2 年生版 第 21 号 http://izumi-math.jp/sanae/ [email protected] 今度は定数 a を含む次のような非線形な漸化式を考えてみましょう。 xn+1 = a xn (1-xn ) (a は定数、n = 0, 1, 2, ・・・) 少し難しい式ですが,線形の漸化式からは想像もつかないような,興味深い内容が数多く含まれてい ます。 それでは a の値をいろいろと変えてグラフの変化の様子を見てみましょう。今度は第 100 項まで (n=100)を計算させてみます。 a=0.6 a=1.8 【第 5 回】3 つの図形の体積と表面積 さて球の体積と表面積の求め方がわかったところで,円柱・円錐と球の体積,表面積の関係について まとめてみましょう。次の図のように,半径 r,高さ 2 r の 3 種類の立体図形を考えてみましょう。 そしてそれぞれの図形の体積を考えてみます。 図形 円錐 球 円柱 2 3 4 3 V r V r 体積 V 2 r3 3 3 1 2 3 比 3 種類の図形の体積の比は見事に 1:2:3 となっていますね。見方を変えれば円錐と球を合わせれば, 円柱の体積になるともいえます。 今度は表面積を考えてみましょう。球の表面積はおなじみですが,円錐と円柱の面積は少し面倒です。 まずは円柱の表面積を求めてみましょう。円柱は側面積と上下の 2 つに円の面積を足せばよいので, 図形 円錐 球 円柱 表面積 ( 5 1) r 2 4 r2 6 r2 2 3 5 1 2 5 1 :2:3 となり,残念ながら体積のときのようなきれいな値にはなり 2 5 1 ませんでした。しかし,この という値,どこかでお目にかかっていませんか? 2 そうです,黄金比の値なのです。こんなところにも黄金比の値が顔をのぞかせていたのですね。 結局 3 種類の表面積の比は 【第 2 回】非線形な漸化式 a=3.2 a=3.5 a=3.9 最初の 3 つは一定の値に収束するのが分かりますが,あとの 3 つはどうでしょう。分かりやすくする ために最後の 10 項(n=90~n=100)だけを取り上げてみます。 S 2r 2 r 2 r 2 4 r 2 2 r 2 6 r 2 次に円錐の表面積を考えます。円錐の母線の長さは,三平方の定理より 5r ですから, 1 S 5r 2 r r 2 ( 5 1) r 2 2 比 a=2.8 a=3.2 の場合は 2 つの値を,a=3.5 の場合は 4 つの値を交互に取るようですが,a=3.9 の場合はいろい ろな値をとります。 ・a = 0.6 ・・・ 0 に収束 ・a = 1.8 ・・・ 一定値に収束 ・a = 2.8 ・・・ 振動しながら一定値に収束 ・a = 3.2 ・・・ 振動しながらある 2 つの値に次第に近づき,2 つの値を交互に繰り返す ・a = 3.5 ・・・ 振動しながらある 4 つの値に次第に近づき,4 つの値を交互に繰り返す ・a = 3.9 ・・・ すぐにははっきりとした規則性は見いだせない ①~③のように軌道が最終的に 1 つの点に落ち着くとき,その点を安定不動点といいます。④,⑤の ように振動しながらある 2 つ(または 4 つ)の点に近づきその点を繰り返すとき,その点を安定 2(ま たは 4)周期点といいます。まとめると,つぎのようになります。 ① 0 < a < 1 のとき 一定値 0 に収束 ② 1 < a < 3 のとき 0 でない一定値に収束 ③ 3 < a < 4 のとき 最初は 2 つの値で振動,その後 4 つの値で振動,その後は・・・ 0<a<3 については簡単な性質をすぐに見いだすことができます。しかし,a の値が値 3 を過ぎる とき非常に複雑な様相を示すことがわかります。つまり、a>3 のときの様子を探っていけば,更に新 たな発見が出てきそうです。最初は 2 つの点で周期性を示し,次に 4 つの点で周期性を示します。その まま,どんどんその周期性は倍々ゲームのようになっていくのでしょうか。
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