景気循環研究所レポート 機械受注の実勢は横ばい圏 2016 年 3 月 14 日 鉄鋼業の大規模発注がコ 内閣府が 14 日に発表した 16 年 1 月の機械受注統計によると、設備投資 ア機械受注を押し上げる の先行指標である「船舶・電力を除く民需(コア機械受注)」は前月比 15.0%増加した。前月比の増加幅としては、96 年 10 月(26.3%)以来の 大きさである。ただし、鉄鋼業によるボイラ・原動機の大規模な発注が同 月のコア機械受注全体を大幅に押し上げており、鉄鋼業からの発注を除い た同月のコア機械受注は概ね横ばいにとどまっている(図 1)。足元の機 械受注の実勢は必ずしも強くない。 設備投資関連の中小企業 は先行きに慎重な姿勢 むしろ、足元の設備投資には弱含みの兆候がみられる。日本政策金融公 庫「中小企業景況調査」によると、設備投資に関連する中小企業は、先行 き(3 ヵ月程度)の売上げを慎重に捉えている模様だ。過去を見ると、同 調査の中小企業売上げ見通し DI(設備投資関連)は、機械受注の前年比 に 3 ヵ月程度先行して動く傾向がある(図 2) 。最近の同 DI の動きから判 断すると、機械受注の増勢は今春にかけて鈍化する可能性がある。 投資マインドの冷え込み 回避に向けた政策対応 もっとも、現時点では、設備投資に対する慎重な見方は当面 3 ヵ月程度 にとどまっており、16 年度全体の設備投資計画が下振れする状況には至 っていない。財務省「法人企業景気予測調査(16 年 1-3 月期) 」によると、 嶋中 雄二 景気循環研究所長 16 年度の設備投資計画は、大企業・中小企業とも、1-3 月期調査時点とし ては比較的強めの数値となっている(図 3・4) 。足元の機械受注の底割れ を防ぎ、企業の投資マインドを冷え込ませないためにも、政府・日銀によ 鹿野 達史 景気循環研究所副所長 る迅速な政策対応が望まれる。 シニアエコノミスト 宮嵜 図 1. 鉄鋼業の大規模発注が 16 年 1 月のコア機械受注を押し上げる (億円) 浩 10,000 シニアエコノミスト 03-6213-6573 9,500 miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp 9,000 コア機械受注 ※ コア機械受注 =「船舶・電力を除く民需」 8,500 福田 圭亮 シニアエコノミスト 03-6213-2608 fukuda-keisuke@sc.mufg.jp 本レポートは、嶋中雄二の見方に基づき、宮嵜・ 福田が執筆を担当しています。 景気循環研究所 東京都千代田区丸の内 2-5-2 三菱ビルヂング 8,000 7,500 7,000 コア機械受注(鉄鋼を除く) 6,500 6,000 10 11 12 13 14 15 16 (年、月次) (注)コア機械受注(鉄鋼を除く)=コア機械受注(内閣府季調値)-鉄鋼業(同)。 (資料)内閣府「機械受注統計調査報告」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券 景気循環研究所作成 1 2016 年 3 月 14 日 図 2. 機械受注の増勢が鈍化する可能性 (「増加」-「減少」、%ポイント) (前年比、%) 60 80 60 中小企業売上げ見通しDI・設備投資関連(左目盛) 1-3月期 内閣府 受注見通し 40 40 20 20 0 0 -20 -20 -40 -40 機械受注(船舶・電力を除く民需、右目盛) -60 -60 -80 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (資料)内閣府「機械受注統計調査報告」、日本政策金融公庫「中小企業景況調査」をもとに 三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成 15 16 (年、月次) 図 3. 大企業の設備投資計画(法人企業景気予測調査) 16 (前年度比、%) 14 15年度 11.5 12 10.1 8.4 10 9.2 8 6 4 16年度 5.3 5.3 5.0 2 0 -2 -1.0 -2.2 -4 -2.8 3.6 04~15年度の平均 -6 1-3月期 4-6月期 7-9月期 10-12月期 実績見込み (注1)土地を含み、ソフトウェア投資を除く。金融・保険業を含む。 (注2)「04~15年度の平均」は04年4-6月期から16年1-3月期までの調査結果をもとに算出。 (資料)財務省「法人企業景気予測調査」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成 図 4. 中小企業の設備投資計画(法人企業景気予測調査) 10 (前年度比、%) 2.3 5 -2.4 0 -5 04~15年度の平均 -9.3 -7.3 -10 -15 -20 -35 -12.2 16年度 -19.4 -25 -30 0.8 -3.8 -27.9 -30.9 15年度 -36.3 -40 1-3月期 4-6月期 7-9月期 10-12月期 実績見込み (注1)土地を含み、ソフトウェア投資を除く。金融・保険業を含む。 (注2)「04~15年度の平均」は04年4-6月期から16年1-3月期までの調査結果をもとに算出。 (資料)財務省「法人企業景気予測調査」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成 (以 上) みやざき ひろし (16.3.14 宮嵜 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 2 浩) 2016 年 3 月 14 日 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2016 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved. Copyright ◯ 〒100-0005 東京都千代田区丸の内 2-5-2 三菱ビルヂング 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 景気循環研究所 (商号) 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2336 号 (加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取 引業協会 本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA),Inc.が配布致します。 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 3
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