アピキサバン、重大な副作用に「間質性肺疾患」追加

Vol.1.61
平成調剤薬局 医薬品情報 2015.3.28
エリキュース錠(アピキサバン);血液凝固活性化
第Ⅹ因子(FⅩa)を可逆的に阻害する経口抗凝固薬
アピキサバン、重大な副作用に「間質性肺疾患」追加
厚生労働省は 2 月 17 日までに、新規抗凝固薬の 1 つであるアピキサバンについて、使用上の注
意の重大な副作用に「間質性肺疾患」を追加するようメーカーに指示した。これまでの 3 年間
で、23 例の間質性肺疾患関連症例が集積し、このうち 7 例は因果関係が否定できない症例だっ
たことによる。
DI 室長:朝
倉 恵美子
FⅩa(第 Xa 因子)は第Ⅹ因子
が活性化されて生成されるセリ
ンプロテアーゼの一種で、フィ
ブリノーゲンをフィブリンに変
換する役割を担うトロンビン
(FⅡa)を生成する酵素であ
り、血液凝固の中心的役割を果
たしている。アピキサバンは、
この FⅩa に対して高い親和性
と選択性を有し、FⅩa の阻害
を介してトロンビン産生を抑制
することにより、直接的な抗血
液凝固作用及び間接的な抗血小
板作用を示し、抗血栓作用を発
揮する。
第Ⅹa 因子阻害薬
アピキサバン(エリキュース)
イグザレルト(リバーロキサ
バン)
リクシアナ(エドキサバン)
直接的トロンビン阻害薬
ダビガトラン(プラザキサ)
添付文書改訂の対象となるのは、エリキュース錠 2.5mg、同錠 5mg(製造販売元:ブリストル・マイヤー
ズ、販売元:ファイザー)。重大な副作用として、「間質性肺疾患:間質性肺疾患があらわれることがある
ので、観察を十分に行い、咳嗽、血痰、息切れ、呼吸困難、発熱、肺音の異常等が認められた場合には、速
やかに胸部X線、胸部 CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺疾患が疑われた場合には投与
を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと」が追記される。
医薬品医療機器総合機構によると、当初は「間質性肺炎」に限定した追記が検討されていたが、血痰など
出血を含む症例も報告されていたことから「間質性肺疾患」とした。
なお、集積された間質性肺疾患関連症例 23 例には 6 例の死亡例が含まれるが、この 6 例については、ア
ピキサバンとの因果関係が否定できない症例はゼロだった。