Weekly Market Report 1. 為替相場概況

発⾏:市場営業部
Weekly Market Report
Aug 10, 2015
FX, JPY Interest Rate, Topic
1. 為替相場概況
ドル円は6月以来となる125円台を付ける場⾯も⾒られたが⻑続きせず
USD/JPY (1週間の値動き)
ISM非製造業景況指数が発表。
10年ぶりの⾼水準。
アトランタ連銀総裁が
9⽉利上げを示唆。
⽶雇用統計が発表。
(NFP 225K、失業率 5.3%)
(出所)Bloomberg
コメント
先週のドル円相場は、4日(火)ハト派よりと⾒られていたアトランタ連銀総裁が9⽉の⽶利上げ可能性を強く示唆したことや、5日(水)ISM非
製造業景況指数が10年ぶりの⾼水準を記録したことで9⽉利上げ観測が台頭し、ドル円は約2ヶ⽉ぶりに125円台を示現。その後は週末
発表の⽶雇用統計の発表を控えて124円台後半で小幅に推移。⽶雇用統計は市場予想にほぼ一致する内容となり、発表後のドル円は
一時125.07円まで上昇する場⾯も⾒られたが、WTI価格が44ドル割れとなる等リスク回避姿勢が強まると、124円前半まで下落した。今
週もドル円の堅調地合いは継続するものと⾒られ、各種経済指標結果を精査しながら9⽉の⽶利上げ動向を占う時間帯が続くだろう。但し、
商品市況の動向如何では124円台割れの場⾯もあると⾒られ、原油価格動向等には注意したい。
(市場営業部/土橋)
USD/JPY(1年間)
今週の経済指標(予定)
日付
イベント
予想
8/11(火)
(ドイツ)ZEW調査(期待)
31.0
8/13(木)
(日本)機械受注(前⽉比)
-4.2%
8/13(木)
(⽶国)小売売上⾼(前⽉比)
0.5%
8/14(⾦)
(⽶国)PPI(前⽉比)
0.1%
8/14(⾦)
(⽶国)ミシガン大消費者マインド
93.5
今週のレンジ予想(USD/JPY)
予想者
今週のレンジ
予想のポイント
牧野 剛
123.50-125.30
⽶雇用統計結果は9⽉利上げには悪くない材料。ドル円は底堅い展開を予想するが、125円より上ではドル売り圧⼒も。
國井靖子
122.50-125.50
ドル⾼傾向継続もお盆休みで取引参加者少ない中、中国経済指標の下振れによる中国株の急落などリスク要因に注意。
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Aug 10, 2015
2. 円⾦利相場概況
日銀のスタンスに⼤きな変化は⾒られず。今週も0.4%台近辺での推移継続か。
10年国債⾦利と債券先物 (1週間の値動き)
⽶債券⾼の流
れから0.4%台
割れ
⽶9⽉利上げ
観測から再び上
昇傾向に
10年債利回り
債券先物
(出所)Bloomberg
コメント
先週の10年国債利回りは週前半は前週末の⽶債券⾼の流れや本邦10年国債⼊札を無難にこなしたことで、買いが優勢となり0.4%割
れの水準迄低下したが、週央から週後半にかけては⽶国の9⽉利上げ観測が強まり上昇傾向に。週末には一時0.430%を超える水準ま
で上昇する場⾯も⾒られたが、最終的には0.420%での越週となっている。
先週の日銀⾦融政策決定会合ではスタンスに大きな変化は⾒られず、10年国債利回りは先週に引続き、0.4%近辺での推移になると思
われる。但し、今週は特に大きなイベントは控えていないものの、週半ば頃から夏休みに⼊る市場参加者が多くいることが想定される為、薄
商いの中、多少値動きの荒い展開となる可能性もある。11日には30年債⼊札、13日には5年債⼊札が控えており、⼊札後の動きには注
意しておきたい。
(市場営業部/山本)
⾦利スワップ変化(1週間)
(%)
5年円⾦利スワップ推移(1年間)
(%)
今週のレンジ予想 (10年国債利回り)
予想者
後藤賢太郎
小野口裕美子
今週のレンジ
0.40%-
0.46%
0.38%-
0.45%
予想のポイント
⽶早期利上げ観測の影響は未だ限定的。週内は⼊札に加えて中国株の動向にも左右され易い環境にあり要注視。
夏休みで参加者少なく動意薄い反⾯、値が飛ぶ可能性には要注意。イベントは11日に30年債、13日に5年債⼊札あり。
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Aug 10, 2015
3. 今週のトピックス
株式バリュエーション
「PER」と「企業価値/EBITDA倍率」から⾒た日・中株式のバリュエーション
潤沢な流動性を背景に世界的に株価は堅調
日⽶欧の流動性供給等を背景に、過去一年の株価は世界的に
堅調だったと言えよう【図1】。一部、大幅に下落している市場(ギ
リシャ、ウクライナ、ロシア)も⾒受けられるが、これはギリシャ債務危
機及びロシア・ウクライナの政情不安のように明確な要因があり、
それらを除くと概ね上昇していることが分かる。中でも目を引くのは上
海総合指数及び日経平均株価のパフォーマンスである。特に前者
は6⽉から7⽉にかけて30%超下落したにも関わらず、1年を通した
パフォーマンスは他を圧倒している。以下ではこの両指数のバリュエ
ーションについて検証していきたい。
「PER」 上海→比較的割安、日経→比較的割高
株価の割⾼・割安を判断する指標としてよく用いられるものに「PER
(株価収益率)」がある。これは株価を一株当たり純利益で割る
ことで求められ(もしくは時価総額/純利益)、市場の評価が企業
の⽣み出す利益の何年分に相当するかを示し、その算出の容易さ
からプロ・アマ問わずバリュエーションの基本といえる指標である。
あくまでも目安だが、PERが20倍を上回る水準は割⾼、15倍を下
回る水準は割安と判断され易い。
Bloomberg社公表の上場企業の今期予想利益ベースでは、上
海総合指数のPERは15.43倍、日経平均株価は19.62倍であり
、前者は比較的割安、後者は比較的割⾼と言えるが、PERはその
算出方法から以下の3点に留意する必要がある。
①本業以外の収支の影響を受ける
・・・余剰資産から⽣み出される受取利息や、借⼊⾦の支払い等
②国ごとに異なる会計基準の影響を受ける
・・・減価償却の仕組みは国によって異なる
③異国間の比較には適さない
・・・期待成⻑率は国によって異なる(例:先進国と新興国)
「企業価値/EBITDA倍率」 上海・日経→共に割高
上記①②の問題をクリアするために、「企業価値/EBITDA倍率」
を用いて上海総合指数、日経平均株価それぞれのバリュエーション
を改めて考えてみたい。「企業価値/EBITDA倍率」とは、時価総
額にネット・デットを加算した企業価値を営業利益に減価償却費を
加算したEBITDA(今期予想)で割ることで求められ、企業の市
場評価とキャッシュ創出⼒を分析する際に用いられる。
更に③の問題を考慮し、両指数それぞれの過去5年の企業価値
/EBITDA倍率の平均値を求め、直近値と比較した【図2】。
結果は【図2】が示す通り、上海総合指数、日経平均株価共に直
近の「企業価値/EBITDA倍率」は、過去5年の平均値を上回る
ものとなっており、上述①〜③を踏まえると比較的「割⾼」な状況に
あると考えられる。従って、下期以降の企業業績が今期予想を上
回る水準とならない場合、更なる株価上昇は困難と思われる。中
国景気の⾒通しに不透明感が漂う今、上海総合指数については
特に注意が必要であろう。
(市場営業部/⾼橋)
【図1】 トータルリターン(14.8.11〜15.8.10)
(%)
73.52
42.57
31.6
28.27
27.54
27.05
17.62
15.27
13.02
9.77
7.49
6.21
6.21
6.02
4.15
3.6
3.13
2.16
0.48
0.36
中国 上海総合指数
日経平均株価
ブダペスト証取指数
フランス CAC40指数
ドイツ DAX指数
イタリア FTSE MIB指数
ナスダック 100指数
スペイン IBEX35指数
S&P・BSEセンセックス
S&P 500種
NYダウ 工業株30種
ポルトガル PSI-20指数
FTSE100指数
FTSE/JSE アフリカ 全株指数
香港 ハンセン指数
ベトナム VN指数
メキシコ ボルサ指数
イスタンブール100種指数
シンガポール ST指数
韓国総合株価指数
-0.81
チリ サンティアゴ IPSA指数
-3.74
ジャカルタ 総合指数
-12.59
ブラジル ボベスパ指数
-15.56
サウジアラビア タダウル全株指数
ウクライナ PFTS指数 -24.65
ロシア RTS指数 -25.24
アテネ 総合指数 -34.41
-80
-40
0
40
80
【図2】 予想企業価値/EBITDA倍率
上海総合指数
(倍)
過去5年
8.4
直近
13.7
0
5
10
15
日経平均株価
過去5年
8.4
直近
10.1
0
5
10
15
(出所:Bloombergのデータを基に加工 )
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