◎蒸散がどこで行われているかを調べる実験 [実験] 水の入った試験管に植物をさして,次のA~Dのようにして水の量の変化を調べます。 A…葉のついた枝をそのまま試験管にさす。 (葉の表・葉の裏・茎から蒸散します。) B…葉の表にワセリンを塗り試験管にさす。 (葉の裏・茎から蒸散します。) C…葉の裏にワセリンを塗り試験管にさす。 (葉の表・茎から蒸散します。) D…葉をとりさった枝を,試験管にさす。 (茎から蒸散します。) (水面からの水の蒸発を防ぐため,水に油 を浮かべます。) [結果] この実験で,24時間後に減った水の量は次の表の通りです。 3 減った水の量(cm ) A B C D 10 7 5 2 [考察] 実験の結果から,葉の表からの蒸散量は何cm3か。 葉の表からの蒸散量だけを求めたいので,葉の表を含むものから,よぶんなものを引きま す。 A -) B 葉の表 葉の裏 茎 葉の裏 茎 C -) D 葉の表 葉の表 茎 茎 葉の表 したがって,A-B=C-D= 3(cm3) 実験の結果から,葉の裏からの蒸散量は何cm3か。 葉の裏からの蒸散量だけを求めたいので,葉の裏を含むものから,よぶんなものを引きま す。 A 葉の表 -) C 葉の表 葉の裏 茎 茎 葉の裏 B -) D 葉の裏 茎 茎 葉の裏 したがって,A-C=B-D= 5(cm3) -1- ◎光合成でデンプンができることを調べる実験 [実験] ① よく日光にあてた葉を,夕方につみとり,湯につけます。 (葉をやわらかくするため。) ② エタノールに 10 ~ 15 分つけます。(葉の緑色を脱色するため。) ③ かるく水で洗います。(エタノールをとり除くため。) ④ ヨウ素液を加え,色の変化を観察します。(デンプンがあることを調べるため。) ※操作の手順を覚えましょう。 [結果] 葉の全体が青紫色になった。 [考察] デンプンがあるかどうかを調べる実験では,ヨウ素液を使います。 ヨウ素液は褐色ですが,デンプンがあるところでは青紫色になります。 この実験の結果で,日光にあてた葉にはデンプンがあることがわかりました。 したがって,光合成によってデンプンができることがわかります。 -2- ◎光合成に葉緑体と光が必要なことを調べる実験 [実験] ①ふ入りの葉(葉緑体の ない部分を「ふ」といい ます)と,②ふのない葉 を用意し,ふのない葉の 一部をアルミニウムはく でおおいます。 (光を当てないため。) この2枚の葉によく日光を当てた後,熱湯につけ,さらにエタノールに一度ひたして から水洗いをし,最後にヨウ素液をつけて色の変化を観察します。 [結果] ①のふの部分は,青紫色 にならなかった。 ②のアルミニウムはくで おおった部分は,青紫色 にならなかった。 [考察] 葉緑体のないふの部分と,アルミニウムはくでおおって光が当たらなかった部分は,デン プンができていないことがわかります。 このことから,光合成には葉緑体と光が必要であることがわかります。 -3- ◎光合成で二酸化炭素が使われることを調べる実験 [実験] 2本の試験管A,Bに,息をふきこんで緑色にしたBTB液をいれて,Aの試験管に オオカナダモを入れます。 数時間,光を当てた後,BTB液の色の変化を調べます。 [結果] AはBTB液の色が青色に変化したが,Bは変化しなかった。 [考察] Aの試験管は,光合成によって二酸化炭素が使われたため,青色になりました。 Bの試験管は,変化がなく緑色のままでした。 ※ Bの試験管は,対照実験のために用意しました。 対照実験 = 実験の結果を明らかにするために,1つの条件を変えたものを用意して 同じ操作をする実験。この実験では,BTB液の色の変化がオオカナダモ のはたらきによるものであることを明らかにするために,オオカナダモが 入っていない試験管を用意しました。 -4- ◎音を伝えるものを確認する実験 [実験] ① 丸底フラスコの中に鈴をぶら下げて,ゴム管をピンチコックでとめて振ります。 ② ゴム管の先にポンプをつけて,丸底フラスコの中の空気を抜いていきます。 [結果] ① 鈴の音が聞こえた。 ② 丸底フラスコを振っても,音は聞こえなくなった。 [考察] 空気を抜くと音が聞こえなくなることから,音は空気によって伝えられることがわかりま す。 -5- ◎再結晶の実験 [実験] ① 右の図のように,ミョウバン と食塩をそれぞれ 60 ℃の湯 100 gに溶けるだけ溶かします。 ② 温度を 30 ℃に下げます。 [結果] ビーカーの底に,白いミョウバンの結晶が現れた。 [考察] 右のグラフのように,ミョウバンは,水の温度に よって溶解度(100 gの水に溶かすことができる量) が大きく変化します。一方,食塩は水の温度が変わ っても溶解度はあまり変化しません。 水の温度を 60 ℃から 30 ℃に下げたことで,溶か すことができる ミョウバン の量が小さくなったた め,溶けきれなくなったミョウバンが結晶としてビ ーカーの底に現れました。 このように,固体の物体を溶かして,水の温度を 下げることで再び結晶としてその固体を取り出すことを「再結晶」といいます。 ※ 食塩は,溶解度がほとんど変化しないため,結晶を取り出すには水を蒸発させます。 -6- ◎水とエタノールの混合物を蒸留する実験 [実験] ① 水とエタノールの入った丸底フラスコに 沸騰石を入れてガスバーナーで加熱しま す。 (急な沸騰を防ぐために,沸騰石を入れます。 ) ② 加熱によって蒸発した気体を,ガラス管 を通して冷やします。 (逆流を防ぐため,火を消す前にガラス管 を試験管から抜きます。) [結果] Aで沸騰が始まり,試験管にはエタノールを多 く含む液体が集まった。 Cで再び沸騰が始まり,試験管には水を多く含 む液体が集まった。 ※エタノールの沸点=約 78 ℃ 水の沸点= 100 ℃ [考察] 混合物を加熱しても,純粋な物質のように一定の温度にはなりません。 これは,一方の物質が状態変化しているときでも,もう1つの物質は温度が変化するから です。 この実験では,沸点の低いエタノールが先に気体になるため,AからBの間に試験管にた まった液体は,エタノールを多く含みます。 その後,水の沸騰が始まり,水を多く含んだ液体が試験管にたまります。 ※ エタノールは燃えるため,確かめるときは液体に火をつけて燃えることを確認します。 -7- ◎だ液のはたらきを確かめる実験 [実験] ① 0 ℃,30 ~ 40 ℃,90 ~ 100 ℃の水が入ったビーカーにそれぞれ2本ずつのデンプン 溶液の入った試験管を入れます。 (だ液がはたらく温度を調べるために,温度を変えた試験管を用意します。) ② それぞれのビーカーに入った2本の試験管の一方の試験管にだ液を,もう一方の試 験管に蒸留水を加えます。 (蒸留水は対照実験のために加えました。) ③ それぞれの試験管のデンプン溶液を,ヨウ素液とベネジクト液を用いて色の変化を 調べました。 (ベネジクト液は,加えたあとに加熱します。) (ヨウ素液はデンプンの有無を調べるために加えます。ベネジクト液はデンプンが分解 されたことを確かめるために加えます。) [結果] 蒸留水を加えたもの 0℃ ヨウ素液 青紫色 だ液を加えたもの 30~40 ℃ 90~100 ℃ 青紫色 青紫色 0℃ ヨウ素液 ベネジクト液 変化なし 変化なし 変化なし 青紫色 30~40 ℃ 90~100 ℃ 変化なし 青紫色 ベネジクト液 変化なし 赤かっ色 変化なし [考察] 30 ~ 40 ℃で,だ液をくわえた試験管にだけ色のちがいが見られたことから,だ液は 30 ~ 40 ℃(ヒトの体温に近い温度)ではたらくことがわかります。 また,ベネジクト液が反応したことから,だ液はデンプンを分解して小さな糖に変化させ るはたらきがあることがわかります。 -8- ◎陰極線の性質を調べる実験 [実験] ① 図1のように,真空放電管に蛍光板を入れて電圧 を加えました。 ② 図2のように,真空放電管の上下に電極をつなぎ, 電圧を加えました。 ③ 図3のように,真空放電管にU字型磁石を近づけ ました。 [結果] ① 電流の道すじに沿って,蛍光板が光った。 (このとき蛍光板を光らせたものを陰極線といい, その正体は電子です。) ② +極側に線が曲がった。 (陰極線は-の電気を帯びていることがわかります。) ③ 線が曲がった。(陰極線は電流の道すじなので,磁界から力を受けます。) [考察] 真空放電管の中で蛍光板を光らせたのは,電子という-の電気を帯びた粒子です。 この実験から,電子は電源の-極から+極に向かって流れていることがわかります。 ※ 電流の流れは+極から-極です。電子の流れとは逆向きになることに注意しましょう。 -9- ◎炭酸水素ナトリウムの分解 [実験] 右の図のような装置を用いて,炭酸水 素ナトリウムを加熱しました。 (発生する液体が加熱部分に流れないよ うに,試験管の口を低くします。) (石灰水の逆流を防ぐために,実験を止 める前に石灰水からガラス管を抜き ます。) [結果] ① 石灰水が白くにごった。(発生した気体は二酸化炭素であることがわかります。) ② 試験管の口にたまった液体に塩化コバルト紙をつけると,赤色に変化した。 (発生した液体は水であることがわかります。) ③ 残った白い固体を水に溶かすと,炭酸水素ナトリウムよりもよく溶けた。また,水溶 液にフェノールフタレイン液を加えると,炭酸水素ナトリウムの水溶液よりも濃い赤色 になった。 (残った白い固体は,水に溶かすとアルカリ性の水溶液になる炭酸ナトリウムです。) [考察] 炭酸水素ナトリウムを加熱すると,次のように分解されることがわかりました。 炭酸水素ナトリウム 2NaHCO3 → 炭酸ナトリウム Na2CO3 + 水 H2O + 二酸化炭素 CO2 ※ 炭酸水素ナトリウムは白い固体で,水にはあまり溶けず,水溶液は弱いアルカリ性です。 ※ 炭酸ナトリウムは白い固体で,水によく溶け,水溶液はアルカリ性です。 ※ 塩化コバルト紙は水と反応し,色は青色から赤色に変化します。 ※ 二酸化炭素は石灰水を白くにごらせます。 - 10 -
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