28P-pm056 ポリアミン誘導体による NMDA 受容体活性阻害を介した脳保護効果 ◯益子 崇 1 , 鈴木 豊史 1 , 並木 里絵 1 , 長岡 裕樹 1 , 宮崎 由美子 1 , 三宅 宗晴 1 , 草間 國子 1 , 木澤 靖夫 1 , 柏木 敬子 2 , 五十嵐 一衛 3 , 伴野 和夫 1 , 草間 貞 1 2 3 ( 1 日本大薬, 千葉科学大薬, 千葉大院薬) 【目的】グルタミン酸受容体の一種である N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体は、 Ca2+に高い透過性を有しており、記憶・学習の形成や神経の発達に寄与している。 一方、NMDA 受容体が過度に活性化すると多量の Ca2+が細胞内に流入することで 神経細胞死が引き起こされ、てんかんや脳虚血後の症状悪化に関与している。こ の NMDA 受容体活性はポリアミンにより二面的な活性調節を受けることから、新 規に合成したポリアミン誘導体の NMDA 受容体に対する影響について検討した。 【方法】NMDA 受容体活性に対するポリアミン誘導体の作用は、Xenopus 発現系 を用いた二電極膜電位固定法にて測定した。NMDA を腹腔内投与することで誘発 される痙攣マウスに対するポリアミン誘導体の保護効果は痙攣時間を測定するこ とで評価された。また、脳虚血モデルマウスに対するポリアミン誘導体の脳保護 効果については、MCAO 処理マウスを用いた TTC 染色法にて梗塞体積を算出する ことで評価した。 【結果・考察】ポリアミン骨格にアルキル基とグアニジル基を付加したポリアミ ン誘導体である BsPDG を新規に合成し、NMDA 受容体に対する影響を検討した。 Vh = -70 mV において、BsPDG は NMDA 受容体サブタイプである NR1/NR2A、 NR1/NR2B 受容体活性を顕著に阻害し、この阻害作用には電位依存性が認められ た。また、NMDA 誘発性痙攣マウスで、BsPDG を尾静脈または脳室に前投与する と痙攣時間が顕著に短縮された。さらに、脳虚血モデルである MCAO 処理マウス において、BsPDG は虚血前及び虚血後の両投与方法で顕著に梗塞体積の縮小が認 められた。以上の結果から、BsPDG は in vitro 及び in vivo の実験系において、顕著 に NMDA 受容体活性を顕著に抑制することが示された。
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