US US Report US2 講演 Report インナビネット ▶▶ http://www.innervision.co.jp/ad/suite/hitachi RVS の進歩と最新の 3D Sim-Navigator を用いた RFA 大﨑 往夫 大阪赤十字病院消化器内科 本講演では,肝がんに対するラジオ波焼 腫瘍を直接穿刺せずに焼灼することも可 および 3 D 透過画像(3 D image)の表 灼療法(RFA)の最新動向として,日本初 能であるなど,多くの有用性が期待される。 示や,各電極針間の距離も表示される のバイポーラ RFA システムの有用性と課 ただし,電極針の先端の視認性が悪い, ため(図 1),電極針相互の位置関係の 題について,また,その課題の解決に役立 電極針の意図しない移動が起きやすい, 把握を容易にする。また,同シミュレー つ日立アロカメディカル社の“Real-time といった課題もあり,なかでも複数本穿 ション画像と穿刺のシミュレーションラ Virtual Sonography(RVS)”の進歩 刺では電極針の配置やどのように穿刺す インをナビゲータとして,リアルタイム として, “3 D Sim-Navigator”を用い るかをモニターするのが困難な点が最大 に電極針の穿刺が可能である。 た RFA について述べる。 の課題と言える。特に,3 本穿刺の場合, バイポーラ RFA システムの 有用性と課題 同一肋間から穿刺した 2 本間は超音波 症例提示 画像上で針間距離を把握できるが,3 本 症例 1 は,70 歳,女性。肝 S 6 に 3 . 4 cm 目を他肋間から穿刺すると,3 本目と の肝細胞がんの再発が認められ,肝動 わが国においては従来,モノポーラ電 1,2 本目との距離を把握するのは困難 脈化学塞栓療法(TACE)併用にてバイ 極針による肝がん RFA が行われてきた である。 ポーラ 4 cm 針 3 本による RFA を施行し RVS の革新的な進歩: 3 D Sim-Navigator を正 三 角 形 状に設 定すると,それが こうした課題を解決するための RVS 像および 3 D image 上に黄色,赤,青の 対極板を左右の大腿部などに貼る必要 の革新的な進歩が,複数電極針穿刺の ラインで表示される(図 2)。これにより, があるため,体内に電流が流れてうつ熱 シミュレーションとナビゲーションが可 電極針相互の位置関係を容易に把握可 が,2012 年にバイポーラ RFA システム による治療が保険収載されて以降,本シ ステムの普及が急速に進んでいる。 モノポーラ電極針による RFA では, た。C-plane 画像にて電極針の穿刺位置 CT-MPR 画像(Virtual US) ,超音波画 状態となり発汗するなど,患者に不必要 能な 3 D Sim-Navigator である。RVS 能であった。治療後の CT では十分な な負荷がかかる。また,電極と対極板と は,CT や MRI などのボリュームデータ マージンが確認できた。 の距離が大きいためエネルギー効率が悪 を取り込んで,観察中の超音波画面と 症例2は,82歳,男性。肝 S 5 に 4 . 5 cm く焼灼に時間がかかる,モノポーラ電極 同一断面の MPR 画像をリアルタイムに の肝細胞がんが認められ,TACE 併用に 針の穿刺では腫瘍の大きさや形状によっ 同期表示する技術で,2004 年の登場以 てバイポーラ 4 cm 針 3 本による RFA を ては複数回穿刺により重ね焼きが必要, 降,複数画像の同時参照や,マーキング, 施行した。3 本の電極針は,いずれも などの問題もあった。 シンプル・アジャスト,レジストレーショ 異なる肋間から穿刺して焼灼可能であり (図 3) ,治療後の CT にて十分なマージ 一方,バイポーラ電極針には,1 本の ンなどの機能を順次搭載し,進歩を続 針に絶縁体を挟んで 2 つの電極が搭載さ けてきた。しかし,3 D Sim-Navigator れているため,電流は局所で還流し,患 は,これらの進 者の体内には流れない。その結果,対極 歩をはるかにし 板が不要,熱効率が良い,患者のうつ熱 のぐ画期的な技 が避けられるというメリットがある。また, 術である。 複数本穿刺(マルチポーラ)が可能で, 具 体 的には, 3 本穿刺による焼灼では 6 つの電極の間 超音波画像と同 で組織が凝固するためムラのないきれい 期させた CT や な焼灼が可能となる。また,電極の露出 MRI の MPR 画 部は 2 cm,3 cm,4 cm の 3 種類があり, 像上に複数の電 4 c m 針 3 本で焼 灼すると最 大で直 径 極 針 穿 刺 のシ 6 cm の領域の凝固が得られる。さらに, ミュレーションを 電極針の本数が多いほど凝固範囲は広く, 可能とし, C-plane 逆に凝固時間は短くなるため,腫瘍径の 画像(穿刺方向 大きな肝がんにはきわめて有用であり, と直交する断面) 96 INNERVISION (30・9) 2015 CT-MPR Virtual US ンが確認できた。 シミュレーションライン シミュレーションライン C-plane CT-MPR C-plane US おのおのの電極 針間の距離を 表示 黄×赤 16 mm 赤×青 19 mm 青×黄 19 mm 3D image 図 1 3 D Sim-Navigator の表示画面 〈0913 - 8919 / 15 /¥300 / 論文 /JCOPY〉 Ultrasonic Week 2015 ランチョンセミナー 16 US Report CT-MPR Virtual US US 3D image C-plane CT-MPR C-plane 3D image 図 2 症例 1:肝細胞がん再発症例へのバイポーラ RFA CT-MPR Virtual US 図 3 症例 2:肝細胞がん症例への TACE 併用バイポーラ RFA US CT-MPR Virtual US C-plane C-plane CT-MPR C-plane 3D image 図 4 症例 3:肝細胞がん症例へのダブルトライアングル法での バイポーラ RFA CT-MPR C-plane 症例 3 は,84 歳,女性。肝 S 7 に 4 . 5 cm 検証した。2 cm 針 2 本, 3 c m 針 2 本,4 c m 針 にて,ダブルトライアングル法を用いて 2 本,3 cm 針 3 本,4 cm RFA を施行した。本法は,まず腫瘍に 針 3 本での焼灼体積を, 3 本の電極針を二等辺三角形に配置し それぞれワークステーショ てシミュレーションを行い(図 4),その ン( 富 士フイルム社 製 後,三角形の頂点に当たる電極針(黄色) SYNAPSE VINCENT) を逆三角形の頂点となる位置に再配置 を用いて抽出し測定し してシミュレーションを行ってから焼灼 たところ,実際の焼灼 する(図 5)。治療後の CT にて十分なマー 体積はドジメトリテーブ ジンが確認でき,再発も認められていない。 ルの予測凝固体積を大 2014 年 5 月〜 2015 年 4 月に当院で 3D image 図 5 図 4 と同症例における逆三角形での電極針の 配置シミュレーション の肝細胞がんが認められ,TACE 併用 3 D Sim-Navigator を用いた バイポーラ RFA の凝固体積の 検証 US きく上回っていた(図 6)。 3cm 2本 3cm 3本 4cm 3本 11.0 16.5 33.5 予測凝固体積 (cm2) RFA 後凝固体積 15.6±2.0 28.3±10.3 63.0±36.4 VINCENT にて抽出(cm2) 図 6 3 D Sim-Navigator を用いたバイポーラ RFA の凝固体積 まとめ で確実な RFA を施行可能であり,複数 フュージョンイメージング技術として 電極針を用いたバイポーラ RFA におい 開発された RVS は,近年大きく進歩し, ては,きわめて有用と考えている。 RFAを施行した206 症例304 結節のうち, 3 D Sim-Navigator という革新的な技術 3 D Sim-Navigator とバイポーラ RFA の開発により,複数電極針穿刺のシミュ システムを使用し複数本穿刺を行った レーションがリアルタイムに行えるよう 2 5 症 例 2 7 結 節( 平 均 腫 瘍 径 2 6 . 1 ± になった。また,シミュレーション画像 10 . 8 mm)を対象に,実際の凝固体積を をナビゲータとして用いることで,安全 大﨑 往夫 (Osaki Yukio) 1979 年 神戸大学医学部卒業。同年 大阪赤十字病院内科 研修医。1993 年 同院内科副部長。2003 年 同院内科部 長。2004 年 同院消化器科部長を経て,2013 年〜同院消 化器内科統括部長。 INNERVISION (30・9) 2015 97
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