2 素因数3の個数と論証 自然数 n に対し、10n − 1/9 = 111…111(n 個)を [n] で表す。たとえば [1] = 1,[2] = 11,[3] = 111 である。 (1)m を 0 以上の整数とする。[3m ] は 3m で割り切れるが、3m+1 では割り切れない ことを示せ。 (2)n が 27 で割り切れることが、[n] が 27 で割り切れるための必要十分条件である ことを示せ。 解法1 一般に、自然数 a の十進法表示を an・10 n + an−1・10n−1 + … + a1・10 + a0 としたとき、二項展開を用いると a = an (9 + 1)n + an−1 (9 + 1)n−1 + … + a1 (9 + 1) + a0 = (9 の倍数) + (an + an−1 + … + a1 + a0 ) よって、次の(*)、(**)が成り立つ。 ・a が 3 の倍数である ⇐⇒ 各位の数の和が3の倍数である …(*) ・a が 9 の倍数である ⇐⇒ 各位の数の和が9の倍数である …(**) (1) 命題 M:[3m ]= 1 は 3m で割り切れるが,3m+1 で割り切れない。 これを 0 以上の整数 m についての数学的帰納法で示す。 I [30 ]= 1 は 30 = 1 で割り切れるが、31 = 3 で割り切れない。 よって m = 0 のとき命題Mは成り立つ。 k 103 − 1 k II 0 以上のある整数 k に対して [3 ]= は 3k で割り切れるが、3k+1 で割り 9 切れないと仮定する。 k k k+1 (103 )3 − 1 103 − 1 103 − 1 k k k+1 = = {(103 )2 + 103 + 1} [3 ] = 9 k 9 9 k において、(103 )2 + 103 + 1 はその各位の数の和が 3 であるから、(*),(**) によ k 103 − 1 2 り,3 で割り切れるが、3 で割り切れない。このことと、 は 3k で割り切れ 9 るが、3k+1 で割り切れないことから、素因数 3 の個数に注目して [3k+1 ] は 3k+1 で 割り切れるが、3k+2 で割り切れない。 以上 I,II から,0 以上のすべての整数 m について命題Mが成り立つ。 (証明終) (2)I (十分性)n が 27 の倍数であるとする。 n-27k(k は自然数) とおけて (1027 )k − 1 1027 − 1 10n − 1 = = {(1027 )k−1 + (1027 )k−2 + … + 1027 + 1} 9 9 9 1027 − 1 10n − 1 3 (1) より、[3 ] = は 27 で割り切れ、[n] = も 27 で割り切れる。 9n 9 10 − 1 II (必要性)[n] = が 27 で割り切れるとする。 9 [n] = 111…111(n 個) は 9 の倍数であるから、(**) より n は 9 の倍数となり、 1 n=9j(j は自然数) とおけて (109 )j − 1 109 − 1 109j − 1 [n] = = = {(109 )j−1 + (109 )j−2 + … + (109 ) + 1} 9 9 9 109 − 1 2 ここで、(1) より、[3 ] = は 32 で割り切れるが 33 では割り切れないから 9 (109 )j−1 + (109 )j−2 + … + 109 + 1 が 3 で割り切れる。 (109 )j−1 + (109 )j−2 + … + 109 + 1 の各位の数の和は j であるから、 (*)により、j は 3 の倍数である。ゆえに n = 9j は 27 で割り切れる。 以上 I, II より n が 27 で割り切れることが [n] が 27 で割り切れるための必要十分 条件である。(証明終) 解法2 (1) は解法 1 に同じ <二項展開を利用する解法> (十分性)n が 27 の倍数であるとする。 10n − 1 (1027 )k − 1 n = 27k(k は自然数) とおけて、 = …(1) 9 9 1027 − 1 [33 ] = は 33 で割り切れるので、適当な自然数 j を用いて、 9 1027 − 1 = 27j と書ける。 9 よって、 1027 = 9・27j + 1 = 35 j + 1 k ∑ 5 i (1027 )k − 1 = (35 j + 1)k − 1 = k C i (3 j) i=1 この右辺は 35 j で割り切れるので、適当な自然数 a を用いて (1027 )k − 1 = 35 ja…(2) 10n − 1 [n] = は 27 で割り切れる。 9 II(必要性)[n] = 111…111(n 個) が 27 で割り切れるとする。 [n] は 9 の倍数であるから、(**)より n は 9 の倍数となり、n = 9j(j は自然数 ) とおけて 10n − 1 = (32 + 1)9j − 1 9j ∑ 2 i = 9j C 1・32 + 9j C 2・(32 )2 + 9j C 1 (3 ) i=3 9j(9j − 1) 4 ・3 + 36 b(b は自然数) =3 j+ 2 j(9j − 1) 6 4 =3 j+ ・3 + 36 b…(3) 2 j j(9j − 1) は整数である (j が偶数のときは が整数、j が奇数のときは 9j−1 が ここで 2 2 9j − 1 偶数なので が整数)。 2 j(9j − 1) よって、 = c とおくと、(3)から 2 4 2 10n − 1 = 34 j + 36 (b + c) したがって 10n − 1 [n] = = 32 j + 34 (b + c) 9 一方、仮定により、[n] = 27d(d は自然数)とおけるので 32 j + 34 (b + c) = 27d すなわち j = 3d − 9(b + c) ゆえに、j は 3 の倍数となり、n = 9j は 27 の倍数である。 以上 I 、II より、n が 27 で割り切れることが、[n] が 27 で割り切れるための必要十 分条件である。 (証明終) 3
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