Gard Alert:ばら積みボーキサイト貨物の安全輸送 こちらは、英文記事「Gard Alert: Bulk carrier safety - bauxite cargoes」(2015 年 1 月 9 日付)の和訳です。 最近、ベトナム沖で発生したBULK JUPITER号の転覆事故がメディアで報道されたことをご記憶かと思い ます。同事故は、2015 年 1 月 1 日、マレーシアのクアンタン港でボーキサイトを最大積載量まで積み込 んだばら積み船が転覆し、沈没したものです。事故原因はまだ特定されていませんが、ボーキサイト貨 物の潜在的な液状化リスクが懸念されています。 1 この 10 年間で、鉱石の液状化により貨物が流動化を起こし復原力が喪失したことによる海難事故が多数 発生しています。水分含有量が高い状態で積み込まれた貨物は、航海中に前触れなく突然液状化を起こ す可能性があります。船積港からの出港直後に貨物が液状化を起こし貨物が大きく流動化してしまうよ うな事例もあれば、数週間後になってはじめて液状化が起こるような事例もあります。2 通常、ボーキサイトは、液状化を起こしにくい貨物であるとみられています。それは、ボーキサイトが いくつもの塊で構成され、水分含量が比較的低いからでしょう。こうした性質により、ボーキサイトは 国際海上固体ばら積み貨物規則(IMSBC コード)において、グループ C 貨物(液状化のおそれのない貨 物)に分類されています。IMSBC コードの付録 1 によると、ボーキサイト貨物の水分含有率は 0%~10% であり、全体の 70%~90%は 2.5mm から 500mm の大きさの塊で構成されており、残りの 10%~30%は粉 末状であると記載されています。 しかし、こうした標準的な性質に適合しないボーキサイト貨物は、安全でない可能性があるため、積み 込み前に適切なチェックを実施することが推奨されます。ボーキサイト貨物について、常に注意を怠ら ないようにするとともに、以下を実施するようにしてください。 • • 荷送人が発行した積荷目録が、IMSBC コードの要件に適合しているか(特に、粒子の大きさの分 布や水分含量などの貨物の記述について)を慎重に点検・確認すること。 IMSBC コードに記載されている性質から外れていないかどうか(貨物のほとんどが微細な粒子で あったり、水分含量が高かったりしないかなど)を評価すること。水分含量が高い場合、降雨や ターミナルでの保管状態がその原因である可能性があります、貨物が現行のグループ C スケジュ 1 2012 年 3 月の Gard Alert「Brazil - liquefaction of bauxite cargoes(ブラジル - ボーキサイト貨物の液状化) (英文) 」を 参照してください。 2 一般的な助言については、液状化に関する情報と助言が掲載されている Gard ウェブサイトの「Hot Topic – Cargo Liquefaction」セクションもご覧ください。 © Gard AS Page 1 of 2 • • ールのボーキサイトに該当しないと考えられる場合、コードに記載のない貨物をカバーする IMSBC コード第 1 節 1.3 項の要件が適用される場合があります。 貨物の積み込み前と積み込み時に目視検査を行うこと。 IMSBC コードの第 8 節 8.4 項に従い、缶テストを実施すること。ただし、サンプルの缶テストの 結果が乾燥状態であることを示していても、貨物の水分含量が運送許容水分値(TML)を上回っ ている場合があることに注意してください。缶テストに不合格の貨物は積み込みせず、積み込み 前に Gard にご相談ください。 最近、マレーシアのクアンタン港でボーキサイトを積み込んだある船舶が、缶テストの不合格を理由に 貨物の一部を拒否し、乾燥状態の貨物との交換を受けたことが報告されています。湿気のある貨物に乾 燥した貨物を混ぜても、必ずしも貨物が安全なものになる訳ではありません。貨物サンプルの再テスト が必要となる場合もあります。上記以外に、クアンタン港でボーキサイトを積み込んだ別の船舶からも 同様の問題が報告されています。 マレーシア内のターミナルでボーキサイトの積み込みを予定していて、貨物運送条件について不安をお 持ちの場合には、積み込み前に Gard までご相談ください。 本情報は一般的な情報提供のみを目的としています。発行時において提供する情報の正確性および品質の保証には細心の注意を払ってい ますが、Gard は本情報に依拠することによって生じるいかなる種類の損失または損害に対して一切の責任を負いません。 本情報は日本のメンバー、クライアントおよびその他の利害関係者に対するサービスの一環として、ガードジャパン株式会社により英文 から和文に翻訳されております。翻訳の正確性については十分な注意をしておりますが、翻訳された和文は参考上のものであり、すべて の点において原文である英文の完全な翻訳であることを証するものではありません。したがって、ガードジャパン株式会社は、原文との 内容の不一致については、一切責任を負いません。翻訳文についてご不明な点などありましたらガードジャパン株式会社までご連絡くだ さい。 © Gard AS Page 2 of 2
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