見極めた上で、国や地域などの分散を図るべき
と考える。一方で、投資先の見極めが難しい場合や分散投資を手軽に行い
たい場合は、プロのファンド・マネージャーに運用を任せるアクティブ・ファン
ドも選択肢の1つと見られる
新興国は逆風に直面している
新興国市場の見通しについては、引き続き警戒感を持つ必要があると考えて
います。目下、新興国には2つの逆風が吹いています。
1つは、米国の景気回復を背景とした米国の金利上昇とドル高です。米国と新
興国の金利差が縮小することにより、新興国から米国に投資資金が還流し、
新興国通貨のボラティリティ(変動性)が上昇する可能性があります。
もう1つの逆風は中国です。中国ではここ数ヵ月、過去の投資によって積みあ
がった過剰設備の影響もあり、経済指標の悪化が見られています。また、中
国当局は、経済を消費主導としていくための改革を行っているため、今後も景
Tai Hui
Global Market Strategist
Market Insights
Akira Kunikyo
Global Market Strategist
Market Insights
Guide to the Markets Japan
のダウンロードはこちらから
www.jpmorganasset.co.jp/guide
気減速が見られる可能性があります。これは中国のみならず、中国に天然資
源を輸出してきた他の新興国にも、多大な影響を及ぼすと見られます。
MARKET BULLETIN | SEPTEMBER 15, 2015
輸出は未だ企業利益の下支えとなっていない
新興国経済の先行きを見通すには、輸出の先行きが重要と考えています。
なぜなら、輸出の伸びは新興国全体の経済成長を牽引し、新興国企業の
収益性や株価にも影響を及ぼすからです。実際、図1に示す通り、輸出の
伸びと企業の1株当たり利益(EPS)の動きは概ね連動しています。
各々の動きを見てみると、まず図1に示すように、新興国の輸出の伸びは
低調です。米国を初めとする世界経済の成長は緩やかなものに留まって
いることから、新興国の輸出の伸びは2010年以降低下を続けた後、ここ数
年間は横ばいに留まっています。さらに直近は、中国経済の減速やコモ
ディティ価格の低迷から、前年比11.0%減まで落ち込んでいます。
次に企業利益に関しても同様で、1株当たり予想利益(EPS)は力強い改善
には至っていません。筆者は、今後、世界経済の緩やかな成長に合わせ
る形で、新興国の輸出の伸びは限定的となる可能性が高いと見ています。
よって、新興国の企業利益の改善が見られるのも当分先のことになりそう
です。
図1:新興国企業の業績と輸出
(2002年1月1日~2015年6月30日)
前年比
60%
40%
20%
1株当たり利益(EPS)
0%
輸出
-20%
-40%
'02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 '15
出所:Guide to the Market Japan P57、MSCI、FactSet、CEIC、J.P. Morgan
Asset Management
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E M E R G I N G M A R KE T: O P TI O N O F A C TI V E F U N D S
MARKET BULLETIN | SEPTEMBER 15, 2015
投資先の見極めが重要に
総合的に見ると、新興国の先行きには引き続き警戒が必要です。足元見ら
れている中国経済の減速が波及する形で、その他の新興国でも景気の鈍
化、輸出の停滞、企業利益の弱さはしばらくの間続く可能性があります。
しかし、新興国全体の先行きが明るくないといっても、過度に悲観的になる
必要はありません。新興国が持つ利点は、その伸び代の大きさです。豊富
で若い人口を有し、インフラが未発達な新興国は、長期の視野で見れば先
進国企業の生産拠点として成長を遂げていくでしょう。
一方、短期的な視野であっても、力強い成長を遂げる新興国は見出せると
考えています。例えば、アジア諸国は原油輸入国が多く、原油安によるイ
ンフレ率の低下が消費を刺激する可能性があります。また、インドや
ASEAN諸国は欧州を主要な輸出先としており、欧州経済は回復基調にあ
ることから、恩恵を受ける可能性があります。一方で、ブラジルやメキシコ
など、原油などの天然資源を主な輸出品とする新興国は、原油安によって
苦境に陥ります。
アクティブ・ファンドも選択肢の1つ
上記の通り、新興国と一口にいっても、個別に見ると様々な違いがありま
す。よって、新興国全体の輸出の盛り上がりが期待できない中では、個々
の国や企業の特徴を見極めた上で、選別した投資を行う必要があります。
ただし、新興国への投資は先進国と比べ、ハイリスク・ハイリターンの性格
を持つものとなります。例え有望な投資先を見極めても、過度に投資資金
を集中しすぎると、政変、災害、企業スキャンダルなどの予期せぬイベント
によって大きな損失を被る可能性があります。よって、新興国への投資に
あたっても、有望な投資先をいくつか見極めた上で、国や地域などの分散
を図るべきと考えます。
この点、投資先の見極めが難しい場合や分散投資を手軽に行いたい場合
は、プロのファンド・マネージャーに目利きや運用を任せるアクティブ・ファン
ドも選択肢の1つと見られます。
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E M E R G I N G M A R KE T: O P TI O N O F A C TI V E F U N D S
MARKET INSIGHTS
本資料は、JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が作成したものです。2015年9月15日時点におけるJPモルガン・アセッ
ト・マネジメントの見通しを含んでおり、将来予告なく変更されることがあります。「JPモルガン・アセット・マネジメント」は、JPモル
ガン・チェース・アンド・カンパニーおよび世界の関連会社の資産運用ビジネスのブランドです。
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「J.P.モルガン・アセット・マネジメント」は、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニーおよび世界の関連会社の資産運用ビジネスの
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ポール)リミテッド、JPモルガン・アセット・マネジメント・リアル・アセット(シンガポール)プライベート・リミテッド、台湾:金融監督管
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