研修会報告:「日銀展望レポートについて~日本の量的・質的緩和政策は?~」 講演者:森成城氏 (日本銀行企画局参事役) 研修担当理事 山口 雅彦 5月28日 (木) に、トヨタ北米事務所にて、日本銀行企画局参事役の森成城氏をお招きし、ラウ ンドテーブル形式の講演会を開催いたしました。 森成城氏は、日本銀行企画局にて金融政策に関する対外説明を担当されていて、本講演会 では展望レポートの内容を踏まえつつ、日本経済の現状と見通しについてお話をお伺いしました。 同氏は2007年7月から2010年8月まで日本銀行ワシントン事務所長、2012年7月から2014年10月ま で金融庁に出向(国際政策管理官)され、2014年11月より現職に就かれております。この間、国際 決済銀行(BIS)、経済開発協力機構(OECD)等が主催する国際会議に多数出席した経験を有し、 金融庁在任期間中には、保険規制の国際基準を決定する保険監督者国際機構執行委員会副 議長を歴任されました。 本講演会では、日本銀行がアベノミクスの第一の矢として、2013年4月に「量的・質的金融緩和 (QQE)」を導入してから2年後の今年5月1日に日本銀行が発表した展望レポート(「経済・物価情 勢の展望」)に基き、2015年度から2017年度までの経済・物価見通しに加え、量的・質的緩和政策 の2年間の効果をご説明いただきました。2017年度までの景気見通しについては、2015年度から 2016年度にかけて潜在成長率を上回る成長を続けると予想され、2017年度にかけては、潜在成 長率を幾分下回る程度に減速しつつも、プラス成長を維持すると述べられました。また、消費者物 価の前年比については、当面0%程度で推移するとみられるが、物価の基調が着実に高まり、原 油価格下落の影響が剥落するに伴って、「物価安定の目標」である2%に向けて上昇率を高めて いくと考えられる。また、物価安定目標の2%程度に達する時期は、原油価格の動向によって左 右されるが、現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2016年度前半頃にな ると予想されるという見方を示されました。講演を遮っての質問もお許しいただき、IMFの世界経 済の見通し、FRBの利上げは日銀の政策に影響するか?などの幅広い質問が出され、活発な議 論を行うことができました。 森氏からは、「ワシントン駐在中に、ワシントン商工会の研修で金融以外の幅広い分野のことを 学ぶ機会を得たほか、商工会の方々に公私ともに大変お世話になりました。何らかの形でお礼の 気持ちを表わすことができればと考え、今回の講師を申し出ました」とおっしゃっていただきました。 お忙しいなかDCに立ち寄っていただき誠にありがとうございました。 また、会場をご提供いただいたトヨタ北米事務所様に、この場を借りて御礼申し上げます。 日本銀行展望レポート http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/index.htm/
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