DIニュース No.180 2015. 8. 3 秋津鴻池病院 薬剤部 ☆ 点眼薬の使い方にもいろいろ注意が必要です…☆ 点眼剤は、結膜嚢などの眼組織に適用する、液状、または用時溶解もしくは用時 懸濁して用いられる固形の無菌製剤であると規定されています。 その分類としては、医薬品を精製水に溶解した水性点眼液、稠度の高い粘性点眼 液、医薬品を精製水に懸濁した水性懸濁点眼液、精製水に難溶性医薬品を可溶化し た可溶化点眼液などがあります。主剤が粉末状で用時溶解して用いるものも水性点 眼液に含まれます。 点眼剤の使用上の注意点について ●点眼方法 ①点眼前に石けんなどで十分に手を洗う。 ②点眼液の容器の先端が、眼瞼やまつげに触れないように点眼する。容器の先端が眼に触れると涙液が 逆流して点眼容器内が汚染される可能性がある。 ③点眼後、閉眼し、涙嚢部を圧迫する。これにより点眼剤の鼻粘膜からの吸収による全身移行(※1)が 抑えられ、全身性の副作用の発現を減少できる。あふれ出た点眼液(※2)は、きれいなガーゼやティ ッシュで拭き取る。 ●1回の点眼量 1滴の点眼液は20~50μLであるのに対して、結膜嚢の最大保持量は20~30μLであるため、複数滴を 点眼しても、液は眼球外に出てしまう。また、効果の増大も認められないことから、1回1滴の使用で 十分である。 ●点眼間隔 2種類以上の点眼液を用いる場合には、涙液のターンーオーバーを考慮すると5分以上の間隔を おいて点眼することが望ましい。 ●点眼順序 複数の点眼剤を使用する際には、多くの場合、5分以上の間隔をおけば問題ないが、懸濁剤は懸濁 粒子が結膜表面で溶解して持続効果を示すので、懸濁性点眼剤(※3)を使用した後に他の点眼剤を 使用すると結膜上の薬物を洗い流すことになる。また、眼軟膏を合わせて使用する場合は、水性点眼 液をはじいてしまうので最後に使用するよう注意する。 ●保存方法(※4) 冷暗所の指示がある場合には冷蔵庫で保存するようにする。指示がないものでも、直射日光を避け、 なるべく涼しいところでしっかりふたをして保存し、持ち歩くときにも保存状態に注意する。 また、用時溶解するものでは使用期間が定められているので、薬剤を溶解した日を書き込み、必ず 期限までの使用とする。 ※1 鼻粘膜からの吸収による全身移行 全身性の副作用に注意するものとして、β遮断薬があります。β遮断薬は、緑内障患者の眼圧低下を目的 として使用されます。緑内障患者には中高年者が多く、様々な基礎疾患を有する可能性が高いため、点眼剤 の全身移行を少なくする注意が必要です。β遮断作用により、呼吸器、心臓への作用が現れることが考えら れ、気管支喘息や心不全を有する方には禁忌です。 β遮断薬に分類される点眼剤としては、チモプトール点眼液(チモロールマレイン酸塩)、ミケラン点眼液 (カルテオロール塩酸塩)などがあります。当院採用品では、コソプト配合点眼液にチモロールマレイン酸 塩が含まれていますので、注意して下さい。 ※2 あふれ出た点眼液 眼瞼炎等の原因になることがあります。 ※3 懸濁性点眼剤 フルオメソロン点眼液0.02%(フルオロメトロン)、カリーユニ点眼液0.005%(ピレノキシン) ※4 保存方法 当院では、汚染予防を目的として、開封後は冷所保管としています。 ※その他 ラタノプロスト点眼液0.005%(ラタノプロスト)では虹彩色色素沈着が報告されています。また、まぶ たの色素沈着、まつ多毛に注意して下さい。 プロラノン点眼液0.1%(プラロプロフェン)、アズラビン点眼液0.02%(アズレンスルホン酸ナトリウ ム)等の非ステロイド性抗炎症剤の使用は、感染症を不顕化する恐れがあるため注意が必要です。
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