T-1220の 毒 性 試 験(第4報) ビーグル犬筋注における亜急性 - J

VOL.
25
NO.
CHEMOTHERAPY
5
T-1220の
毒
性
869
試
験(第4報)
ビー グ ル犬 筋 注 に お け る亜 急 性 毒 性 試 験
高井
明 ・米 田 豊 昭 ・河 村 泰 仁
柴 田 哲夫 ・正 谷 博 之 ・佐 藤
盛
富 山化学工業株 式会社綜合研究所
T-1220に
関 して は,急 性 毒 性1),ラ ッ ト腹 腔 内 投 与 亜
急 性 慢 性 毒 性2),ラ
ッ ト静 脈 内投 与 亜 急 性 毒 性3),に
い てす で に報 告 した 。 こ こ で は, T-1220の
の一 環 と して行 な った ビー グ ル犬1カ
つ
安 全 性試 験
月筋 肉 内 投与 実 験
の結 果 を報 告 す る。 対 照 薬 と して ア ミノ ベ ンジ ル ペ ニ シ
リ ン(Na塩,
ABPC)を
1.実
来 の ビー グ ル犬 雌11頭 を6カ 月齢
料(日 本 ク レァCD-5)
赤 血 球 数,白
度60±5%で
1日300gと
イ ヌ用 固型 飼
水 道 水 を 自由 に与 え
血 球 数(蠶
ク リ ッ ト(毛 細 管 法),ヘ
ロ ピ ン法),網
and
生 体 染 色),血
血 球 百 分 率(メ
小 板 数(Rees
イ ー ギ ム ザ 染 色)。
(Reitman-Frankel法),
橋,柴
ALP
(Kind-King法),
田 法), Chol. (Zurkowski法),
Indophenol法),
T, Bilirubin
(Babson変
上8項
法)以
BUN
目 は,オ
用 した 。 飼 育 は 個 別 ケ ー ジ で行 な った。 本実 験 で の 高 用
ー ズ ア セ テ ー ト膜 電 気 泳 動 法) ,血
量 を,予 備 実 験 の 結 果 か ら,筋 肉 内投 与 に お け る 可及 的
Refiectance
250mg/kg投
し,他 にそ の1/4量 で あ る
与 群 を設 定 した。 250mg/kgは,臨
量 を2g/man/dayと
推 定 した 場 合,約6倍
量 で あ る、 実 験 計 画 をTable
床使用
に相当する
1に 示 す 。
を 行 な い,1日1回
左 右 の 後 肢 大 腿 部 筋 肉 に分 割 して 注
射 した 。 対 照 群 に は 滅 菌 生 理 食 塩 水 を 同様 に投 与 した 。
30日 間 の 投 与 期 間 中,毎
日一 般 症 状 を観 察 し,3日
毎に
腺,甲
重 量 を 測 定 し,こ
腸,結
腸
リ ン パ 節,骨
Labstix),ウ
ロ ビ リノー ・
ゲ ン(AmesUrobilistix),ビ
リル
状 腺,膵,副
胱,子
髄,下
二 指 腸,空
宮,腸
H・E染
色 し,組
に つ い て は,グ
1
Experimental
design
in beagle
酸 鉛 二 重 染 色 を 行 な っ て,電
for subacute
toxicity
腸,回
巣の
腸,盲
間 膜 リ ン パ 節,鼠
径部
織 学 的観 察を行な っ
酸 ウ ラ ニ ル,ク
エ ン
子 顕 微 鏡 に よる微 細 構 造 の
観 察 を 行 な った 。
dogs (i.m., 1 month)
下 腺,卵
ル タ ー ル ア ル デ ヒ ド前 固 定,
ポ ン包 埋,酢
ビ ン(AmesIctostix)。
Table
腎,顎
垂 体 お よ び投 与 局 所 の筋 肉 を 加 え て
オ ス ミ ウ ム酸 固 定,エ
トン体,潜 血, pH (Ames
例 に つ い て 糞 を 培 養 し,光
れ に 胃,十
直 腸,膀
た 。 肝,腎
蛋 白,ケ
Dextrostix
光 光 度 計)。
検 を 行 な っ た 。 肉 眼 的 観 察 の 後,脳,心,肺,
肝,腎,脾,胸
実 験 期 間 中 に 次 の項 目に つ い て 検 査 を 行 な った 。
尿 量(ml / 20hr),糖
ルPt
例 を ペ ン トバ ル ビ タ ー ル 深 麻 酔 下 で 頸 動 脈 よ り放 血 死 さ
ホ ル マ リ ン 固 定,
尿検査
糖(Ames
動分
方 法 に よ り腸 内 細 菌 叢 の 変 動 を 調 べ た 。 最 後 に 全
体 重 と摂 餌 量,摂 水 量 の 測 定 を 行 な った 。 実 験 開 始 前 と
i)
K(炎
30日 間 の 投 与 終 了 後,全
岡4)の
せ,剖
検 体 は 用 時 調 製 と し,蒸 留 水 に溶 解 した後,濾 過 滅 菌
Na,
LDH
リ ン パ スACA自
析 装 置 に よ り測 定 。 総 蛋 白(屈 折 率 法),A/G比(セ
meter),
(Urease-
(Evelyn-Malloy法),
て1カ 月 間 予 備 飼 育 し,健 康 状 態 を確 認 した後 実験 に使
大 量 と思 わ れ る1000mg/kgと
マ ト
液化 学検査
GPT
Ch-E(高
一 ル タ ー カ ウ ン タ ー),ヘ
モ グ ロ ビ ン(シ ア ン メ ト ヘ モ グ
赤 血 球 数(超
Ecker法),白
GOT,
験 材 料 お よび 方 法
で 購 入 し,室 温22±2℃,湿
血液検 査
iii)血
用 い た。
日本 ク レア(株)由
ii)
test of T-1220
CHEMOTHERAPY
870
Fig. 1
Body weight
treated
changes
in beagle
intramuscularly
dogs
with T-1220
for 1 month
II. 実
1.
験
結
果
一 般 症 状 と発 育 にお よぼ す 影 響
T-1220お
よびABPCの1000mg/kg投
与 群 で は,投
与 直 後,動 物 は 悲 鳴 を あ げ,狂 乱 状 態 に 陥 り,手 当 た り
次 第 に噛 み つ く反 応 を 示 した 。 こ の痛 み を表 わ す症 状 は
投 与 後3分 以 内 に 軽 減 され るが,約30分
ず る歩 行 が み られ た 。 T-1220
間 は後 肢 を 引 き
250Mg/kg投
与群 では こ
れ らの症 状 は 認 め られ な か った 。 眼 に は 肉 眼的 異 常 が み
られ ず,ま た 行 動 に も,視 覚 障 害 に よる と思 わ れ る 異 常
は み られ な か った 。 発 育 に関 して はFig.1に
示すよう
に,各 投与 群 と も抑 制 は み られ なか った 。
2.
摂 餌 量 と摂 水 量
各 投 与 群 と も毎 日300gの
飼 料 を完 全 に食 べ て お り,
検 体 投 与 に よ る影 響 が み られ なか った。 摂 水 量 に も変 化
を 認 め な か った 。
3.
尿 検 査(Table2)
T-1220
1000mg/kg投
反 応 を み た ほ か, ABPC
与 の3例 中1例 に軽 度 の 潜 血
1000mg/kg投
与 の2例 に,軽 度
の蛋 白 と ビ リル ビ ンの 出現 を認 め た 。尿 量, pH,糖,ケ
トン体,ウ
4.
ロ ビ リノ ー ゲ ンには 著 しい変 化 が な か った 。
血 液 検 査(Table
T-1220
250mg/kg,
3-1, 3-2, 3-3)
1000mg/kg投
与 群 に は赤 血 球 数,
ヘ モ グ ロ ビ ン,ヘ マ トク リ ッ ト,網赤 血 球 数,血 小 板 数 に
異 常 が 認 め られ な か った 。 白 血 球 数 に も異 常 が 認 め られ
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876
な い が,白
血 球 分 画 で は, 1000mg/kg投
与で
好 中 球 の わ ず か な 増 加 が み られ る 例(No.8)
が あ っ た 。 ABPC投
与2∼3週
与 の1例(No.10)は,投
後 に 赤 血 球 数,ヘ
モ グ ロ ビ ン,ヘ
マ ト ク リ ッ トの 減 少 と 白 血 球 数 の 増 加(分
で は 好 中 球 が 増 加 して い る)を
5.
血 液 化 学 検 査(Table
画
示 した。
4-1, 4-2, 4-3, 4-
4, 4-5)
T-1220お
群 で,
よ びABPCの1000mg/kg投
GOT
, GPTの
与
上 昇 が あ り,投
与1∼2
週 後 を ピ ー ク と して 以 後 徐 々 に 低 下 す る 傾 向
を 示 し た 。 こ の 変 化 は,
もABPC投
ま た 投 与2週
が,
T-1220投
与群 よ り
与 群 に 若 干 強 く現 わ れ て い た 。
T-1220,
後 を ピ ー ク とす るLDHの
ABPC投
上昇
与 群 にほ ぼ 同程 度 に認
め られ た 。 他 の 検 査 項 目 には 検 体 投 与 に起 因
す る と思 わ れ る異 常 が な か った 。
6.
腸 内 細 菌 叢 の 変 動(Table
T-1220投
5-1, 5-2)
与群では総菌数がわずか な 減少
を 示 し た が,そ
の 主 因 はBifidobacteriaの
消
失 に よ る も の と 思 わ れ た 。 そ の 他Staphylococciの
著 明 な 減 少,
的 で あ り,ま
Clostridiaの
消失が特徴
たBacteroidaceaeの
わずか な
減 少 が み ら れ た 。 こ れ をABPC投
較 す る と,総
菌 数 減 少,
Staphylococci減
bacteria消
失,
与 群 と比
Clostridia消
少 の 点 で 共 通 し,
Bacteroidaceae減
失,
Bifido-
少 はT-1220
に 特 徴 的 で あ る よ うに み え た 。
仏
剖 検 所 見 と臓 器 重 量,臓
肉 眼 所 見 で は,
1000mg/kg投
T-1220お
器重量体重比
よ びABPCの
与 全 例 の 投 与 部 位 筋 肉 に高 度
の 出 血 や 壊 死 が あ り(Photo.
1, 2),こ れ ら の 例
で は鼠 径 部 リ ンパ節 の肥 大 が 認 め られ る も の
も あ っ た 。 T-1220
250mg/kg投
与群では投
与 部 位 の 筋 に ほ と ん ど 肉 眼 的 な 異 常 が な く,
生 理 食 塩 水 投 与 の対 照 群 との 間 に 差 が み られ
な か っ た 。 他 に は 脾 の 周 辺 部 に,暗
状 に 隆 起 した,限
250mg/kg投
局 した う っ血 が,
与 の2例,
1例 ,ABPC投
与 の2例
臓 器 重 量 をTable
をTable
6-2に
の 肝 重 量 増 加 が,両
れ た 。T-1220
T-1220
1000mg/kg投
与 の
に 認 め られ た 。
6-1に,臓
器重量体重比
示 す 。 臓 器 重 量 で は,
お よ びABPCの1000mg/kg投
赤 色 に帯
T-1220
与 群 に,軽
度
検 体 と も同 程 度 に 認 め ら
250mg/kg投
与 で は これ が み
JULY 1977
VOL.25
CHEMOTHERAPY
NO.5
Table 5-1
Numbers of organisms in the intestinal bacterial flora of beagle dogs
treated intramuscularly with T-1220 for 1 month (log/g of feces)
Table 5-2
Mean numbers of organisms (log/g of feces) and detection rates of the
intestinal bacterial flora from beagle dogs treated intramuscularly T1220 for 1 month
877
CHEMOTHERAPY
878
Photo. 1
The injection site (Musculus fernoris) from a
beagle dog given T-1220 at 1000 mg/kg
with intramuscular injection for 1 month.
Focus of muscular necrosis, which was
formed by the injection of T-1220, is shown.
Table
6-1
Organ weight
in beagle
dogs treated
JULY
Photo. 2
1977
The injection site (Musculus femoris) from
a beagle dog given ABPC at 1000 mg/kg
with intramuscular
injection for 1 month.
Granulation tissue is formed surrounding
the broad muscular necrosis.
intramuscularly
with T-1220
for 1 month
(g)
VOL.
25
NO.
CHEMOTHERAPY
5
Table
6-2
Relative
organ
intramuscularly
weight
879
per 100 g body weight
with T-1220
in beagle
dogs treated
for 1 month
Photo. 3
The muscle of the injection site from a beagle dog
given T-1220 at 1000 mg
/kg with intramuscular
injection for 1 month.
Hemorrhage,
tion,
muscular
and
are
cell
infiltranecrosis
granulation
observed. •~
staining.
tissue
80,
H.
E.
CHEMOTHERAPY
880
Photo.
4
The
liver
cells
1000mg/kg
Hydropic
the
Photo.
5
Electron
T-1220
granules
are
fixation
acetate
reticulum
and
with
undistinguishable
with
glutaraldehyde
lead
of
200,
citrate.
dog
liver
of
the
H.
E.
of
confined
and
given
T-1220
injection
cell
can
liver
for
be
cell
at
1 month.
observed,
shows
no
but
signifi-
staining.
the
intramuscular
and
is
beagle
the
observation
1000mg/kg
endoplasmic
a
intramuscular
pattern
changes. •~
microscopic
at
change
cord-like
cant
from
with
JULY
liver
cell
from
injection
its
area
in
the
osmic
are
for
enlarged.
cytoplasmic
acid.
Double
a
beagle
1
month.
The
matrix. •~
staining
dog
given
Glycogen
rough
surfaced
7500,
Double
with
uranyl
1977
VOL.
25
NO.
CHEMOTHERAPY
5
Photo.
6
The
kidney
mg/kg
significant
rulus
Photo.
7
Electron
dog
There
are
osmic
acid.
られ なか った 。 他 にはABPC
and
microscopic
given
T-1220
no
from
with
dog
are
seen
tubule. •~
400,
H.
1000
gross
changes. •~
staining
of the
mg/kg
与 群にの
both
E.
in
at
1 month.
the
renal
glomerulus
of
the
intramuscular
Double
uranyl
T-1220
for
1000
No
glome-
staining.
with
7500,
with
given
injection
changes
Double
1000mg/kg投
a beagle
intramuscular
observation
at
881
fixation
acetate
and
with
lead
kidney
from
a beagle
injection
for
1 month.
glutaraldehyde
組 織 学 的 検 査 の 結 果 をTable
み,腎 重 量 の軽 度 増 加 と胸 腺 電 量 の減 少 が あ った 以 外,
ABPCの1000mg/kg投
検 体 投 与 に起 因 す る と思 わ れ る 重量 の変 化 が なか った 。
そ の 周 囲 の 肉 芽 組 織(Photo.3)が
8.
組 織 学 的 検 査 と電 子 顕 微 鏡 的 観 察
た,可
and
citrate.
7に
与 全 例 に,投
示 す 。 T-1220と
与部位の筋壊死 と
高 度 に 認 め られ た 。 ま
逆 性 の 肝 細 胞 の 水 腫 様 変 性(Photo.4)が
全例 にみ
CHEMOTHERAPY
882
Table
7
Histological
observation
T-1220 for 1 month
JULY
in beagle dogs treated
intramuscularly
1977
with
No significant changes were observed in brain, hypophysis, heart,lung, kidney, thyroids, thymus,
submaxillary glands, adrenals, pancreas, stomach, duodenum, jejunum, ileum, cecum, rectum,
colon, uterus, ovaries, urinary bladder, mesentery lymph nodes and bone marrow.
られ た が,肝 細 胞 索 の配 列 は 正 常 で あ り,炎 症 性 変化 は
症 状,投 与 部 位 の 肉 眼 的 所 見 と も生 理 食 塩 水 投 与 対照 群
認 め られ な か つた 。 こ の肝 細 胞 を電 子 顕 微 鏡 的 に観 察 す
との 間 に差 が み られ な か つた 。T-1220投
る と(Photo.5),細
と思 わ れ る変 化 と して は,1000mg/kg投
胞 質 のendoplasmic
な って お り,核 膜 とmitochondria周
reticulumは 疎 に
辺 に わ ず か にみ ら
れ る だ け で あ つた 。 細 胞 質 のglycogenareaは
大 して お り,glycogen
granulesの
異 常 に拡
電子密度は対照群 よ
投 与 開 始1∼2週
与 に起因する
与 群 に お い て,
後 を ピー ク とす るGOT,GPT,LDHの
中 等 度 の上 昇 と肝 重 量 の増 加,お
よ び組 織 学 的 に肝 細 胞
の 水 腫 様 変 性 と脾 の限 局 した うっ血 が あ つた 。 肝 の電 子
り低 い傾 向 を示 して い た。 この 変 化 は,T-1220とABPC
顕 微 鏡 所 見 で は,細 胞 質glycogenareaの
の1000mg/kg投
た こ とか ら,検 体 に よ る肝 の糖 質 代 謝 に 対 す る何 らか の
与 群 で ほ ぼ 同程 度 に 認 め られ た 。 腎 に
は 各 投 与 群 とも,組 織 学 的(Photo.6)に
的(Photo.7)に
も,電 子 顕 微 鏡
も異 常 を認 め な か った 。 他 に は,鼠 径 部
拡 大 が み られ
影 響 が 考 え られ るが,こ の 変 化 は 形 態 的 には 可 逆 的 範 囲
を 超 え な い 程 度 の も ので あ った 。 またGOT,GPT,LDH
リ ンパ 節 の腫 大 と リ ンパ球 の増 加 がT-1220とABPCの
の上 昇 は,こ の 肝 の 変 化 の み な らず,投 与 部 位 の 骨 格 筋
1000mg/kg投
壊 死 に よる 影響 を もい く分 反 映 して 現 わ れ た もの と思 わ
与 群 にみ られ,脾 の 限 局 性 の うっ血 が 対
照 群 を 除 く各 投 与 群 に投 与 量 と無 関 係 に散 発 的 に み られ
れ た 。上 記 変化 はABPClOOOmg/kg投
た。
認 め られ た。T-1220250mg/kg投
III. 総 括 と 考 察
T-1220250mg/kg,1000mg/kgを1群3頭
比 較 検 討 した 。
投 与 後,T-1220お
の 雌 性 ビー
よびABPCの1000mg/
与 群 の動 物 は激 しい痛 み を 表 わ す 症 状 を 示 した 。
これ は50%溶
液 の2ml/kg筋
注 とい う本 実 験 の た め に や
む な く設 定 した 高 濃 度 の 検 体 の大 量 筋 注 に よる影 響 に加
え て,T-1220,ABPCと
与 群 で は検 体 投 与 に
起 因 す る と思 わ れ る異 常 が な か つたo
グ ル犬 に1ヵ 月 間筋 肉 内 投与 し,そ の 安 全 性 をABPCと
kg投
与 で も同程 度 に
結
1)
T-1220
論
250mg/kg,
1000mg/kgを1群3頭
の雌
性 ビー グル 犬 に1ヵ 月 間 筋 肉 内投 与 した 。 対 照 薬 と して
ABPC
1000mg/kgを
同様 に投 与 し,対 照 群 に は生 理 食
塩 水 を投 与 したo
2)
T-1220お
よびABPCの1000mg/kg投
与群で
も局 所 刺 激 作 用 を 有 す る5)と い
は,投 与 後 激 しい 痛 み を表 わ す 症 状 が み られ,剖 検 で は
う要 因が 加 わ つた た め と思 わ れ た 。 これ らの 動 物 の投 与
投 与 局 所 の 筋 肉 に 出 血,壊 死 が 認 め られ た が,そ の 程 度
部 位 に は 出血 や 限 局 した筋 壊 死 が 認 め られ たoし か し,
は 両検 体 間 に 差 が な か つた 。
T-1220250mg/kg(25%溶
液,1ml/kg)投
与 群 で は,
3)
T-1220お
よ びABPCの1000mg/kg投
与 群 で,
VOL.
GOT,
25
GPT,
NO.
CHEMOTHERAPY
5
LDHの
中 等 度上 昇 が 一 過 性 にみ られ,肝
883
の
組 織 学 的検 査 で は 肝細 胞 の 水 腫 様 変 性 が 認 め られ た が,
文
1)
に 差 が な か った 。
T-1220
明,米
恒 夫,柴
T-1220の
肝細 胞 索 の 配 列 は 正 常 で あ った 。 そ の 程 度 には 両 検 体 間
4)
高井
献
田 豊 昭,中
田 弘 子,正
田 哲 夫,中 村 昌 三,河
毒 性 試 験(第1報),マ
田
イ ヌ,サ ル に お け る 急 性 毒 性 試 験 。 Chemotherapy
250mg/kg投
与 群 に は 検 体 投 与 に起 因 す
る異 常が な か った 。
25 (5) : 816∼828,
2)
謝
辞
賜 わ った金 沢 大 学 医 学 部 第2病 理 学 教 室 太 田 五 六 教 授
と,腸 内細 菌 叢 の検 査 に関 して,実 験,解
高井
明.米
夫,河
村 泰 仁,佐
2報),ラ
実 験 の遂 行 に あ た り,組 織 標 本 の 観 察,診 断 と校 閲 を
1977
田 豊 昭,中
田 弘 子,正
藤
盛
3)
析 全般 に わ た
高井
明,米
仁,佐
藤
田 豊 昭,正
盛,中
25(5)
毒 性 試 験(第3報),ラ
らび に千 田俊 雄,石 津 景 子 の 各 氏
に深 甚 な る感 謝 の 意 を表 します 。
力を 頂 い た 当 研 究 所
4)
山照 美,
鷲 塚 康 子,古 川 裕 美,折 川 真 佐 子 の各 氏 に感 謝 し ます 。
田 哲 夫,河
場 淳 子:
性毒
1977
村泰
T-1220の
ッ ト静脈 内 投 与 に お け る 亜
25 (5) : 857∼868,
1977
光 岡 知 足:腸
内 フ ロー ラ の 調 べ 方 と決 め 方 。 腸 管
感 染 研 究 会 編 「感 染 モ デ ル の 組 み 方 」。 p.165∼
192.近 代 出 版 。 1973
中 田弘 子,大 森 雅 春,
荒 井 博 敏,池 上 輝 久,中 村 昌三,稲 場 淳 子,伊
田哲
毒 性 試 験(第
: 829∼857,
谷 博 之,柴
田 弘 子,稲
急 性 毒 性 試 験 。 Chemotherapy
室 中谷 林 太 郎 教 授,な
谷 博 之,柴
: T-1220の
ッ ト腹 腔 内 投 与 に お け る 亜 急 性,慢
性 試 験 。 Chemotherapy
って ご協 力 を頂 いた 東 京 医 科 歯 科 大 学 医学 部 微 生 物 学 教
また,協
谷 博 之,室
村 泰 仁,佐 藤
盛:
ウ ス,ラ
ッ ト,
5)
高井
明,米
三,岡
野 悦 子 : T-1220の
motherapy
田 豊 昭 。 中 田 弘 子,室
田 恒 夫,中
村 昌
局 所 刺 激 性 試 験 。 Che-
25 (5) : 934∼940,
1977
TOXICITY
TESTS OF T-1220 (IV):
SUBACUTE
TOXICITY
OF T-1220 IN BEAGLE
DOGS
WITH
THE INTRAMUSCULAR
ADMINISTRATION
AKIRATAKAI,TOYOAKIYONEDA,YASUHITOKAWAMURA,
TETSUO SHIBATA,HIROYUKIMASATANIand SHIGERUSATO
Research Laboratory, Toyama Chemical Co., Ltd.
The subacute toxicity of T-1220 was tested using female beagle dogs treated with
the daily intramuscular administration for a month, and compared with that of aminobenzylpenicillin ( ABPC ) . T-1220 was injected to the dogs with daily doses of 250 and
1,000 mg/kg, and ABPC was with daily dose of 1,000 mg/kg. Control dogs were treated
with physiological saline.
The results are as follows.
1) The signs showing severe pain were observed immediately after the administration in groups of T-1220 and ABPC, respectively, at 1,000 mg/kg.
2) The bacterial flora of the bowel of the beagle dogs treated with T-1220 for a
month was examined. The administration of T-1220 produced a slight decrease in total
number of organisms that was mainly due to the disappearance of Bifidobacteria and
Clostridia.
3) The GOT, GPT and LDH increased slightly in groups of T-1220 and ABPC at
1,000 mg/kg. The histological examination, however, showed only hydropic changes of
the hepatic cells and did not any inflammatory changes throughout the livers in both
groups.
4) The group of T-1220 at 250 mg/kg had no abnormalities produced by the administration.