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第4回宿題レポートについて
アインシュタインの相対性理論
チェック項目
①思考実験の設定
- 第 11 回 -
レスポンスカードを取ってください
光時計の説明、光時計の静止系での説明
②光速度不変の原理
レポートの返却をします
光時計に対して動く系から見ると時間が遅くなること
以前の分は前で別途返却します
③横収縮しな
③横収縮しない
距離の変更での説明はできないこと
④特殊相対性原理
レポートの点数分布
10点 2人 9点 8人
どちらの慣性系も平等(主張は共に正しい)
⇒互いに相手の時間がゆっくり進む
8点 30人 7点 50人
⑤観測例
6点 45人 5点 9人 2~4点 5人
相対性理論の効果が実際観測されていること
前回のまとめ
今回の内容
1.特殊相対性理論が示す4つの相対性
ローレンツ変換と速度の合成
同一地点の相対性、同一時刻の相対性
位置間隔の相対性、時間間隔の相対性
主役を明確にして考えよう
見かけと真実の区別も大事
これまでの結果を数式にまとめてみよう
速度の相対論的足し算
光速に対する理解を深めよう
2.光速に近づいたときの目に見える現象
今日のキーワード
景色は十人十色
ドップラー効果、光行差、テレル回転とゆがみ
ローレンツ変換
速度の合成
光速
3
§5 ローレンツ変換と速度の合成
今回の講義について
二つの慣性系の位置と時刻の関係
数式を扱う内容が多く難しいと感じるかも
しかし、
ローレンツ変換は特殊相対性理論の基盤
⇒ 講義内容にいれる方がよいであろう
速度の合成則
・・・ローレンツ変換による導出が最も容易
今日の講義のテーマ 1
ある事件が起こった位置と時刻は
慣性系Sでは
Sに対して
地球にいる弟による記述
の速さで動く慣性系S’では
ローレンツ変換
と
ロケットの兄
の関係
S’の原点O’がSの 軸上を正の向きに動くとすると簡単
6
と 、 と の向きをそろえると簡単
1
☆ローレンツ変換の導出
☆ローレンツ変換の果たす役割
力学と電磁気学の完成 これが主だが講義では省略
1.相対論的力学の構築
ニュートン力学の修正
2.マックスウェル理論の共変性
2つの慣性系での電磁気現象の関係
派生的利用
3.時空図を用いる説明
4.速度の合成則の導出
速度の合成則を相対論的力学の構築に利用する
7
説明法もあるが、本来は独立した内容
2. =一定の状況から
を
と
⇒右のグラフ(時空図)を完成
SとS’の原点が一致する時刻を
SとS’の原点が
致する時刻を
に取る
1.座標軸は傾いている 主役は原点にいると考えよ
S’の原点はSにとり速度 で動く
⇒
軸
は
前方は未来
⇒
軸
兄の同時刻
傾きは?
は右肩上がり
⇒
S’の原点O’(
)の時計が時刻
Sでは時間が速く進んで
兄の時計はゆっくり進む
5.時間の関係を考えよう(その2)
S’の位置
S
の位置
∴
にある時計が時刻
SにとってS’の前方は未来より
と
上下左右は同時刻⇒
を
に右端のものさしを考える等
に
と
で表す
従って
から
にある的に光を発射
S’での到着時刻
光速度不変の原理
Sでの到着時刻
光は的
光は的に
の速さで接近
速さ 接近
Sでは的までの距離は
収縮
10
⇒
思考実験 時刻
一致した原点
S’の位置
には依らない
これからすること
の決定・・・どれだけ未来か
横収縮は起こらない
⇒
に左端
8
4.時間の関係を考えよう(その1)
で表そう
S’での長さ の「ものさし」
に左端
Sにとっては長さ
の「ものさし」が
速さ で右に動くので右端の位置は
3.
ローレンツ収縮
前方は未来
動く時計は遅れる
と決まり
立場の入れ替え
S’から見ればSが速さ
特殊相対性原理
で左に動く
の入れ替えをすると
⇒
に代入すると
11
別解:
を代入して解く⇒当然同じ結果
12
2
まとめ ローレンツ変換
軸
時空図
高速ロケットから光を放っても、光速度不変の
原理より光の速さは秒速30万kmである。
では物体を放つと?
の傾きは
物体
光
1. 光速を越えることもある
2. 光速に達するまでは可能
3. 必ず光速より遅い
4次元時空
観測者
SとS’夫々の立場で
ローレンツ収縮
動く時計の遅れ
を理解できる
☆速度の合成則
13
今日の講義のテーマ 2
14
ローレンツ変換の関係式を代入
地球に対して速さ で動くロケット
ロケットから速さ でミサイル発射
注:
⇒
はロケットから見た速さ
速度の合成則1
地球から見たミサイルの速さは?
地球からみたミサイルの速さ
一直線上の場合
軸に取る
時刻
に発射
ロケットに対して速さ
⇒ロケットに対する位置は
光速を越えることはない
⇒徐々に加速して光速を越えることもできない
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補足:光速度不変のチェック
教訓8 光速は越えられない壁
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2機のロケットが0.8光速で平行に
飛んでいる。一方のロケットから真横
に0.8光速でミサイルを発射する。
地球から見ると?
ロケットから光を放射
地球から見た光の速さ
1. 撃墜
2. 後方にはずれる
3. 前方にはずれる
光速度不変の原理と特殊相対性原理から
導かれた合成則なので当然の結果
17
18
3
一致の原理
地球からみたミサイルの速度
ロケットからみて撃墜の事実は
地球からみても同じ
成分
常にロケットの真横
⇒撃墜
成分
ゆっくり接近
ミサイルは光速を越えないはずでは?
時刻
に発射
ちょうど地球通過
ロケットに対して 方向に速さ
⇒ロケットに対する位置は
速度の合成則2
時間の遅れの効果の現れ
地球での撃墜までの時間は
ローレンツ変換の関係式を代入
倍
地球からみたミサイルの速さ
⇒
19
光速を越えることはない
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速度の合成則より真空中の光速までは加速可能
水中など物質中の光の速さは真空中より遅くなる。
物質中を通過する物体の速さは?
1.物質中の光速を越えることもある
2.物質中の光速より遅い
3 物質中の光速まで可能
3.物質中の光速まで可能
加速器や宇宙線で光速近くの素粒子を準備
⇒ 物質中に打ち込めば「光速以上」が実現
例:水中の光速は真空中の0.75倍
真空中の光速は越えられない壁
真の意味
物質中の光速を越えたときの現象
チェレンコフ光
超音速機の衝撃波と
同じ仕組み
青白い光
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ポイント 原理の理解と消去法
光は波の性質と粒子の性質を併せ持ち、粒子の
性質に注目する時は光子(フォトン)と呼ぶ。
このとき光のビームは光子の流れと解釈できる。
一つの光子から他の光子を眺めると?
1. 光速で前に進む
2 光速で後ろに進む
2.
3. 光速で横に進む
4. 止まって見える
5. 光子は主役になれない
光速度不変の原理 ⇒ 4.は×
特殊相対性原理
⇒ 1.2.は×
2つの光子は平等
広がらずに進むビームを考えると
3.では広がってしまうので×
は広が
まう
光子は主役になれない
主役は静止
光速で進む粒子の立場には立てない
光が自分自身を眺めると静止と考えるだけで
光速度不変の原理に反してしまう
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24
4
アインシュタインの疑問
「光の速さで走る乗り物に乗ると、顔は鏡に映る?」
答1 光の速さで走る乗り物はない
特殊相対性理論により、通常の物質は光速以上の
速さに加速することができないことが分かったが、
常に光速以上で動く粒子(タキオン)は考えられる。
タキオンが利用できるなら?
1.未来の世界に時間旅行可能
2.過去の世界に時間旅行可能
3.歴史の変更が可能
答2 光の速さに近い乗り物に乗っても
何の変化もない
光速度不変の原理
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1.は普通の亞光速ロケットで可能
光速近くで旅行して帰還
⇒自分は歳を取らずに地球は未来
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今日のまとめ
1.ローレンツ変換
双子のパラドックス参照(ウラシマ効果)
2.は不可能
通常の物質にとって光速は壁
⇒「タキオン船」に乗ることはできないので
移動手段の常識は変わらない
3.が可能になる
タキオンを利用した超光速通信
⇒過去の自分に情報を送れる
宝くじの当選番号が分かれば大金持ち・・・
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二つの慣性系の位置と時刻の関係
つの慣性系の位置と時刻の関係
時空図を描いて利用
2.速度の合成則
で動くロケットから進行方向に速さ のミサイル
地球に対する速度
光速は越えられない壁
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次回の内容
第4章 特殊相対性理論の描く世界
相対論的質量とエネルギー
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