自然数を連続した数の和に分解する

【第 2 回】コーラのビン
Mathematics Magazine for Everyone
No.4
2015.6
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【第 2 回】自然数を連続した数の和に分解する
ある清涼飲料水の広告に
「3 本の空きビンで 1 本もらえます」
というのがありました。
たとえば,5 本買ったとすると,3 本で 1 本もらえ,その空きビンと残ってい
た空きビンとでさらにもう 1 本もらえます。
つまり,5 本買うと 7 本飲めることになります。
では,
「何本買うと 100 本飲めるでしょうか?」
ある自然数を連続した数の和に表すことができるかどうかを考えてみましょう。足す自然数の個数は
何個でもかまいません。例えば,
6=1+2+3
1,2,4,5,7,8,
・・・
9=4+5
などのように,自然数の和で分解できるかということです。しかも
9=2+3+4
のように、表し方は 1 通りとはかぎりません。自然数が与えられたとき,その自然数が連続した整数の
和に表すことができるかどうか,もし表されるとしたとき,その分解の仕方は何通りあるのか?
さあ,どうでしょうか?!
飲める本数の数列をつくると,
実は約数の中の(1 を除く)奇数が大きく関与しているのです。例えば
18 を考えてみましょう。18 の 1 以外の約数には
となります(確かめてみてください)
。この数列を次のように 2 つずつ組にして考えてみます。
第1群 第2群 第3群
1,2, 4,5, 7,8, ・・・
第 n 群の最初の数を取り出すと,
1,4,7,10,
・・・
より, 1 ( n 1) 3 3n 2 。ここで 3n 2 100 とすると, n
34 より 100 は第 34 群の最初の数となり
ます。さて,ここまで説明するともう答えはわかりますね。
2, 3, 6, 9, 18
があります。この中で奇数 3 と 9 に着目してみましょう。3 と 9 で割りきれることを足し算で表現する
と,次のようになります。
18 = 6 + □
6 + 6 ・・・①
18 = 2 + 2 + 2 + 2 + □
2 + 2 + 2 + 2 + 2 ・・・②
①で真ん中の 6 を対称として,次のように表現することができます。
18 = (6 – 1) + □
6 + (6 + 1) = 5 + 6 + 7
同様に②では
18 = (2 – 4) + (2 – 3) + (2 – 2) + (2 – 1) + □
2 + (2 + 1) + (2 + 2) + (2 + 3) + (2 + 4)
= –2 – 1 + 0 + 1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6 = 3 + 4 + 5 + 6
【第 1 回】コッホ曲線
まずはフラクタルの代表選手「コッホ曲線」の画像を紹介しましょう。いま、一定の長さと回転角(時
計と反対方向を正)をもった4本の線分をつな
げて1つの基本図形を考えます。この基本図形
をジェネレータといいます。その 4 つの線分の
それぞれに基本図形を縮小して埋め込みます。
この図形を2次の再帰図形といいます。さらに、
今できた図形の各線分に基本図形を縮小して
埋め込みます。これで3次の再帰図形ができあ
がります。この操作を無限に繰り返すとき、無限次の「コッホ曲線」が得られるのです。
途中の計算で相殺されて,偶数個の足し算になりましたが,もともとは奇数個の和で表わされていま
した。奇数の約数で割っているので当たり前ですね。
これが偶数の約数ではうまくいきません。
18 = 9 + 9
18 = 3 + 3 + 3 + 3 + 3 + 3
偶数個なので先程と同様な計算はできませんね。つまり,ある自然数を連続する 2 つ以上の自然数の
和に分解する方法は,「1 以外の奇数の約数と同じだけある」ことになるのです。
☆「Challenge The 数学」の答え☆
第 n 群には 2 個の数があるので,前の群の 33 群までには 66 個の数があります。つまり 100 は第 67 項目になるわけで
す。 結局,67 本買うと 100 本飲めることになります。
#本当にこんなに飲めるといいですね。