情報・通信演習1(第3週目): フーリエ変換とその応用

情報・通信演習1(第3週目):
フーリエ変換とその応用
情報・通信工学科
助教 竹内啓悟
1
概要
1. 前回のレポートについて
2. 無限区間上の関数の空間
3. フーリエ変換
4. フーリエ変換の計算例
2
課題1(b)
関数𝑓(𝑥)は偶関数だから、𝑏𝑛 = 0。
𝑛 > 0の場合、
2
𝑎𝑛 =
𝑇
𝑇
2
𝑇
−2
𝑇
𝑇
𝑛
− |𝑥| cos(2𝜋𝑛𝑥/𝑇) 𝑑𝑥 =
1
−
(−1)
2
(𝜋𝑛)2
𝑛 = 0の場合、
2
𝑎0 =
𝑇
𝑇
2
𝑇
−2
𝑇
𝑇
− |𝑥| 𝑑𝑥 =
2
2
3
課題3
𝑎𝑛 と𝑏𝑛 をそれぞれ式(5)と式(6)で定義する。
以下で定義する𝑐𝑛 が、複素フーリエ係数(8)であること
の証明を忘れるな。
1 𝑎𝑛 − 𝑗𝑏𝑛 𝑛 ≥ 0
𝑐𝑛 =
2 𝑎−𝑛 + 𝑗𝑏−𝑛 𝑛 < 0
4
課題5
次の直交性を利用する。
(𝑒 2𝜋𝑗𝑛𝑥/𝑇 , 𝑒 2𝜋𝑗𝑚𝑥/𝑇 ) =
𝑇
2
𝑇
−
2
𝑒 2𝜋𝑗
𝑛−𝑚 𝑥/𝑇 𝑑𝑥
= 𝑇𝛿𝑛,𝑚
式(7)と基底関数との内積を取ると、(一週目課題5を参照)
∞
𝑓, 𝑒 2𝜋𝑗𝑚𝑥/𝑇 =
𝑐𝑛
𝑛=−∞
𝑇
2
𝑇
−
2
𝑒 2𝜋𝑗
𝑛−𝑚 𝑥/𝑇
𝑑𝑥 = 𝑇𝑐𝑚
5
概要
1. 前回のレポートについて
2. 無限区間上の関数の空間
3. フーリエ変換
4. フーリエ変換の計算例
6
復習
• 有限区間[−𝑇/2, 𝑇/2]上の絶対二乗可積分関数全体が
なす空間𝐿2 [− 𝑇 2 , 𝑇 2]はベクトル空間である。
• 関数空間𝐿2 [− 𝑇 2 , 𝑇 2]の標準内積
𝑇/2
𝑓, 𝑔 =
𝑓 𝑥 𝑔 𝑥 𝑑𝑥,
−𝑇/2
𝑓, 𝑔 ∈ 𝐿2 [− 𝑇 2 , 𝑇 2]
• 関数空間𝐿2 [− 𝑇 2 , 𝑇 2]の次元は(加算)無限大である。
7
無限区間上の関数の空間
• 無限区間(−∞, ∞)上の絶対二乗可積分関数全体がなす
空間𝐿2 (−∞, ∞)はベクトル空間である。
• 関数空間𝐿2 (−∞, ∞) の標準内積
∞
𝑓, 𝑔 =
𝑓 𝑥 𝑔 𝑥 𝑑𝑥,
−∞
𝑓, 𝑔 ∈ 𝐿2 (−∞, ∞)
• 関数空間𝐿2 (−∞, ∞)の次元は(非加算)無限大である。
8
デルタ関数
• 任意の関数𝑓(𝑥)に対して、
∞
𝑓 𝑥 𝛿 𝑥 − 𝑦 𝑑𝑥 = 𝑓(𝑦)
−∞
• デルタ関数の性質
∞
𝛿(𝑥) 𝑑𝑥 = 1
−∞
𝛿 𝑥 = 0,
𝑥≠0
9
正規直交基底
• 正規直交系{𝜑𝑤 ∈ 𝐿2 (−∞, ∞)}:
𝜑𝑤 , 𝜑𝑤′ = δ(𝑤 − 𝑤 ′ )
• 完全性
ある関数𝑓 ∈ 𝐿2 (−∞, ∞)に対して、 𝑓, 𝜑𝑤 = 0がすべ
てのwに関して成立するならば、𝑓 = 0。
完全な正規直交系を正規直交基底と呼ぶ。
10
(拡張)フーリエ変換
関数空間𝐿2 (−∞, ∞)の任意の元(関数)𝑓は
∞
𝑓(𝑥) =
−∞
𝑓, 𝜑𝑤 𝜑𝑤 𝑥 𝑑𝑤
と一意に表現できる。
ただし、{𝜑𝑤 }は関数空間の正規直交基底である。
注意:直交基底として複素三角関数系を取ったも
のをフーリエ変換と呼ぶ。
11
概要
1. 前回のレポートについて
2. 無限区間上の関数の空間
3. フーリエ変換
4. フーリエ変換の計算例
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フーリエ変換
𝑓 𝑥 :無限区間上の絶対可積分な関数
• フーリエ変換
∞
𝐹 𝑤 =
𝑓(𝑥)𝑒 −𝑗𝑤𝑥 𝑑𝑥
−∞
• 逆フーリエ変換
1
𝑓 𝑥 =
2𝜋
∞
𝐹(𝑤)𝑒 𝑗𝑤𝑥 𝑑𝑤
−∞
13
対称性の良いフーリエ変換
𝑔(𝑥):無限区間上の絶対可積分な関数
• フーリエ変換
∞
𝑔(𝑥)𝑒 −2𝜋𝑗𝑓𝑥 𝑑𝑥
𝐺 𝑓 =
−∞
• 逆フーリエ変換
∞
𝑔 𝑥 =
𝐺(𝑓)𝑒 2𝜋𝑗𝑓𝑥 𝑑𝑓
−∞
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概要
1. 前回のレポートについて
2. 無限区間上の関数の空間
3. フーリエ変換
4. フーリエ変換の計算例
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フーリエ変換の計算例
関数𝑔(𝑥)を
sin(𝜋𝑥)
𝑔 𝑥 =
𝜋𝑥
と定義する。次の公式を証明せよ。
1
∞
1 (𝑓 < )
2
𝐺 𝑓 =
𝑔 𝑥 𝑒 −2𝜋𝑗𝑓𝑥 𝑑𝑥 =
1
−∞
0 (𝑓 > )
2
16
証明
フーリエ逆変換を計算してみる。
∞
−∞
𝐺(𝑓)𝑒 2𝜋𝑗𝑓𝑥 𝑑𝑓
1/2
=
−1/2
𝑒 2𝜋𝑗𝑓𝑥 𝑑𝑓
sin(𝜋𝑥)
=
𝜋𝑥
右辺は𝑔(𝑥)に等しいので、フーリエ変換より
1
∞
1 (𝑓 < )
sin(𝜋𝑥) −2𝜋𝑗𝑓𝑥
2
𝑒
𝑑𝑥 = 𝐺(𝑓) =
1
𝜋𝑥
−∞
0 (𝑓 > )
2
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