平成27年度入学 事業構想学部デザイン情報学科 特別選抜

平成27年度入学
事業構想学部デザイン情報学科
特別選抜<推薦>
小論文
講評
デザイン情報学科を目指す受験生に対して,現代社会が効率原則から快楽原則へと移行しており,
デザインを考えるうえでレジャー的な側面は重要であるため,「遊び」をテーマとした文章を取り
上げ,文章を読みとく力と自分の考えを論理的に組み立てる力を問う出題とした。
とりあげた文章は大学で教鞭をとる哲学者が新書版で出版した書籍からのもので,高校時代にこ
うした良質な新書版の本を読み思索する習慣をもって欲しいと考えてのことである。(中村雄二郎
『術語集
-気になることば-』岩波新書 1984 年)
大学においては自己学習能力が重要である。その分野の専門家が一般向けに書いた新書版は,エ
ッセンスをわかりやすくまとめてあり,入学後も,デザイン分野の専門書はもちろんのこと,それ
以外の分野の良質な書籍を幅広く読むことを是非して欲しいと考えている。
問1
【出題のねらい】
文章理解(読解力)を問う問題である。
文中の該当部分をほぼそのまま抜き書きすることで対応可能な比較的容易な設問である。
【講評】
遊びとは「現実生活とは別次元の非日常的な行為」であること「自発的に受け入れられた規則に
基づく自由な活動」であることの二点が盛り込まれていることを採点の基準とした。(片方のみの場
合は減点した。)
解答の大多数は的確に書かれていたが,G.ベイトソンのパラドクス,R.カイヨワについて書かれ
た答案が散見された。
問2
【出題のねらい】
文章理解(読解力)と文章構成能力を問う問題である。
文中の内容を理解し,制限時数内で要約することを求めている標準的なレベルの設問である。
【講評】
「遊びの精神は演劇にとって不可欠なもの」「演劇において遊びの精神はもっとも意識的,構造
的にあらわれる」と筆者がしている点と,筆者が捉えるニーチェの考え「遊びと演劇とを根源的に
一体をなすもの」という点とが把握できているかを採点の基準とした。
筆者の捉え方と筆者が考えるニーチェの捉え方とを混同しているものがみられた。
問3
【出題のねらい】
論理的な思考に関しての能力を問う問題である。
バラドクスに関して,引用されることが多い一般的な例であり,その解説を論理的に展開できる
ことを求める設問である。
【講評】
常識として知っている話題であるため,解答しやすいものであったようだ。
「もし言ったことが正しいとするとクレタ人はみんな嘘つきなので彼も嘘つきであり彼の言っ
た内容が正しいわけがなく矛盾し,彼の言った事が嘘だとするとクレタ人である彼は本当のことを
言っている事になり矛盾するため」といったことが書かれているものを基準とし,論理的な飛躍や
誤字脱字などがあった場合は減点法で採点した。
知識として知っていなくても論理的に考えれば,容易に説明できると思われる。
問4
【出題のねらい】
文章の論理的な構成と表現力を問う問題である。
文中に示されている R.カイヨワの分類を適切に活用し,自己の考えを論理的に表現することを求
めている設問である。
【講評】
オリジナリティある興味深い解答が一定数みられた。宮城大にて学ぶ素養が認められた。
少数ではあるが模式的な関係図を示し自己の考えを整理し伝えようと試みたものもいた。
こうした解答に対してはたいへん好感が持てた。
一方,問題と無関係に,明らかに用意してきた文章を書き留めた答案も散見された。