「症例研究」の実施方法 最も重要なことは客観性が担保されていることです バイアスや思い込み、推測などではなく、可能な限り科学的、理論的、客観的に結果 を検証してあることが望ましく、説得力のある症例研究となります。以下、押さえて おくべきポイントを参考にされて行ってください。 「主訴」と「症例研究テーマ」 症例研究に協力いただく方のことを「研究協力者」もしくは「症例研究協力者」と呼びます。 研究協力者の「主訴」の中から、研究対象として選び出したものを「症例研究テーマ」とします。 1. 症例研究開始に先立つ研究協力者との面談実施 研究を始める前に必ず研究協力の候補者と面談をし、研究テーマとする主訴の決定を行う。 症例研究は、研究協力者との間で、学会やインターネット、ジャーナルなどでその内容を発 表することをものであることを前提で同意していただきましょう。その際に、協力者の氏名 や住所などの個人情報は公開されないことが条件となります。評価方法として写真などを使 用する場合は、必ずそのことを説明し、撮影および使用許可を得てください。 2. 事前面談でのコンサルテーション実施 研究テーマに選ぶ主訴について、現在の症状、状況や治療(行っていれば)内容ばかりではなく、 過去の治療歴や経過、その他の症状、大きな既往症など、この時に出来るだけ詳しく情報収集す る。 3. 情報収集を行う 主訴が決まったら、それに関してリサーチをし、その症状、病気や治療に関する情報を集め、必 要があれば、一回目の施術日にさらに重ねて協力者に訊ねるべき質問を設定する 4. 評価法の設定 集めた情報をもとに、使用する評価法をあらかじめ決定する。評価法の例一覧を参考にするか、 もしくは、客観性が担保され、かつ、ある程度簡易で、協力者に負担になりすぎない方法をご自 身で探してください。施術前と後、などの写真撮影をされる場合、背景、光源、光量、被写体か らの距離、撮影角度が必ず一定であることが重要です。公平に比較するためには、これらのベー スが同一でなければなりません。 5. 施術、ホームケア、生活上のアドバイスなどの研究計画を立てる。 初回開始までにある程度の研究計画は立て、毎回の施術と評価の結果を検証、考察して、より良 1 い結果を出すために、必要に応じて施術内容などを途中でも見直していく。 6. 施術やホームケアの内容を正確に記録すること 施術日時や使用した材料の量や内容、施術にかけた時間やアプローチなど、第三者から見て、 不明な要素をできるだけ少なくすることが重要です。 7. 研究開始までに準備しておくもの: 選んだ評価法に必要なもの(評価用質問シート、メジャー、計測器、撮影が必要な場合はカ メラ、協力者に持って帰っていただき、毎日の状態を記入していただくダイヤリーなど) アロマセラピーであれば、ホームケア用の説明書(内容、使用量、使用方法、使用回数、使 用タイミングなど) アロマセラピーであればホームケア作成に必要であろうと予測される材料、容器など その協力者にとって施術中に必要と思われるグッズなど(ホットパック、脚枕、足湯器、BGM, その他) 8. 症例研究の実施タイミング 月経痛、PMS などは、月経開始予定の2週間以上前から実施すること。また、その評価に関 しては、研究開始以前の月経時に、一度その症状を評価しておいてもらうとさらに良い。 症例研究の期間が、他の新しい治療の開始や今までの治療の停止と重ならないようにするこ と(やむを得ない場合を除いて) 9. 主訴の施術後の変化は施術直後ばかりではなく、次の施術日までの間の変化も確認する 研究期間中、ダイヤリーをつけていただくなどする。 最終回が済んだあと、三日後ぐらいにお電話やメールでもよいので、その後の主訴の状況を お伺いし、最終評価とするとよい。 10. 結果の検証と施術内容、ホームケアの考察 毎回、症状改善の状態を検証、考察し、施術やホームケア(行う場合は)の見直しをする、 ということを繰り返します。 検証、考察すべきは研究テーマに選んだ主訴に対してであり、それ以外に変化があった場合、 それは記録、評価してかまいませんが、主訴に対しての効果の検証や考察の代わりにはなり ません。 最終の総合的考察、結果まとめの段階では、ダイヤリーを使っていた場合には、そのスケー ルや測定値の数値を折れ線グラフなど、ビジュアルで変化が追えるものにして挿入すること により、変化が明確となり、施術との相関関係が明らかになります。この方法は必須ではあ りませんが、推奨されます。 2
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