高梁川 の水辺の生きもの調査 (平成 26 年度高梁 川 水生生物

ちょうさ
たかはしがわ
高梁川の水辺の生きもの調査
ちょうさ
たかはしがわ
(平成 26 年度高梁川水生生物調査)
ちょうさ
1
調査の目的
かんきょう ほ ぜ ん い し き
たかはしがわ
たかはしがわ
高梁川に対する市民の環境保全意識の向上のために,高梁川に生息する
ちょうさ
水辺の生きものを調査しました。
ちょうさ
2
ないよう
調査の内容
ちょうさ
(1)調査した水辺の生きものと季節
ぎょるい
ぎょるい
ていせいどうぶつ
・魚(魚類),魚類以外の水辺の動物(底生動物),川底の石の表面に付着
そうるい
ちょうさ
した小さな植物の仲間(藻類)について調査しました。
ぎょるい
そうるい
ちょうさ
・「魚類」,「藻類」については平成 26 年9月に調査しました。
ていせいどうぶつ
ちょうさ
・「底生動物」については平成 26 年 12 月に調査しました。
ちょうさ
(2)調査地点
ちょうさ
たかはし し な い
たかはしがわ
・調査地点は高梁市内を流れる高梁川本流の2地点としました。
じゅうよう
かくにん
( 重 要 な生きものが確認されたため,場所については示しません)
ちょうさ
(3)調査の方法など
ちょうさ
・調査を行った川の深さは約 10~40 ㎝くらいで,底には砂や様々な大きさ
の石がありましたが,10~50cm くらいの大きさの石が多く見られました。
ぎょるい
もぐ
あみ
え
とあみ
・
「魚類」については,潜って観察したり,柄のついた網や投網などにより
さいしゅう
採 集 し,名前(種名)を調べました。
ていせいどうぶつ
すきま
・
「底生動物」については,川底の石の表面や隙間などに生息する水生生物
あみ
けんびきょう
を網などにより採集し,顕微鏡により名前(種名)を調べました。
そうるい
そうるい
さいしゅう
けんびきょう
・
「藻類」については,川底の石の表面に付着した藻類を 採 集 し,顕微鏡に
より名前(種名)を調べました。
1
ちょうさ
3
調査の結果
ぎょるい
(1)魚類
ぎょるい
かくにん
・11 種の魚類が確認されました。
かくにん
・最も多く確認されたのは,オイカワ(地方名ハエなど),カワムツ(地方
名ネコマタギなど),カワヨシノボリ(地方名ゴリなど)でした。
きちょう
ぎょるい
かくにん
・貴重な魚類として,アカザ,カジカ類の2種が確認されました。
かくにん
ぎょるい
確認した魚類
きちょう
No.
種
名
1
オイカワ
2
カワムツ
3
ウグイ
4
ムギツク
5
ニゴイ類
6
コウライモロコ
7
シマドジョウ
8
アカザ
9
アユ
ぜつめつ き
ぐ
るい
かんきょうしょう
絶滅危惧2類( 環 境 省 ・岡山県)
じゅんぜつめつ き
10
ぎょるい
貴重な魚類のレベル
カジカ類
ぐ
ぜつめつ き
ぐ
かんきょうしょう
準 絶 滅 危惧または絶滅危惧1類( 環 境 省 )
ぜつめつ き
ぐ
じょうほう ぶ そ く
絶滅危惧2類または 情 報 不足(岡山県)
11
カワヨシノボリ
きちょう
ぎょるい
注)貴重な魚類の種名を○○○で囲んでいます。
きちょう
ぎょるい
(参考)貴重な魚類のレベルについて
レベル
ぜつめつ き
ぐ
レベルの説明
ぜつめつ
き
き
絶滅危惧1類
絶滅の危機がせまっているもの
ぜつめつ き
ぜつめつ
ぐ
絶滅危惧2類
じゅんぜつめつ き
きけん
絶滅の危険が大きくなっているもの
ぐ
準 絶 滅 危惧
生息場所などが不安定なもの
じょうほう ぶ そ く
ひょうか
情 報 不足
評価するだけの 情 報 が不足しているもの
じょうほう
ふそく
かんきょうしょう
注)くわしい説明については 環 境 省 もしくは岡山県のホームページを参考にしてください。
2
かくにん
ぎょるい
○確認した主な魚類の説明
・オイカワ
かん
つ
ハエ,シラハエなどと言われ,寒バエ釣
りで有名です。体長は約 15 ㎝です。岡山
県内の川や水路に広く生息し,放流も行わ
さんらん
おす
れています。産卵時期の雄には青緑とピン
もよう
クのまだら模様が現れます。
めす
(写真は雌)
・カワムツ
さんらん
おす
モツ,ネコマタギ(産卵時期の雄)など
と言われ,岡山県内の川や水路に広く生息
しています。体長は約 20 ㎝です。最近,
カワムツとヌマムツ(岡山県では主に平野
部に生息)の2種に分けられました。
・ウグイ
イダ,イダゴイなどと言われ,岡山県内の
川に生息しています。体長は約 30cm です。
さんらん
産卵時期(春)には体にそって三本の赤い
あらわ
線が 現 れます。
(写真は幼魚)
・ムギツク
頭から尾まで太い黒線が走る魚で,岡山
県内では川に広く生息しています。体長は
約 20 ㎝です。オヤニラミ(スズキの仲間)
さんらん
たまご
やドンコ(ハゼの仲間)の産卵場所に 卵 を
しゅうせい
産み付ける面白い 習 性 が知られています。
(写真は幼魚)
3
・ニゴイ類
キツネゴイ,イダなどと言われ,コイを
細長くしたような体をしています。体長は
約 30cm です。岡山県内では,コウライニ
かくにん
ゴイとニゴイの2種が確認 されています
が,広く生息しているのはコウライニゴイ
です。ヒゲが2本あります。
(写真は幼魚)。
・コウライモロコ
ヤナギバエ,モロコなどと言われていま
す。体長は7㎝です。岡山県内の川や水路
に広く生息しています。ヒゲが二本ありま
す。
・シマドジョウ
スナハミドジョウなどと言われ,岡山県
内では流れの速い川の砂の多い場所に生
息しています。体長は7㎝です。ヒゲが6
本あります。
・アカザ
チョウキリなどと呼ばれ,岡山県内では
流れの速い川の底石の多い場所に生息し
ていますが,数は多くありません。体長は
せ
むな
10 ㎝です。ヒゲが8本あり,背びれと胸び
とげ
とげ
さ
れの付け根の棘に毒があり,棘に刺される
いた
と大変痛みます。
4
・アユ
と も づ
友釣りの対象として有名で,岡山県内の
川に広く放流されています。体長は約 25
そう
らんそう
㎝です。石の表面に生育する藻類(藍藻・
けいそう
珪藻)を食べるため,生息場所にはゆがん
しょっ こ ん
だキスマークのような 食 痕(はみあと)
が見られます。
・カジカ類
一見,ハゼの仲間に見えますが,海に生
息するカサゴの仲間です。体長は約 15 ㎝
です。岡山県内では,流れの速い川の底石
の多い場所に生息していますが,数は多く
ありません。
だいらんがた
岡山県にはよく似た2種類(大卵型 ,
ちゅうらんがた
中 卵 型 )が生息するとされています。
・カワヨシノボリ
ゴリなどと言われ,岡山県内の川や水路
の底に広く生息するハゼの仲間です。体長
は約 8 ㎝です。岡山県ではよく似たヨシノ
ボリ類の仲間が何種類か生息しています
が,本種は数が最も多く,広く生息してい
ます。
5
ていせいどうぶつ
(2)底生動物
ていせいどうぶつ
かくにん
・47 種の底生動物が確認されました。
かくにん
こんちゅうるい
ようちゅう
・最も多く確認されたのは,昆 虫 類のシロタニガワカゲロウ 幼 虫 ,ウルマ
ようちゅう
ようちゅう
ーシマトビケラ 幼 虫 ,ヒゲナガカワトビケラ類 幼 虫 でした。
・きれいな水に生息する種として,ナミウズムシ(プラナリアの仲間)の他,
こんちゅうるい
ようちゅう
ようちゅう
昆 虫 類のエルモンヒラタカゲロウ 幼 虫 ,チラカゲロウ 幼 虫 ,オオマダ
ようちゅう
ようちゅう
ようちゅう
ラカゲロウ 幼 虫 ,カミムラカワゲラ 幼 虫 ,ヒゲナガカワトビケラ 幼 虫 ,
ようちゅう
かくにん
ニンギョウトビケラ 幼 虫 などが確認されました。
かくにん
ていせいどうぶつ
かんきょうしょう
すいしつはんてい
・確認された底生動物から,環 境 省 の生物学的水質判定を行った結果,2
すいしつ
いち
はんてい
地点とも水質階級Ⅰ(1)(きれいな水)と判定されました。
すいしつ
かんきょうしょう
(水質 階級についてのくわしいことは 環 境 省 のホームページを見てく
ださい)
すいしつ
(参考)水質階級表
水質階級
水
質
水質階級Ⅰ(1)
きれいな水
水質階級Ⅱ(2)
ややきれいな水
水質階級Ⅲ(3)
きたない水
水質階級Ⅳ(4)
とてもきたない水
6
かくにん
ていせいどうぶつ
確認した底生動物
種名
分類(仲間分け)
プラナリア類
貝類
ヒル類
カゲロウ類
トンボ類
カワゲラ類
昆虫類
トビケラ類
ハエ類
コウチュウ類
ナミウズムシ
カワニナ
シジミ類
イシビル類
フタバコカゲロウ幼虫
コカゲロウ類幼虫
シロタニガワカゲロウ幼虫
エルモンヒラタカゲロウ幼虫
チラカゲロウ幼虫
クロマダラカゲロウ幼虫
オオマダラカゲロウ幼虫
シリナガマダラカゲロウ幼虫
アカマダラカゲロウ幼虫
ヤマサナエ幼虫
ダビドサナエ幼虫
オナガサナエ幼虫
カミムラカワゲラ幼虫
フタツメカワゲラ類幼虫
クラカケカワゲラ類幼虫
アミメカワゲラ類幼虫
ナミコガタシマトビケラ幼虫
ウルマーシマトビケラ幼虫
エチゴシマトビケラ幼虫
ヒゲナガカワトビケラ幼虫
チャバネヒゲナガカワトビケラ幼虫
ムナグロナガレトビケラ幼虫
ニンギョウトビケラ幼虫の巣
カクツツトビケラ類幼虫の巣
グマガトビケラ類幼虫の巣
ウスバガガンボ類幼虫
ヒメガガンボ類幼虫
ガガンボ類幼虫
ユスリカ類幼虫
アシマダラブユ幼虫
アシナガミゾドロムシ類幼虫
マルヒラタドロムシ類幼虫
ヒラタドロムシ幼虫
*昆虫(こんちゅう),幼虫(ようちゅう)
7
かくにん
ていせいどうぶつ
○確認した主な底生動物の写真
ナミウズムシ
カワニナ
シジミ類
イシビル類
ようちゅう
ようちゅう
シロタニガワカゲロウ幼 虫
ウエノヒラタカゲロウ幼 虫
8
ようちゅう
ようちゅう
エルモンヒラタカゲロウ幼 虫
チラカゲロウ幼 虫
ようちゅう
ようちゅう
モンカゲロウ幼 虫
オオマダラカゲロウ幼 虫
ようちゅう
ようちゅう
シリナガマダラカゲロウ幼 虫
ヤマサナエ幼 虫
9
ようちゅう
ようちゅう
ダビドサナエ幼 虫
オナガサナエ幼 虫
ようちゅう
ようちゅう
カミムラカワゲラ幼 虫
フタツメカワゲラ類幼 虫
ようちゅう
ようちゅう
ウルマーシマトビケラ幼 虫
オオシマトビケラ幼 虫
10
ようちゅう
ようちゅう
ヒゲナガカワトビケラ 幼 虫
チャバネヒゲナガカワトビケラ幼 虫
ようちゅう
ようちゅう
ニンギョウトビケラ幼 虫 の巣
ツメナガナガレトビケラ幼 虫
ようちゅう
ようちゅう
カクツツトビケラ類幼 虫 の巣
タテヒゲナガトビケラ類幼 虫 の巣
11
ようちゅう
ようちゅう
グマガトビケラ類幼 虫 の巣
ウスバガガンボ類幼 虫
ようちゅう
ようちゅう
ガガンボ類幼 虫
コクロバアミカ幼 虫
ようちゅう
ようちゅう
アシマダラブユ幼 虫
ヒラタドロムシ幼 虫
12
そうるい
(3)藻類
かくにん
そうるい
・確認された藻類の多くは川石に付着するクチビルケイソウやコメツブ
ふゆうせい
かくにん
ケイソウでしたが,浮遊性のクンショウモなども確認されました。
かくにん
そうるい
確認した藻類
分類(仲間分け)
和名
らん そう
藍藻
ビロードランソウ
タルケイソウ
オビケイソウ
ハリケイソウ
クチビルケイソウ
クサビケイソウ
マガリクサビケイソウ
コメツブケイソウ
ササノハケイソウ
クルキゲニア
イカダモ
クンショウモ
カワシオグサ
ミカヅキモ
ツヅミモ
けい そう
珪藻
りょく そう
緑藻
かくにん
そうるい
○確認した主な藻類の説明
・クチビルケイソウ
よ
ミカヅキケイソウとも呼ばれます。この
仲間には多くの種があり,池や川に広く見
られます。
13
・クンショウモ
くんしょう
勲 章 のような形から名付けられました。
さいぼう
つの
本種は一つの細胞 に2本の角 があること
よ
から,フタヅノクンショウモとも呼ばれま
す。
14