静岡県工業技術情報 No.88(2015) 平成26年度 技術相談事業 指導相談事例 コールセンターの着信予測 【はじめに】 近年顧客に対するサービスとしてコールセンターを置く企業が増えています。コールセンター には毎日多くの電話がかかってきます。その電話は専属のオペレーターによって処理されます が、かかってくる電話の着信数に対し、オペレーターの人数が少ないとなかなか電話がつながら ず、顧客を待たせることとなります。一方着信数に対しオペレーターの数が多い場合、電話はす ぐにつながりますが、仕事をしないオペレーターが現われ人件費が無駄になってしまいます。企 業イメージを保つためにも、コスト削減のためにもコールセンターにかかってくる着信数を予測し、 適切な人数のオペレーターを配置する必要があります。 【着信数の予測方法】 今回着信数の予測には品質工学の手法である MT システムの T 法を用いました。MT システ ムはパターン認識の方法で、今回用いた T 法は予測のための方法です。特徴量である複数の 項目のパターンを数値化し、基準となる単位空間データのパターンとの違いから予測します(図 1)。この T 法を用い、2012 年度に蓄えられた毎日の着信数のデータから着信数を予測できる か検討しました。 今回、月、日、曜日、直前の連休の日数などの項目を特徴量としパターンを形成しました。毎 月の奇数週のデータを基準としパターンの違いから着信数の予測を行いました。この際、曜日 は数値データではなく質的変数であるため、月曜日から順番に 1、2、3、・・・7 と割り付けました。 これを元に予測の精度を調べるために 2012 年の毎月の第 4 週を推定し、実際の着信数と比 較しました。その結果を図 2 に示します。予測値と実際の着信数の相関係数(R2)は 0.87 となり、 高い精度で予測できることが確認できました。現在、この方法で着信数を予測し、適切な人員 配置を行う方法を継続して検討しています。 図 2 実際の着信数と推定値 ▲図 1 T 法のコンセプト ▲図 2 実際の着信数と推定値 お問い合わせ先 浜松工業技術支援センター 機械科 電話 053-428-4155 9
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