急変を見逃さない 呼吸モニタリング

急変を見逃さない
呼吸モニタリング
岡山大学医歯薬学総合研究科
森松 博史
本日のお話
•  院内での心停止、急変と前兆 •  Medical Emergency Team •  呼吸モニタリング 1.5年間の前向き観察研究 294名の心肺蘇生
N Engl J Med 1983: 309: 569-­‐76 生存退院率は?
14%
N Engl J Med 1983: 309: 569-­‐76 2000-­‐2009年の10年間 561病院で76,835件の心肺蘇生
ResuscitaCon 2014 in press
生存退院率は?
12.1%
ResuscitaCon 2014 in press
4ヶ月間の観察研究 64件の心停止
Chest 1990; 98: 1388-­‐92 生存退院率は?
8%
Chest 1990; 98: 1388-­‐92 前兆
兆候
頻度
呼吸
38%
代謝
11%
心臓
9%
8時間以内に何らかの異常
84%
呼吸または意識の異常
70%
Chest 1990; 98: 1388-­‐92 ほとんどの心停止患者は何らかの
前兆を示している!
しかも・・・
•  心停止前の血液検査所見は一定の傾向無し。 •  心停止前のバイタルサインでは・・・ –  呼吸回数が平均でも29回/分
心停止の前には呼吸がおかしくなる人が多い!
20ヶ月間の観察研究 150件の病棟での心停止
Crit Care Med 1994; 22: 244-­‐247 生存退院率は?
9%
Crit Care Med 1994; 22: 244-­‐247 前兆
•  150例中99例(66%)で何らかの異常ありと
記録されていた。 看護師が医師 •  25%
に連絡せず •  19/25は意識の異常
医師が患者 •  43%
は診たがICU •  38/43は血液ガスが異常または
には連絡せず 採血せず
ICU医師が
放置
•  32%
•  22/32は搬送までに急変
病院内で心肺蘇生を受けると、 生存して退院できる確率は・・・
8-14%
急変・心停止症例の前兆ありは・・・
60-80%
急変・心停止は・・・ 本日のお話
•  院内での心停止、急変と前兆 •  Medical Emergency Team •  呼吸モニタリング BMJ 2002; 324: 1-­‐6
MET Criteria
•  気道 –  呼吸不全 –  気道が不安 •  呼吸 – 
– 
– 
– 
呼吸回数>30 呼吸回数<6 SaO2 < 90% 話が出来ない
•  循環 –  血圧<90 mmHg –  脈拍数>130 •  意識 –  意識障害 –  ごそごそ、せん妄 –  けいれん •  そのほか –  何か心配 MET導入前と後
前
後
380
393
19.67
17.20
73
47
3.77
2.05
院内死亡
死亡数
1000人あたり
心停止
心停止数
1000人あたり
統一した基準での急変時コールとそれ
に対応するチームでの介入は・・・
院内死亡と院内心停止を減少させる!
BMJ 2002; 324: 1-­‐6
対象患者はMajor surgeryのみ 4ヶ月before、2ヶ月導入期、4ヶ月aWer Crit Care Med 2004; 32: 916-­‐921
• 
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• 
患者に関して何か心配なとき。 急性の変化 心拍数 <40 or >130 急性の変化 血圧 <90 mmHg 急性の変化 呼吸回数 <8 or >30 急性の変化 SpO2 < 90% 酸素投与下 急性の変化 意識状態 急性の変化 尿量<50ml in 4hr コントロール
MET
P value
呼吸不全
75 (6.7%)
15 (1.4%)
<0.0001
脳卒中
19 (1.7%)
4 (0.3%)
0.0026
敗血症
18 (1.6%)
4 (0.3%)
0.0044
ICU再入室
33 (2.9%)
20 (1.8%)
NS
透析
27 (2.4%)
2 (0.02%)
0.0001
心筋梗塞
22 (1.9%)
15 (1%)
NS
肺塞栓
5 (0.04%)
1 (0.01%)
NS
MET導入でMajor surgery術後の
合併症が減る!
本日のお話
•  院内での心停止、急変と前兆 •  Medical Emergency Team •  呼吸モニタリング はく 呼気 ExpiraCon
すう 吸気 InspiraCon
呼吸とは?
•  生理学的 –  酸素を取り入れて、二酸化炭素を排泄する。 •  解剖学的 –  上気道、下気道 –  鼻腔、口腔、咽頭、喉頭、声門、気管、気管支、
肺胞 –  肺動脈、肺静脈 呼吸モニタリングとは?
•  はくこと –  呼気 –  二酸化炭素の排泄 –  換気 •  すうこと –  吸気 –  酸素の取り込み –  酸素化
換気と酸素化のモニタリング MET Criteria
•  気道 –  呼吸不全 –  気道が不安 •  呼吸 – 
– 
– 
– 
呼吸回数>30 呼吸回数<6 SaO2 < 90% 話が出来ない
•  循環 –  血圧<90 mmHg –  脈拍数>130 •  意識 –  意識障害 –  ごそごそ、せん妄 –  けいれん •  そのほか –  何か心配 • 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
患者に関して何か心配なとき。 急性の変化 心拍数 <40 or >130 急性の変化 血圧 <90 mmHg 急性の変化 呼吸回数 <8 or >30 急性の変化 SpO2 < 90% 酸素投与下 急性の変化 意識状態 急性の変化 尿量<50ml in 4hr 呼吸モニタリングの実際
•  酸素化のモニタリング –  SpO2 •  換気のモニタリング –  呼吸回数
酸素化のモニタリング
•  SpO2 •  PaO2 SpO2測定
•  プローブの選択 換気のモニタリング
•  呼吸回数 •  呼気二酸化炭素 •  PaCO2 GOLD STANDARDは血液ガス分析!
酸素化 (OXYGENATION)と換気(VENTILATION) の両方を評価しよう!
pH pCO2
pO2
7.050
29.9
278.3
過換気
酸素化良好
pH pCO2
pO2
7.050
126 低換気
65.3 酸素化不良
本日のお話
•  院内での心停止、急変と前兆 •  Medical Emergency Team •  呼吸モニタリング