景気循環研究所レポート 景況悪化でも大企業は設備投資に前向き 2016 年 6 月 13 日 企業マインドが冷え込む 財務省が 13 日発表した 4-6 月期の法人企業景気予測調査によると、景 況判断 BSI(自社の景況)は、大企業・中堅企業・中小企業のいずれも低 下した。企業規模にかかわらず、企業マインドは足元で悪化している。 大企業と中小企業の設備 しかし、設備投資に対するスタンスは、企業規模によって異なる。同調 査の設備投資計画(16 年度、ソフトウェア投資額を含み、土地購入額を 投資計画 除くベース)をみると、大企業が前年比 11.4%増、中小企業は同 12.0% 減となっている。一般に、中小企業の設備投資計画は、当初調査では前年 比マイナス見通しから始まり、調査が進むにつれて上方修正される傾向が あるため、4-6 月期時点の計数を大企業と中小企業で単純比較することは できない。しかし、設備投資計画の「修正状況」を比較すると、今回の 4-6 月期調査では、大企業の上方修正幅が過去の 4-6 月期における平均的 な上方修正幅を上回っているのに対し、中小企業の設備投資計画の上方修 正幅は、相対的に小幅にとどまっている(図 1、2)。 対照的なソフトウェア投資計画 設備投資に対する大企業と中小企業のスタンスの違いは、ソフトウェア 投資計画に色濃く反映されている。今回のソフトウェア投資計画(16 年 嶋中 雄二 景気循環研究所長 度)は、大企業で前年比 9.2%増、中小企業では同 15.3%減だった。やは り両者の単純比較はできないが、過去の 4-6 月期におけるソフトウェア投 資計画を振り返ると、今回の中小企業の設備投資計画が 05 年度以来の落 鹿野 達史 景気循環研究所副所長 シニアエコノミスト 宮嵜 ち込み幅となっているのに対し、大企業では 11 年度以来の高い伸び率が 見込まれている(図 3)。中小企業の 4 倍弱の規模を持つ大企業のソフト ウェア投資は、16 年度の設備投資全体を下支えするとみられる。 浩 シニアエコノミスト 03-6627-5132 miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp 図 1. 大企業の設備投資計画(法人企業景気予測調査) 14 (前年度比、%) 12.6 12 福田 圭亮 シニアエコノミスト 03-6627-5133 12.3 10 16年度 8.1 8.0 6 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ 15年度 7.6 6.0 4 2 景気循環研究所 10.7 8 fukuda-keisuke@sc.mufg.jp 本レポートは、嶋中雄二の見方に基づ き、宮嵜・福田が執筆を担当しています。 12.0 11.4 2.8 3.7 04~15年度の平均 1.6 0 1-3月期 4-6月期 7-9月期 10-12月期 実績見込み (注1)土地を除き、ソフトウェアを含む。金融・保険業を含む。 (注2)「04~15年度の平均」は04年4-6月期から16年1-3月期までの調査結果をもとに算出。 (資料)財務省「法人企業景気予測調査」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成 1 2016 年 6 月 13 日 図 2. 中小企業の設備投資計画(法人企業景気予測調査) 15 (前年度比、%) 9.6 10 15年度 5 0 -6.5 -5 -10.6 -15 -25 0.6 -2.4 -3.0 -10 -20 3.1 -0.9 04~15年度の平均 -12.0 -23.5 16年度 -24.4 -30 -35 -30.5 1-3月期 4-6月期 7-9月期 10-12月期 実績見込み (注1)土地を除き、ソフトウェアを含む。金融・保険業を含む。 (注2)「04~15年度の平均」は04年4-6月期から16年1-3月期までの調査結果をもとに算出。 (資料)財務省「法人企業景気予測調査」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成 図 3. ソフトウェア投資計画の変遷(法人企業景気予測調査) 50 25 20 45 15 10 5 0 -5 -10 -15 -20 -75 -25 -80 -30 -85 (前年比、%) 12.1 7.1 45.0 ※ 毎年4-6月期調査における 年度計画 4.4 4.1 12.1 10.9 5.0 4.3 1.1 -0.7 -2.5 -5.0 9.2 8.5 3.6 2.0 1.9 2.8 -1.3 -0.6 -14.0 0.9 -3.1 大企業 -15.3 中小企業 78.0 -23.0 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (注)毎年4-6月期調査における設備投資計画(ソフトウェアのみ)。 (資料)財務省「法人企業景気予測調査」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券 景気循環研究所作成 15 16 (年度) (以 上) みやざき ひろし (16.6.13 宮嵜 浩) 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際してはお客様 ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 2 2016 年 6 月 13 日 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2016 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved. Copyright ◯ 〒100-8127 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティグランキューブ 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 景気循 環研究所 (商号) 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2336 号 (加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取 引業協会 本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA),Inc.が配布致します。 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際してはお客様 ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 3
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