平成 27 年 2 月 13 日 消費者安全法改正に伴う関係内閣府令案及び

平成 27 年 2 月 13 日
消費者安全法改正に伴う関係内閣府令案及びガイドライン案の意見
公益社団法人全国消費生活相談員協会
理事長 吉川 萬里子
1. 消費者安全法施行規則等の一部を改正する内閣府令について
●施行規則案第7条に「委託を受ける事務を構成かつ中立に実施できるものであって、特
定非営利活動促進法・・・特定非営利活動法人又は一般社団法人もしくは一般財団法人その
他都道府県知事が適当と認める者であること」と規定しているが、少なくとも「受託を受け
る事務を消費者の権利の尊重及び自立の支援の観点で公正かつ中立に実施できるものであ
って、消費者目線で活動してきた実績があること」に変更すべきである。
【理由】
消費生活相談等は事業者処分のみならず政策立案等消費者行政の基本となる業務であり、
民間委託になじまないと考えている。なお、特定非営利活動法人あるいは一般社団法人の中
には、これまでの活動内容が一般的に評価されないような法人も多く存在する現状から、少
なくとも公益活動を主目的にする公益性を備えた団体であることと規定すべきである。
2. 改正消費者安全法の実施に係る地方消費者行政ガイドライン(意見1)
13 p
エ
消費生活相談の事務の委託
a事務の民間委託により期待される効果
b事務の民間委託により生ずる可能性がる問題点
c消費生活相談等の事務の民間への委
託の際の留意点について
●aについては全文削除を求める
【理由】
本来、消費生活相談等の事務は民間に委託すべきものではないと考えている。
さらにbで民間委託には多くの問題点があることを指摘しているにもかかわらず、民間
委託により期待する効果をあげることへの矛盾がある。
(1)-1.
a事務の民間委託により期待される効果として
「事務を受託する団体の専門性やノウハウを導入することにより、効果的に事務を提供
することができるとともに、地方公共団体の公務員以外の多様な人材が事務に従事する
ことにより、人材及びサービス内容の多様性が確保されるという点がある」
「また、委託
契約は原則として 1 年単位であり、業務の実施状況により受託者が変わる可能性がある
ことから、競争性が確保され、結果として効率的な事務の実施が可能となる」と記載さ
れている。効果として上述下線部分をあげているが、事務を民間委託する理由は行政が
実施する仕事は効率的でないと決めつけているかのような内容になっている。少なくと
もこのような表現は直接業務を実施している地方自治体への説明はつくのであろうか。
さらに、委託期間は原則 1 年単位でありということは「消費者相談等の事務が継続性が
なくてもよい」ということを示しているとしか読み取れない。相談業務等に従事する者
の雇止めについて、業務になじまないものとして消費者庁長官から地方自治体等に、雇
止めの廃止を求めた文書を発信していることとも矛盾するのではないか。むしろ相談員
の雇止めを問題にすること以上に、この記載は消費生活相談等に関して求めているもの
が、その程度のものであると言っているようでもあり、期待する効果などを取り上げる
ことはないと考える。最近の民間委託の傾向を見ると、委託する自治体が経費を節減で
きるというメリットはあるかもしれないが、受託側から見るとデメリットでしかないの
が実情である。
(1)-2.
b事務の民間委託により生ずる可能性がある問題として
「消費者トラブルに直接的な利害関係を有する者又は有する可能性がるものが受託した
場合、公正中立に事務を行うことができなくなるといった問題や、受託した事務を安定的
に実施できる能力を有しないものが受託した場合、質が担保された消費生活相談が継続的
に実施されないといった問題点がある」「また、行政職員との連携が適切にとれない場合
に、相談者が適切な行政サービスに繋がれない・・・」と記しているが、(1)-1で述べ
たように評価されるべきものはなく、むしろ下線部分に示されている問題点、それも公正
中立に事務が行えなくなる、あるいは消費者が求めている行政サービスに繋がれないなど
をあげている。このように多くの問題点があることにもかかわらず、民間への委託を容認
しようとすることは、安心・安全な社会を構築することを目的としている消費者庁の施策
に矛盾するものではないかと懸念する。
(1)-3.
a事務の実施に関して、偽装請負は問題であるが、被害の救済、予防は当該責任者と受託
者の相談員、職員等との連携がなければ、(1)-2.で述べたように消費者が求めている
行政サービスに繋がらないなど業務の遂行ができない。したがって、常に連携を取ること
とまた、業務が適切に遂行されていること政策効果を測定するために、行政が監督、適切
な監視には当該行政だけでなく消費者や消費者目線を持った有識者の参加が必要である。
3 改正消費者安全法の実施に係る地方消費者行政ガイドライン(意見2)
16p
ア
消費者行政担当職員の役割(消費者行政の基あく・立案・調整を行う者として
の重要性)(人財育成と配置の考え方)
●賛成
【理由】
地方消費者行政が、予算の減少を理由に消費者行政担当職員数が大幅に削減されている。そ
のために消費者行政が十分に機能しているとは言えないような状況に陥っている地方消費
行政を活性化するためには、消費生活相談員の質と量の確保のみならず、行政担当職員の質
と量の確保の必要性を指摘していることは評価したい。
17p イ
消費生活相談員の役割
(消費生活相談事務の重要性)(消費生活相談員の職の法
定化)(処遇改善、いわゆる「雇止め」の見直し)について
●消費生活相談事務の重要性を認め、その業務に従事する消費生活相談員の職の法定化が
なされるようになったことは評価するが、今なお消費生活相談員の雇用については問題が
あることから、雇用の改善等にさらなる施策の展開を希望する。
【理由】
これまで、いわゆる「雇止め」が存在することに消費者庁として懸念を持ち、その改善に尽
くしてこられたことは評価したい。ただ、多くの消費生活相談員が任期 1 年の非常勤職員
であることは、周知の事実である。そもそも消費生活相談業務自体が継続性を求められるも
のであることから、本来は雇用期間が 1 年ということはいかがなものか、そのことを問題
にすることなく雇止めにのみ懸念を示すのではなく、本来の消費生活相談員の雇用はいか
にあるべきかを考えることの方が先決。今後は、任期 1 年という任用状況が改善されるこ
とを求める。
4 消費者安全法の改正に伴う関係内閣府令およびガイドラインの概要(意見3)
6p(3)消費生活相談員資格試験
試験の運営【施行規則第 8 条の 8、第 8 条の 20 等、試験業務ガイドライン】
3 まる目 資格の通称について公募より定める
通称でなく正式名称 国家資格としては正式名称とする。
現在、相談員は消費生活相談員とされているから、通称名とするなら消費生活相談員。