パラレル・プロジェクションズ¦

パラレル・プロジェクションズ¦30年前に生まれた130人のプロジェクトから考える30年後の都市と、建築
エントリーフォーム例
【基本情報】
氏名: 琢磨
年齢:31
所属:403architecture [dajiba]
出身大学:横浜国立大学大学院Y-GSA
分野:意匠
出身地:静岡県浜松市
活動場所:静岡県浜松市
プロジェクトの参考画像 403architecture [dajiba]による
「渥美の床」©kentahasegawa
【提案】
現在取り組んでいるプロジェクト
(設計、
研究、
取り組みなど)
に関するテキスト
(400字以内)
私は、静岡県浜松市を拠点に403architecture [dajiba]という建築設計事務所を共同主宰している。
我々の特徴は、
これまで5
年間で30を数えるプロジェクトの半数が、
市街地に位置する事務所から徒歩圏にプロットされているということだ。
この限定的な
範囲の中で我々は、
「マテリアルの流動」
という言葉を用いて設計活動を展開する。
マテリアルの流動とは、
都市をあらゆるマテリ
アル(素材・人・慣習・歴史・情報・通貨)の流動状態として捉えることによって、
新築や解体、
改築、
まちづくりといった枠組みを等
価に扱いながら、
その流れの中で一時的に変異した渦として建築を捉えるための手法だ。
例えば、
「渥美の床」
は、
天井の野縁材
を解体し、床に落として敷き詰め、
つくることとこわすことを、
マテリアルを動かすことによって同時に実現したプロジェクトである。
未来に向けた
「キーワード」
(1つ)
と解説テキスト
(400字以内)
マテリアルの流動
経済成長を終え、様々な要素が
「落ち着く」
成熟社会だからこそ、
相対的に流動の価値が上がるはずである。
人口が減れば、
一人
あたりの国土面積は増える。
広い面積を運営するためには、
人、
モノ、
金、
情報がその広さをカバーして
「動く」
必要がある。
例えば、
定常社会と呼ばれる江戸時代の人口は3000万人と言われており、
参勤交代に象徴されるように動くことそれ自体によって現在
と比較すれば相対的に広い国土を社会を継続させていたといえる。一方で、
自分自身の状況を考えてみると、
例えば、
私の実家は
郊外に位置し、祖父母の実家はそのまた北の山間部に母方父方の二つがあり、
長男の私はこの三つの資産を受け継ぐことが予
想される。
この三つの空間を同時にアクディベイトするためには、
私自身が動かねばならない。
具体的にいうなら、
三拠点居住で
ある。郊外では土地が広く子育てがしやすい、
山間部には豊かな自然がある、
それぞれ違った環境を持つこれらの空間をマテリア
ル(この場合は人)の流動によって結びつけられれば、
成熟都市における豊かさの一つの断面をプレゼンテーションすることになら
ないだろうか。
マテリアルの流動とは、
状況の捉え方である。
すべてが連続する流動を前提として捉えることで、
成熟社会における
生活、建築、都市が渾然一体となった設計を描けるはずだ。
プロジェクトの参考画像 浜松の実家の風景