IoT - 増井俊之

IoT時代の認証技術
増井俊之
慶應義塾大学
[email protected]
http://pitecan.com/
2015年11月10日
自己紹介
シャープ、ソニー、産総研などに勤務
ケータイの予測変換(POBox)などを開発
2008秋まで米国Appleに勤務
フリック入力などを開発
ユーザインタフェースの研究開発
各種Webサービス運用中
雑誌記事/Web記事多数
Gyazo
Gyazo (2015/1)
月間1000万ユーザ
Alexaデータ (2015/3/3)
Gyazo
IoT時代の認証技術
認証の重要性が増大中
ユビキタス時代 / IoT時代
→ 誰もがどこでも計算機を使う
→ 計算機資源の共有がすすむ
→ どこでも認証が必要になる
例: Suica
電車に乗るために認証している
Suica以前はネット認証はできなかった
例: Peatix
例: ドア開閉
例: RFIDマン
認証手法の種類
持っているものを利用
、USBメモリ
自分の身体的特徴を利用
生体認証
知識や能力を利用
パスワード, チャレンジ質問
CAPTCHA
パスワード認証
現在のコンピュータで最もポピュラー
実装が簡単で枯れている
認識技術やハードウェアが不要
パソコンで利用しやすい
キーボードがあるから
正しく運用すれば安全
パスワードの問題点
適切なパスワードを選ぶのが困難
覚えるのが大変 / すぐ忘れる
容易に解読される
安全な運用が難しい
簡単にコピー可能
文字入力装置が必要
認証ハードウェアの問題点
持ち歩くのが邪魔
持ち歩くのを忘れる
紛失/盗難の危険
生体認証の問題点
怪我や病気で使えなくなる
コピーされる可能性がある
変更が不可能
何が一番良いのか?
実はパスワードが最善?
Joseph Bonneau氏の調査
その他の試み
パスワード管理システム
画像認証
特殊ハードウェア
パスワード管理システム
1Password, LastPass, Dashlane, Keychain, etc.
「マスターパスワード」であらゆるパスワードを管理
パスワードを生成する
パスワードを覚えるのは不可能
忘れない記憶からパスワードを生成すれば良い
EpisoPass
エピソード記憶からパスワードを生成
EpisoPass
Androidアプリ
画像認証
画像は文字列より記憶しやすいことを利用
エピソード記憶を利用
DéjàVu
自動生成した画像から認証画像を選択
VisKey
特定の点を選択
PassPoints
Vidoop
画像のカテゴリを選択
なぞなぞ画像認証
個人的記憶と結び付いた画像から問題を生成
正答を選ぶと認証成功
デモ
増井の本棚
Leikoの本棚
なぞなぞ画像認証の利点
忘れない
入力が簡単
認証レベルを設定できる
グループで利用できる
なぞなぞ画像認証の問題点
問題作成が面倒
安心感が欠如
特殊装置の利用
Pico
FIDO
Pico
Frank Stajano @ ケンブリッジ大
特殊デバイスで手紙に安全な認証を行なう
Pico
Frank Stajano氏
Gyazo-Pico
FIDO Alliance
IoT時代の新しい認証手法の業界団体
2012発足
参加企業
PayPal, Lenovo, Nok Nok Labs, Validity Sensors, Infineon,
Agnitio
Microsoft, Google, Intel, Docomo, RSA
FIDOの認証手法
ユーザの端末で認証実行
その後サーバと端末が通信
パスワード流出の心配がない
段階的アプローチ
U2Fプロトコル
認証デバイスを利用
認証手法は任意
パスワードは使わない
UAFプロトコル
現状のパスワードサービスに対応
USBメモリ、NFCなどを利用
理想的状態に徐々に移行する
現実的なアプローチ
IoT的アプローチ
プライバシと認証は表裏
個人の秘密情報は認証に使えるはず
Suica履歴、ログイン履歴、etc.
IoT的多段階認証が可能になる
各種センサ情報を利用
例: PicoSiblings
自分の周囲の各種装置を認証に利用
課題
IoT時代の認証手法のデザイン
手法の発明
利用シナリオの検討
既存手法からなめらかに移行
パスワード世界との共生
こうならないように!