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家康公の
いましめ
いで多くの兵を失った三方ヶ原の戦いを反省した家康
静岡県浜松市
よく知られる
「しかみ像」
(通称)
だ。今も犀ヶ崖古戦場として
【戒】
崖の一部が残っており、木々の間から覗くことができる。
敷地内の犀ヶ崖資料館で資料を眺めつつ、浜松八幡宮
忠実に立体復元された
で見上げた大楠の凛とした風情や、鬱蒼とした緑に覆わ 「徳川家康公立体しか
若き家康公を物語る三方ヶ原の戦い 静岡県浜松市
れた犀ヶ崖の近寄り難い雰囲気を思い返していた。
徳川家康公最大の負け戦として知られる三方ヶ原の戦い。武田信玄に
敗れた家康公は、城へ逃げ帰る途中に浜松八幡宮へ駆け込み、追っ手
から逃れたという。境内には根元周り14mにもなる巨大な楠の木があ
り、根元のところにぽっかりと穴が空いている。家康公がこの洞穴に隠れ
くも たち
くす
神に祈ると、楠の木から瑞雲が立ち昇ったことから
「雲立の楠」
と呼ばれ
さい
がけ
ている。神のご加護を悟った家康公は、城へ戻ると三方原の犀ヶ崖に留
まる武田軍に夜襲をかける作戦に出た。一説には徳川軍が橋に見せか
けて崖に張った布を、武田軍が見誤って崖の下に落ちたとか。近くには
今も布橋という地名が残る。何とか浜松城は攻撃を免れたが、無謀な戦
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公は、
自らを戒めるために憔悴した姿を描かせた。
これが
「雲立の楠」
と呼ばれ、樹齢1000年
を超えるとされている古木。樹高約
15mあり、天に向かって伸びやか
に枝を広げる。
N
Note
み像」は浜松城や浜松
市博物館で展示予定。
鎮守の森で心清らかに
浜松八幡宮
静岡県浜松市中区八幡町2番地 ☎053-461-3429
http://www.hamamatsuhachimangu.org/
武家の信仰が篤く、家康公も武運長久を祈願したと伝わる。街の中
心にありながら樹々に囲まれ、静寂な空気に包まれている。
N
Note
三方ヶ原の戦いに思いをはせる
犀ヶ崖古戦場・犀ヶ崖資料館
静岡県浜松市中区鹿谷町25-10 ☎053-472-8383
開館時間/9:00∼17:00 入館料/無料
休館日/月曜(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日、年末年始
三方ヶ原の戦いの戦死者を祀ったお堂(宗円堂)跡に建てられた資
料館。
ジオラマ
「三方ヶ原合戦立体絵巻」
や遠州大念仏の資料が展
示されている。※ジオラマや立体しかみ像(右上写真)は、8/1∼
10/25まで浜松城にて展示(詳しくはP14へ)
東名高速 浜松西ICまたは浜松ICより約20分
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三方原台地がき裂・陥没してできた
断崖、犀ヶ崖は浜松城の北約1km
にある。14mほどあり結構な深さだ
が、当時は深さ約40m、幅約50m
の崖が2kmほど続いていたという。