HHT JAPAN 2015 遺伝性出血性毛細血管拡張症の患者における、当院での頭痛の有無および、肺動静脈瘻に 対する塞栓術が頭痛に対して与える影響の検討 神吉理枝1)(かんき りえ) 小宮山雅樹2)、石黒友也2)、寺田愛子2) 1)大阪市立総合医療センター 神経内科 2)大阪市立総合医療センター 脳血管内治療科 【目的】遺伝性出血性毛細血管拡張症(Hereditary Hemorrhagic Telangiectasia, HHT)は、皮膚・粘膜 の毛細血管拡張や多臓器の動静脈奇形を特徴とする常染色体優性の遺伝性疾患である。HHTは約30%に 肺動静脈瘻を合併し、その場合、前兆のある片頭痛を認めることが多いとされる。また、肺動静脈瘻の塞栓 術後に片頭痛の発作回数が減少するという報告がある。当院でのHHT患者における頭痛 の合併と肺動静脈 奇形の治療後の頭痛の変化を検討した。 【方法】当院に2009年1月から2014年12月までの期間で入院したHHT患者(The Curaçao Criteriaに てdefiniteと診断されたもの)の頭痛の有無、性状、肺動静脈瘻に対する治療後の頭痛頻度の変化を、診療 録及び電話インタビューにて調査した。 【結果】HHT入院感患者50症例のうち、15例で頭痛を認めた。片頭痛が9例(前兆のあるもの3例)、緊張 型頭痛が2例(疑いを含む)、運動誘発頭痛が2例であった。頭痛を認めた15例のうち14例で肺動静脈瘻を 伴っていた。肺動静脈瘻コイル塞栓術後の頭痛消失を認めたのが3例で、頭痛の軽減を認めたのが8例であっ た。2例にて頭痛の変化を認めなかった。消失した3例は、前兆のある片頭痛1例、前兆のない片頭痛1例、 運動誘発性頭痛1例であった。頭痛軽減を認めた8例のうち、前兆のある片頭痛が4例、運動誘発性頭痛が1 例、緊張型頭痛が2例であった。変化を認めなかった2例は、ともに前兆のある片頭痛であった。そのうち、 1例では、合併症のてんかんに対する抗てんかん薬(バルプロ酸)にて頭痛が消失し、肺塞栓術後の変化を認 めなかった。 【結論】HHT入院患者の30.0%に頭痛を認め、片頭痛が最も多く、その有病率は22.0%であった。肺動静 脈瘻を合併したHHT患者では前兆のある片頭痛を高率(38.5%、Marziniak 2009)に認めるとする報告が あるが、当院では17.5%であり、日本人で報告されている2.6%に比し高かった。肺動静脈瘻コイル塞栓 術後、頭痛症例の84.6%で頭痛の軽減ないしは消失を認めた。 Kanki R, et al
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