2015年2月10日 消費者庁 消費者教育・地方協力課 法制検討担当

2015年2月10日
消費者庁
消費者教育・地方協力課
法制検討担当 御中
消費者安全法の改正に伴う関係内閣府令案及びガイドライン案に関する意見
公益社団法人消費者関連専門家会議
1.総論
①消費者問題の内容が近年ますます複雑化・多様化・高度化しているなか、地方消費者行政の
一層の充実が望まれる。その意味でも、昨年成立した消費者安全法改正は、地域の見守りネ
ットワークの構築、地方自治体における消費生活相談体制の強化、消費者行政職員及び消費
生活相談員の確保・資質向上、など地方消費者行政の強化につながる重要な内容である。
②今回の内閣府令とガイドラインにより詳細が規定されるが、地方消費者行政の充実・強化を
実行足らしめるため、体制や仕組み作りだけではなく、実際に各自治体が取り組み、地域に
よって遅延や格差を生じさせないことが大切であり、国としても各自治体との連携や支援を
進めていただきたい。
③また、消費生活相談員の職を法定化や、消費生活相談等の事務の民間への委託を行うにあた
り、消費者相談の現場に混乱が生じないよう取り進めていただくようお願いしたい。
④当会としても、健全で安全・安心な消費社会の構築に向け活動しているが、今後も可能な範
囲で支援・協力をしていきたい。
2.消費生活相談等の事務の委託について
(
「改正消費者安全法の実施に係る地方消費者行政ガイドライン(案)」Ⅱ―1-(1)-エ)
消費生活相談業務の民間への委託は、効率的な事務運営などメリットも多いと思われる一方で、
利害相反の恐れもあり公正中立を維持できるか疑念が生じること、競争入札による受託業者変
更により雇止めと同じ状態が発生する可能性があること 等の問題点も危惧される。安易な民
間委託が行われないよう、慎重な進め方と管理の徹底をお願いしたい。
3.消費生活相談員の配置について
(
「登録試験機関の消費生活相談員資格試験の試験業務に関するガイドライン(案)」6」
、及び
「改正消費者安全法の実施に係る地方消費者行政ガイドライン(案)
」Ⅱ―1-(2)-ウ)
消費生活相談員の職を法定化するにあたり、現行の消費生活専門相談員、消費生活アドバイザ
ー、消費生活コンサルタントの3資格保有者に対し一定の配慮を行い、現在消費者相談を行っ
ている現場に混乱が生じないよう留意されていることは評価できる。
消費生活相談員を国家資格化するのであれば、質の向上は欠かせず、そのためには雇用の安定
が必要である。いわゆる「雇止め」の見直しや処遇の改善はぜひ実行いただきたい。また、消
費生活相談員資格試験の実施は認定を受けた登録試験機関が実施することになっているが、登
録試験機関同士による受験者の奪い合い、ひいては消費生活相談員の質の低下につながらない
ように留意願いたい。
一方、新たに指定消費生活相談員を指定するよう努めることとされている。趣旨は理解できる
が、この指定消費生活相談員は誰がどのような基準で選ぶのか、市町村で実務経験を積んだ相
談員とのバランスをどう考えるか、もう少し明確なガイドラインが望まれる。
4.消費生活相談員資格試験について
(
「登録試験機関の消費生活相談員資格試験の試験業務に関するガイドライン(案)」4」)
試験の出題形式として「多肢択一や正誤判定等により行うこととする」
「論文や面接を行うこと
が望ましい」とある。しかしながら、今回の改正法では消費生活相談員は相談・あっせん業務
にも従事することが明記されコミュニケーション能力も必要になっており、単なる知識の有無
だけで適性を判断するものではない。また、現行の消費生活専門相談員や消費生活アドバイザ
ーの資格試験では必ず面接試験を行っている。試験の形式に面接を課すことをお願いしたい。
5.地域の見守りネットワークについて
(
「改正消費者安全法の実施に係る地方消費者行政ガイドライン(案)」Ⅱ―2-(1)-ア・
ウ・オ、Ⅱ―1-(1)-ウ、及び「消費者安全法第11条の2の運用に関するガイドライ
ン(案)
」
)
地域の見守りネットワークが有効に機能するためには、行政を含めての効果が上がる運営スキ
ームが必要である。地域協議会が他のネットワークと連携していくことが消費者被害の防止に
つながっていく。相談業務の広域連携の枠組みも同様である。この見守りネットワークと広域
連携が有機的に連携できれば、広いエリアでの機動力を発揮できることができ、情報共有とと
もに、消費者被害の未然防止と被害拡大防止に大きな効果が期待できると考える。そのために
は、行政の指導力と求心力が不可欠であり、現実的で効果的な組織とネットワークを作り運営
していただくようお願いしたい。
また、高齢者などに対する地域の見守りに際しては、個人情報の守秘が必要である。ガイドラ
インで秘密保持に関して述べられているが、昨今の企業の不祥事等により消費者の個人情報に
関する関心と不安は高まっていることもあり、情報管理の注意徹底をお願いしたい。
6.消費生活協力団体について
(
「改正消費者安全法の実施に係る地方消費者行政ガイドライン(案)
」Ⅱ―2-(2)-ア)
消費生活協力団体は、地域における見守り活動や消費者被害防止活動等の担い手として大いに
期待される。ぜひ、事業者が積極的に参加しやすい施策を推進していただきたい。
以上
団体名
住所
所属
電話番号
電子メールアドレス
コウエキシャダンホウジン ショウヒシャカンレンセンモンカカイギ
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