第13回日本予防医学会学術総会 Fango(温泉泥)施術による高齢者の ひざ関節痛・腰痛軽減効果 (CS-30、Timed Up & Go テストによる評価) 平成27年6月21日 高知大学教育研究部医療学系 連携医学部門環境医学 弘田量二 背景 FANGOとは、温泉泥(イタリア語)湖体積泥に 数ヶ月間温泉水を掛け流して、温泉成分(ミネ ラル・微生物)が濃縮されるまで熟成させた泥 である。 アバノ・モンテグロット(伊)は質の良い泥がと れる温泉療法保養地として有名である。 効能 リウマチ・関節炎・皮膚炎・美容など イタリアでは温泉療法医師の診断のもと、公的 保険適用されている。 前大会での報告 三楽園(富山県)16人の研究において • 週2回のFango施術で、痛みの自覚症状が有意に改 善された。 • 週2回のFango施術を毎月繰り返すと、痛みの自覚 症状の改善に加えて、CS-30、TUGテストの改善も 認められた。 目的 • 別地域で被験者数をさらに増やし 単独投与試験を行い、高齢女性に おける、ひざ関節痛・腰痛改善効果 を調べる。 対象者 • • • • • 高齢者女性 31名 年齢 74.9 ± 5.4才 (60 - 83才) 地域 神奈川県湯河原温泉周辺 ひざ関節痛・腰痛(自己診断) インフォームドコンセント取得後実施 方法 問診、体温・血圧測定 CS-30, TUG test, VAS ファンゴ塗布 熟成された温泉泥 10kg 約42℃ 20分 シャワー後 体温・血圧測定 CS-30, TUG, 痛み(VAS)の計測 Baseline Fango Week1 非介入4W Week5 Week6 Fango ビオファンゴ施術スケジュール ※体温・血圧:毎回施術前後で計測 N.S. CS-30の変化 P=0.000 CS-30(回) →改善 P=0.000 P=0.000 Post-FangoでCS-30改善 Fango Fango TUGの変化 N.S. P=0.020 P=0.046 Post-Fango のWeek6 でTUG改善 改善← TUG(秒) P=0.068 Fango Fango Result Waterfall Graph of Percentage Change in VAS score From Baseline to Week 1 after Fango treatment Subject Percentage Change From Baseline 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 0 -10 -20 -30 -40 -50 -60 -70 31例中26例(83.9%)でVAS改善 P=0.000 痛み(VAS)の変化 P=0.000 P=0.000 ←改善 VAS score P=0.000 Week1 Week 6時点でVAS改善 しかし非介入4週でVAS悪化 Fango Fango 70才以上高齢者(n=28)におけるCS-30の変化 (Baseline vs Week1) 50 45 CS-30 (回数) 40 12 35 身体バランス“やや劣る” 12以下 46%→25%と改善 30 Baseline Week1 25 20 15 10 やや劣っている 劣っている 5 0 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 Subject まとめ • 痛みのVASが有意に改善され、CS-30、TUG テスト の改善効果も認められた。このことから、Fango施術 は痛みの軽減効果があると考えられた。 • 70才以上高齢女性でバランスが劣るとされる、CS30 12回以下の割合が大幅に減少したため、転倒予 防につながる可能性が示された。 - Limitation • コントロールのない単独投与試験である • 女性のみである 研究チーム 菅沼 成文 高知大学教育研究部医療学系 連携医学部門環境医学 宮野伊知郎 同 公衆衛生 安田 誠史 同 公衆衛生 大和田瑞乃 (株)アセンダント COI 本研究は 神奈川県 核づくり等促進交付金採択事業 「県西のいにしえのみちを歩く- 薬膳&温泉泥で 未病の旅」研究資金で実施した。
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