しんきんアセットマネジメント投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号 Sh inkin Asset Management Co., Ltd 加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会 〒104-0031東京都中央区京橋3丁目8番1号 URL:http:// www.skam.co.jp 投資環境 2015 年 3 月 13 日 ECBの量的緩和を受けた債券投資 1.ECBが国債買入れを開始 欧州中央銀行(ECB)が 3 月 9 日から国債買入れを開始したことを受け、欧州債利回りは軒並み過 去最低を更新しました(図表 1) 。連日、国債買入れが実施されており、マイナス利回りの国債も買い入 れられた模様です。報道によるとECBのクーレ理事が、開始から 3 日間で 98 億ユーロ買い入れたこ とを明らかにしました、11 日には独 10 年債利回りは一時 0.2%を、スペイン 10 年債利回りは 12 日に 一時 1.0%を下回りました。 ECBの量的緩和(QE)の概要は以下の通りです。 ・ 規模 : 月 600 億ユーロ 総額 1 兆 1,400 億ユーロ = 600 億ユーロ × 19 か月 ・ 期間 : 2015 年 3 月~2016 年 9 月 ・ 買入対象 : 各国の国債、欧州機関債、政府機関債、カバードボンド、ABS ・ 各国債の買入額 : ユーロ圏各国のECBへの出資比率に応じ、各国の中央銀行が自 国の国債のみを購入 ・ 買入上限 : 1 銘柄 25%まで ・ 年限 : 2 年~30 年(2 年以上 31 年未満) ・ 買入対象の国債利回り : 政策金利(中銀預金金利)のマイナス 0.2%が下限 2.欧州債市場への影響は? ECBはカバードボンドとABSを月当たり 100~120 億ユーロ買入れてきました。月 600 億ユーロ の内訳は公表されていませんが、カバードボンドとABSを 100 億ユーロ、機関債を 50 億ユーロとす ると、国債は 450 億ユーロで、国債の総額は 8,550 億ユーロ。カバードボンドとABSを 110 億ユー ロ、機関債を 50 億ユーロとすると、国債は 440 億ユーロで、国債の総額は 8,360 億ユーロになります (図表 2)。 図表1. 欧州各国の10年債利回り推移 図表2. ECBへの出資比率と 国債買入れ総額 (%) 8.0 (億ユーロ) 30% 7.0 2,500 25% 6.0 2,000 20% 5.0 ポルトガル 4.0 1,500 15% 1,000 ドイツ 15/4 15/1 14/10 14/7 14/4 14/1 13/10 13/7 13/4 13/1 0.0 (年/月、日次) (出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成 ※最終頁の「本資料に関してご留意していただきたい事項」を必ずご確認ください。 マルタ 1.0 エストニア 0 ラトビア 0% リトアニア フランス アイルランド 2.0 ポルトガル 500 ギリシャ 5% オランダ イタリア 3.0 イタリア 10% ドイツ スペイン ECBへの出資比率(ユーロ圏、左目盛) 国債買入額総計(試算値、右目盛) (出所)ECBよりデータ取得し、しんきん投信作成 Shinkin Asset Management Co., Ltd 1 投資環境 2015 年 3 月 13 日 しんきんアセットマネジメント投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号 Sh inkin Asset Management Co., Ltd 加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会 〒104-0031東京都中央区京橋3丁目8番1号 URL:http:// www.skam.co.jp ECBは買い入れる債券が不足することはないとしていますが、需給がひっ迫し、債券価格が上昇す る中、投資家が欧州債をなかなか手放さないとの指摘も聞かれます。 国債の買入れ総額をECBへの出資比率で案分すると、ドイツ国債は 2,040~2,090 億ユーロ、フラ ンス国債は 1,680~1,720 億ユーロ、イタリア国債は 1,460~1,500 億ユーロとなります。やや荒い計 算ですが、期間 2 年~30 年のドイツ国債の残高は 7,900 億ユーロ弱とすると、この残高に対する量的 緩和によるドイツ国債買入れ総額の割合は 27%程度と 4 分の 1 以上を買い入れることになります。同 様に、フランス国債では 15~16%、イタリア国債は 10%弱となり、ドイツ国債よりは需給のひっ迫感 は弱まります。 さらにドイツ国債の利回りは、2 年債、3 年債でマイナス 0.2%を下回っており、今のところ買入対象 外で、期間が長めの債券から買い入れることになります(図表 3)。QEを背景にデフレ圧力が弱まり、 2 年債、3 年債の利回りが買入対象水準に戻るまでは、イールドカーブのブル・フラット化(利回り低 下・平坦化)が促されることが想定されます。 3.QE下での投資 その他の国債は、ドイツ国債以上に需給がひっ迫することはなさそうです。もっとも、その他の国債 についても、QEに加え、利回りはドイツ国債に追随するため、金融支援が延期され買入対象外となっ ているギリシャ国債を除き、ブル・フラット化圧力はかかりそうです。 ドイツ国債の利回りは 12 日時点で、10 年債で 0.2%半ば、30 年債で 0.7%程度まで低下しており、 低下余地が限られてきていますが、イタリア国債やスペイン国債の利回りは相対的に魅力的で、一段の 低下余地がありそうです。しばらくは、欧州債のブル・フラット化、イタリア国債やスペイン国債のド イツ国債との利回りスプレッドの縮小圧力が続きそうです。 ちなみに、米国債利回りはドイツ国債を大きく上回っており、利回り格差は 2000 年以降で最大(図 表 4) 。日本国債については、期間が長めの利回りが相対的に高いため、イールドカーブのスティープ化 (急勾配)が他国に比べ目立っています。QEを背景に欧州債にはブル・フラット化圧力が強まる中、 相対的にはイタリア、スペインなどのやや格付けの劣る国債、独国債との対比では利回り水準が魅力的 な米国債、日本の超長期国債などに投資妙味がありそうです。 0.5 0.0 -0.2% -0.5 0 10 20 (出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成 (年/月、日次) 米国 30 (年限) イタリア 日本 15/1 1.0 14/10 1.5 14/7 2.0 図表4. ドイツ国債からの利回りのかい離 (30年債) 14/4 2.5 (%) 14/1 4.0 3.5 米国 3.0 イタリア 2.5 スペイン 2.0 1.5 日本 1.0 フランス 0.5 0.0 ドイツ -0.5 -1.0 -1.5 13/10 2015/3/12 13/7 図表3. 各国のイールドカーブ 13/4 (%) 13/1 3.0 フランス (出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成 ※最終頁の「本資料に関してご留意していただきたい事項」を必ずご確認ください。 Shinkin Asset Management Co., Ltd 2 投資環境 2015 年 3 月 13 日 しんきんアセットマネジメント投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号 Sh inkin Asset Management Co., Ltd 加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会 〒104-0031東京都中央区京橋3丁目8番1号 URL:http:// www.skam.co.jp (参考) 独連邦債残高 (億ユーロ) 2,000 1,800 1,600 1,400 買入対象 1,200 1,000 800 600 400 200 0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 (出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成 (年限) (補足 1)週間ベースの買入れの概要はECBのウェブサイトに掲載され、詳細な内訳は月ごとに公表 (補足 2)ECBの政策金利:主要政策金利 0.05%、限界貸付ファシリティ金利(上限金利)0.30%、中銀預金金利 (預金ファシリティ金利、下限金利)マイナス 0.20% ECBの政策金利は、1週間物の流動性供給(MRO、Main Refinancing Operations)を受ける際に金融 機関がECBに支払う金利。預金ファシリティ金利は政策金利に連動して決定され、金融機関がECBに余 剰資金を預け入れた際に支払われる。限界貸付ファシリティ金利と呼ばれ、金融機関が市場から資金を調達 できない場合にECB(各国中央銀行)が貸付を行う際の金利。なお、LTRO(Longer-term Refinancing Operations、長期資金供給オペレーション)は補助的な資金供給手段とされ、原則毎月 1 回、期間 3 か月 で実施 (補足 3)資産担保証券(ABS、Asset Backed Securities)とは、住宅ローン、自動車ローン、リース、クレジット カードなどの貸付債権等の資産を裏付けとして発行される証券 (補足 4)カバードボンド(担保付債券)とは、主に住宅ローンや公共機関向け貸付等の債権を担保として金融機関が 発行する債券 (シニアストラテジスト ※最終頁の「本資料に関してご留意していただきたい事項」を必ずご確認ください。 鈴木和仁) Shinkin Asset Management Co., Ltd 3 投資環境 2015 年 3 月 13 日 しんきんアセットマネジメント投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号 Sh inkin Asset Management Co., Ltd 加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会 〒104-0031東京都中央区京橋3丁目8番1号 URL:http:// www.skam.co.jp <本資料に関してご留意していただきたい事項> ※本資料は、ご投資家の皆様に投資判断の参考となる情報の提供を目的として、しんきんアセットマネジメント 投信株式会社が作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。 ※本資料は、信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、当社はその正確性、完全性を保証するも のではありません。また、いかなるデータも過去のものであり、将来の投資成果を保証・示唆するものではあ りません。 ※本資料の内容は、当社の見解を示しているに過ぎず、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。 記載内容は作成時点のものですので、予告なく変更する場合があります。 ※投資信託は、預金や保険契約とは異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の補償の対象ではありません。 また、金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。 ※投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替リスクもあります)に投資しますので、基準価額 は変動します。したがって、預金と異なり投資元本が保証されているものではありません。運用による損益は すべて投資者の皆様に帰属します。 ※特定ファンドの取得のお申込みに当たっては、販売会社より当該ファンドの投資信託説明書(交付目論見書) をあらかじめ又は同時にお渡しいたしますので、必ず内容をご確認の上、ご自身でご判断ください。また、請 求目論見書については、販売会社にご請求いただければ、当該販売会社を通じて交付いたします。 【お申込みに際しての留意事項】 投資信託に係るリスクについて 投資信託は、株式や債券等の値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替リスクもあります) に投資しますので、基準価額は変動します。したがって、預金と異なり投資元本が保証されてい るものではありません。運用による損益はすべて投資者の皆様に帰属します。 また、投資信託は、個別の投資信託ごとに投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対 象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なりますので、ご投資に当たっては交付目論 見書や契約締結前交付書面をよくご覧ください。 投資信託に係る費用について (お客様に直接ご負担いただく費用) ご購入時の費用・・・購入時手数料 上限 3.24%(税抜 3.0%) ご換金時の費用・・・信託財産留保額 上限 0.3% (保有期間中に間接的にご負担いただく費用) 運用管理費用(信託報酬) ・・・純資産総額に対して、上限年率 1.5984%(税抜年率 1.48%) その他の費用・・・監査費用、信託財産に関する租税、信託事務の処理に要する諸費用、有 価証券売買時の売買手数料等及び外貨建資産の保管等に要する費用は、ファンドより実費と して間接的にご負担いただきます。また、運用状況等により変動するものであり、事前に料 率、上限額等を示すことができません。 投資信託に係る上記費用(手数料等)の合計額については、ご投資家の皆様がファンドを保有 される期間等に応じて異なりますので、表示することができません。 《ご注意》 上記に記載しているリスクや費用につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費 用の料率につきましては、しんきんアセットマネジメント投信が運用する全ての投資信託のう ち、ご負担いただくそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。投資信託に係るリ スクや費用は、それぞれの投資信託により異なりますので、ご投資される際には、事前に交付目 論見書や契約締結前書面をよくお読みください。 ※「日経平均株価」 (日経平均)に関する著作権、知的所有権その他一切の権利は日本経済新聞社に帰属します。 日本経済新聞社は日経平均株価を継続的に公表する義務を負うものではなく、その誤謬、遅延又は中断に関 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