ここ 第三者意見 黒田 か かを をり り氏 氏 一般財団法人CSOネットワーク 事務局長・理事(2011.8 – 現在) 特定非営利活動法人 The Asia Foundation ジャパン・ディレクター(2010.4 – 現在) ISO26000 国内委員会委員、国際作業部会NGOエクスパート(2007 – 2010) 2015年は国際社会が大きな節目を迎える年です。2015年3月、宮城県仙台市で第3回国連防災世界会議が開催され、「仙 台宣言」とともに今後15年の国際防災指針となる「仙台防災枠組2015-2030」が採択されました。また9月の国連総会では、 2030年までに国際社会が達成に向けて取り組むべき開発目標が作成されます。12月には、2020年以降の気候変動に関す る新しい国際枠組の合意を目指す気候変動枠組条約締約国会議がフランスのパリで開催されます。このように喫緊の地球 規模課題解決と持続可能な社会の実現に向けて、損害保険会社への期待は以前にも増して高まっています。 国内では、2015年6月に企業統治を強化するためのコーポレートガバナンス・コードが導入され、2014年12月に制定された スチュワードシップ・コードとともに、企業経営ならびに機関投資家の在り方が大きく変わろうとしています。 このような国内外の動きを念頭に、MS&ADインシュアランス グループのCSRの取り組みに対して、CSRレポート2015の記載 事項をベースに、ステークホルダーとのコミュニケーションという観点から第三者意見を述べます。 防災、減災の取り組みに関して 地震保険の普及やリスク対策、啓発活動、企業の事業継続計画の支援などは、まさに保険会社が本業で社会問題の解決 に取り組んでいる事業だと思います。柄澤康喜代表取締役社長が日本経団連の防災に関する委員会の委員長を務められ たこと、そして先の国連防災世界会議においても、宮城県と『企業防災体験コーナー〜BCP(宮城モデル)を体験しよう〜』 を共同出展するなど、損害保険事業者としてのコミットメントを社外に向けても発信していることは評価したいと思います。 「仙台防災枠組2015-2030」の実施に向けても大いにリーダーシップを発揮していただきたいと思います。 気候変動への対応について 国連防災世界会議の開催中に南太平洋のバヌアツを見舞った大型サイクロンとその被害は日本でも大きく報道されまし た。三井住友海上は、日本政府と世界銀行が設立した「太平洋自然災害リスク保険パイロット・プログラム」の1社に引き続 き認定されました。今後も、太平洋地域をはじめ、保険業が充実していない地域等での自然災害が発生した場合の取り組 み支援には大いに期待をしたいと思います。また気候変動への適応支援の商品サービスの提供等、損害保険会社として の社会的貢献も一層充実させていただきたいと思います。 責任投資原則について 機関投資家として、三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保が、「日本版スチュワードシップ・コード」の趣旨に賛同し、受 け入れを表明したことと、MS&ADインシュアランス・グループとして、「責任投資原則」に署名をしたことは評価いたします。 自然エネルギー発電の普及、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)課題の取り組み促進を支援するなど、ESGの課題に配 慮した投融資活動を積極的に進めていただくことを期待します。 195 ここ 第三者意見 コーポレートガバナンスの強化 MS&ADインシュアランス グループは、「コーポレートガバナンス・コード」の施行に伴い、早々にグループ・コーポレートガバ ナンス基本方針を定めました。その第2章にCSRにも直接関連する「ステークホルダーとの関係」が記されており、顧客、株 主、代理店、取引先、社員、地域社会・国際社会、環境という7つのステークホルダーと積極的な対話を通じて社会的課題 への認識を深め、それぞれに対して責任を果たしていくと表明されていることは評価したいと思います。またESGを含む非 財務情報の開示についても前向きな姿勢を示されています。社会の持続可能性(サステナビリティ)への関心が高まるな か、CSRを統合した形で、企業統治をさらに強化していただきたいと思います。 C CS SR Rレ レポ ポー ート ト 第 第三 三者 者意 意見 見を を受 受け けて て MS&ADインシュアランス グループ CSRレポート2015へ貴重なご意見をいただき、誠に有難うございました。 2014年度は、当社グループの新たな中期経営計画「Next Challenge 2017」をスタートさせ、グループ基本戦略の一つとし て、ステークホルダーとのコミュニケーションを基軸に、商品・サービスの品質向上を通じて社会から信頼していただくとと もに、社会的課題の解決に貢献することに取り組んで参りました。 特に、防災に対する意識が国際的に高まる中、東日本大震災をはじめ、さまざまな災害の経験から蓄積した、災害への 備えや事故を防止するためのノウハウを広めていくことが当社グループの役割であると考えております。2013年より宮城 県が東日本大震災の経験や教訓をもとに作成した「みやぎ企業BCP策定ガイドライン(みやぎモデル)」の制作を支援 し、その後2015年3月の国連防災世界会議パブリックフォーラムでは、そのモデルを来場者に体験していただくコーナー を出展し、宮城県と「みやぎモデル」を広く普及させていくための協定も締結いたしました。また、当社グループは ASEAN10ヶ国すべてで営業免許を持つ唯一のグローバル保険会社であります。これらの国には災害に対して脆弱な国 も多く、保険商品やリスクマネジメントサービスの提供とともに、その地域における自然災害に対する意識啓発や具体的 な対応力の強化など保険事業者だからこそできることがあると考えております。 2015年6月にグループとしてコーポレート・ガバナンス基本方針を定めました。この中で、コーポレートガバナンスに対す る基本的な考え方や態勢に加え、7つのステークホルダーへの責任を果たし、持続的な企業価値の向上を目指すこと、 経営理念の実現に向け、あらゆる事業活動において環境や社会との相互影響を考慮し、持続可能で強くしなやかな社 会づくりに貢献することを定めています。また、ステークホルダーの皆様から非財務の情報について関心が寄せられて おり、対話のためツールとして、グループとして財務と非財務の情報を統合した統合報告にも取り組んでいるところです。 今後もあらゆるステークホルダーとのコミュニケーションをさらに深め、安心・安全、健康で豊かな未来に資する商品・ サービスを提供するとともに、社会のレジリエンス強化のための役割を果たしてまいる所存です。 MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社 執行役員 総合企画部長 遠藤 隆興 196
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