生物化学実習 I

生物化学実習 I
Practice in Biological Chemistry I(1単位)
薬 学 科3年次前期
必修
薬科学科3年次前期
必修
【担当研究室】
微生物薬品化学研究室
【授業概要及び目標】
概要:微生物学、分子生物学、および化学療法剤研究の基礎的実験法について説明する。又、病原微生
物を取り扱う際の注意すべき事柄及び薬剤感受性試験について説明する。
目標:微生物を取り扱う無菌操作法等の技術を通して、未知の細菌の分離・同定ができる。又手指表面
の微生物検出と消毒効果を比較検討できる。さらにβ-ラクタム剤作用の観察や薬剤感受性試験により
種々の化学療法剤の抗菌力・抗菌スペクトラムの判定法について理解できる。
【授業計画及び授業内容】
三年次前期
回 月日
項
目
<授業方法>
実
習
内
容
1 4.13 実習講義、細菌の分離・ 最初に病原細菌を扱う上での心構え及び注意点が講議される。次
同定 I
<実習・講義>
に、これから行う実習の全体の内容と意義についての説明が行わ
れる。目的にあった種々の滅菌法を学んだ後に、器具と培地の滅
菌を行う。さらに第2日より開始される「細菌の分離・同定」の
実験の準備を行う。実習で用いられる細菌の細菌学的性状や病原
性などについて教科書を用いて学習し、まとめる。
2 4.14 細菌の分離・同定Ⅱ
<実習>
同定とは、未知の細菌を対象にそれが有する生物学的、化学的、
および遺伝学的性状について調べ、既知の細菌のどれに該当する
かを決定するものである。第2日の実習では、未知の細菌の混合
菌液が渡され、同定の第一段階である分離培養を行う。まず培地
を滅菌後、寒天平板を作成して菌液を塗り広げ、37℃の孵卵器内
で一晩培養する。
3 4.15 細菌の分離・同定Ⅲ
<実習>
分離培養平板上に出現したコロニーを観察し、大きさ、色調、光
沢などを記録する。独立したコロニーを用いて、グラム染色後、
顕微鏡観察を行うことにより、グラム陰性、陽性の判別さらに桿
菌、球菌などの形態を観察する。この実験を通じて同時に、油浸
レンズを用いた顕微鏡の操作方法について学ぶ。
4 4.16 細菌の分離・同定Ⅳ
<実習>
細菌を同定するための確認培地への細菌の接種を行う。確認培地
は、純培養した菌の生化学的性状を調べ、菌種同定の手掛かりが
得られるようにした培地であり、菌の有する酵素系を定性的ある
いは定量的に確認できるように工夫されている。
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5 4.17 細菌の分離・同定Ⅴ
手指表面の微生物検出
消毒法と消毒効果
<実習>
(1)確認培地の結果を観察し、各未知菌体の生化学的性状をまとめ
る。さらに3日間にわたって行ってきた形態観察実験、グラム
染色実験、同定実験の結果を総合的に考察して、混合菌液中に
含まれていた細菌についてその属、種を同定する。
(2)手指に表在する細菌・カビなどを検出する。又種々の方法によ
り手指を消毒し、その消毒効果を比較検討する。
6 4.20 化学療法剤学 I:β-ラ
クタム系抗生物質の作
用機序
<実習>
β-ラクタム系抗生物質は、細菌の細胞壁の基本骨格であるペプ
チドグリカンを合成する酵素(PBP)を特異的に阻害することによ
り抗菌力を発揮する。大腸菌をβ-ラクタム剤の入った培地で増
殖させると、薬剤が作用する PBP の種類に応じて、隔壁形成阻害
による菌のフィラメント化や伸長阻害による円形化など様々な形
態変化が起こる。実習では各種β-ラクタム剤による細菌細胞の
形態変化を経時的に顕微鏡を用いて観察し、β-ラクタム剤の作
用点の違いと形態変化の関係を学ぶ。
8 4.22 総括、後片付け
<演習・実習>
生物化学実習 I で行った実験についての総括及び質疑応答を行
い、実験で得られた知識の確認を行う。
【授業外学習】各授業後に復習し、授業内容を各自で整理し直すこと。
また、適宜レポート提出を課す場合がある。
【教科書・参考書】教科書: 実習書を配布する。
【評価方法・基準】原則として実習時間の5分の4以上出席が必要。
実習態度(40%)、レポート(30%)、試験による技能到達度(30%)により総合
的に評価する。
履修開始時に配布する評価基準に基づき各評価を実施する。
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三年次前期
7 4.21 化学療法剤学Ⅱ:細菌の 化学療法剤に対する細菌の感受性の程度を調べるための検査を薬
薬剤感受性試験
剤感受性試験といい、感染症の化学療法に先立ち実施されなけれ
<実習>
ばならない重要な検査である。実習では4種類の薬剤に対する2
種類の菌株の感受性を調べ、抗菌力・抗菌スペクトラムについて
考察する。