XPSによるCu-CMP後洗浄したウェーハ表面評価

Technical News
●XPS による Cu-CMP 後洗浄したウェーハ表面評価
TN148
Surface analysis of wafer after post Cu-CMP cleaning by X-ray Photoelectron
Spectroscopy(XPS)
[概
要]
Cu-CMP(Chemical Mechanical Polishing)とは、層間絶縁膜の配線溝に成膜された Cu を研磨して、埋め込みを
完成させるプロセスです。Cu-CMP 後の洗浄液には、Cu 膜の酸化を抑えるために保護膜剤(防錆剤)が添加さ
れることがあります。この添加剤や Cu 酸化物が Cu 膜表面に残留すると、配線抵抗の増加や電流リークの原因
になります。そこで、添加剤の残留レベルや Cu 膜の酸化状態を把握することが重要となります。この評価に
XPS が威力を発揮します。
例]
18000
14000
8000
C(1s)
Cu(3p)
4000
この例では、Cu、C、O、N が検出されました。
O(2s)
Cu(3d)
6000
Cu(3s)
ピークが現われます。
10000
N(1s)
元素固有の結合エネルギー値のところに
12000
Cu(Auger)
の強度(counts)を示します。
E lectron C ounts
ンモードによる定性分析結果を図 1 に示します。
横軸は結合エネルギー値(eV)を、縦軸は光電子
O(Auger)
Cu(2p1)
Cu(2p3)
16000
Cu-CMP 後洗浄した Cu 表面のサーベイスキャ
O(1s)
1.定性分析
Cu(Auger)
[事
2000
0
図1
1000
800
600
400
200
Cu-CMP 後洗浄した Cu
表面のサーベイスキャンスペクトル
B inding E nerg y (eV)
8000
2.化学結合状態分析
①
7000
Cu(2p)の化学結合状態分析を行った結果を
0価、+1価の Cu 由来のピーク、②は CuO、
Cu(OH)2など+2価の Cu 由来のピークと推定
されます。
③は、CuO の電荷移動サテライトピークです。
このようなサテライトピークを利用して+1価
と+2価の Cu を区別することもできます。
E lectron C ounts
6000
図 2 に示します。①は、金属 Cu、Cu2O など
5000
②
4000
③
3000
2000
1000
0
975
970
965
960
955
950
945
940
935
B inding E nerg y (eV)
図2
Cu-CMP 後洗浄した Cu 表面の
Cu(2p)ナロースキャンスペクトル
930
925
0
3.Cu-CMP 後洗浄した Cu 膜表面状態の経時変化
Cu-CMP 後洗浄した Cu 膜表面の Cu(2p)ナロー
10000
スキャンスペクトルの経時変化を図 3 に示します。
9000
洗浄からの日数が経つにつれ CuO など+2価の
8000
洗浄直後
ていることがわかります。同様に、CuO の電荷移
動サテライトピーク(図 2 ピーク③)も増加してい
7日後
7000
E lectron C ounts
Cu に由来するピーク強度(図 2 ピーク②)が増加し
3日後
6000
5000
4000
3000
ます。
2000
これは、洗浄後の時間経過により、徐々に Cu
1000
膜表面で酸化が進行し、+2価の Cu の存在比が高
0
975
くなったと考えられます。
970
図3
965
960
955
950
945
940
935
930
B inding E nerg y (eV)
Cu(2p)ナロースキャンスペクトルの経時変化
4.Cu 状態比率の経時変化
図 4 は、洗浄液別の Cu 状態比率の経時変化をグラフで表わしたものです。洗浄液には、保護膜剤として
それぞれ異なる添加剤 A、B、C、D が含まれています。
Cu(Oxide)は+2価の Cu の、Cu(Metal)は0価、+1価の Cu 状態比率で表わされます。添加剤 A や B は日数
が経つにつれ Cu(Oxide)/Cu(Metal)値が大きく増加し、Cu 表面での酸化の進行が著しいことがわかります。そ
れに対して添加剤 D では洗浄から1週間経過後も、酸化が比較的進んでいません。この結果から、添加剤 D
が Cu 膜の酸化防止に最も有効であることがわかります。
Cu(Oxide)/Cu(Metal)
2.00
添加剤A
1.50
添加剤B
1.00
添加剤C
0.50
0.00
洗浄直後
3日後
7日後
添加剤D
図 4 Cu(Oxide)/Cu(Metal)値の経時変化
[キーワード]
デバイス、銅配線、スラリー、ベンゾトリアゾール、BTA
作成:筑波事業所(TM0003) 2-B0-(25) 改訂(1404)
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