HHT JAPAN 2015 わが国における遺伝性出血性末梢血管拡張症患者

HHT JAPAN 2015
わが国における遺伝性出血性末梢血管拡張症患者の臨床病型と
遺伝的背景に関する検討
吉村邦彦(よしむら くにひこ)
青野ひろみ
三井記念病院 呼吸器内科
背景:遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT)は, 全身血管の形成異常を特徴とする常染色体優性遺伝性疾患
であり, HHT1 (endoglin; ENG)とHHT2 (ALK-1; ACVRL-1)が大半を占める. HHT1とHHT2では肺動
静脈奇形(PAVM)などの内臓病変の頻度が異なるが, わが国のHHT1およびHHT2の臨床病態は十分には
解明されていない.
対象と方法: Curaçaoの診断基準3項目以上を満たす自験HHT症例 17例を対象とし, 臨床像, 家族歴,
PAVM, 肝AVM/血管異常, 脳AVM/血管異常, 責任遺伝子プロフィルなどにつき検討した.
結果:HHT確実症例17例の内訳は男女4例:13例, 年齢17 73歳であり, 鼻出血は17例全例, 家族歴は15
例で陽性であった. PAVMは12例(70.6%)に認められ, うち7例が多発性であった. PAVMに対し約半数
の症例でコイル塞栓術ないし外科切除による治療介入が行われた. 肝AVM/血管異常も8例に認められた
が, 脳AVMは検出されず, 血管異常が2例に認められた. 遺伝子解析は8例で施行され, endoglin (ENG)遺
伝子変異が4例, ALK-1 (ACVRL-1)遺伝子変異が3例検出された. 若年性ポリポーシスを合併した1例で
SMAD4 (MADH4) 遺伝子変異が確認された. 家系内症例から, さらに1例がENG遺伝子変異を有すると
推定される.
考察および結論:HHTの病型別診断は, 臨床病態から推定可能と考えられるが, 最終診断はENG,
ACVRL-1, MADH4遺伝子の解析に委ねられる. PAVMに対しては早期の適切な治療介入が必要である.
Key Words: PAVM, endoglin, ALK-1, SMAD4, 臨床病型
Yoshimura K, et al