アインシュタインの相対性理論 - 第 8 回 - レスポンスカードを レスポンスカ ドを取ってください 欠席して前回レポートの返却を受けていない 人は私のところまで受け取りに来てください ガイダンス通りこの講義は試験をしません 7月28日(第15回)での終了予定に変更なし 1 前回のまとめ 運動する物体の時間の遅れ 動く時計は遅くなる 時間間隔の相対性 運動する物体の時間はすべて同じように遅くなる 注意 主役は誰だ 問題は真実か見かけか? 真実は見た目どおりではない 2 1 今回の内容 1.真実思考と見かけ思考 真実と見かけの考え方にもう少し慣れよう 2.運動する物体の長さの収縮 運動する物体 長さ 収縮 空間の概念変更 今日のキーワード 測定器ネットワーク ローレンツ収縮 ロ レンツ収縮 位置間隔の相対性 レポート課題 動く物体の時間は本当にゆっくり進むのか 前回の講義内容がレポートのテーマ 3 ☆同時刻の相対性の動画の真実とみかけ 地上の人(主役)にとっての現象 主役は静止 真実 ← 観測の分析 みかけ 地上の人には 光の到着 バスの人には 同時に落雷 同時に到着 右が先に到着 4 2 バスの乗客(主役)にとっての現象 真実 みかけ 地上の人に 光の到着 バスの人に 主役は静止 右の落雷が先 同時に到着 一致の原理 5 右が先に到着 高速ロケットが地球からαケンタウリ(一番 近い星)まで往復してきた。途中の船内の 食事風景を地球から観察すると 1.地球と変わらない 2.行きはゆっくり、帰りは早食い 3.行きは早く、帰りはゆっくり 4.常にゆっくり 「観察」、「観測」は見かけ 6 3 近づく時計は見かけの上では速く進む 大気圏上層から地表に近づくミュー粒子の寿命は 1. 地表からは短く観測される 1 2. 寿命は延びる 3. 効果がちょうど打ち消す 7 ☆真実思考と見かけ思考 今日の講義のテーマ 1 思考実験 見かけ思考 ひとつの地点で望遠鏡観測 光の速度が有限のため到着までの所要時間が いたずらする 補正しないと真実が分からない 雷の雷光と雷鳴のクイズ参照 真実思考 測定器ネットワークで観測 測定器ネットワ クで観測 測定器に光が到達するまでの時間を考慮する 必要がなく、事実を直接記述 補正不要 8 4 測定器ネットワーク 主役に対して静止 観測者に対して静止した測定器の集まり ありとあらゆる場所に配置され、出来事の発生 時刻と内容を測定する いつどこで何が? 事前準備 反射鏡で光を往復 位置情報 時刻同期 往復時間 ⇒距離 「時報」に対して 遅らせる指令 事件発生 ⇒主役と同じ時刻を表示 主役(観測者)にとっての位置と時間を記録 各所の測定器のデータを回収して後で解析 ⇒事実が手に取るように分かる(補正不要) 9 ミュー粒子の寿命の延び 測定器ネットワークによる直接測定に対応 地上からの望遠鏡観測ではない 上空の測定器 ミュー粒子発生を記録(位置・時刻) 地表の測定器 ミュー粒子崩壊を記録(位置・時刻) ⇒寿命と速度(=距離/時間)が分かる 現実の観測では上空での発生時刻の測定はないので 大まかな飛距離から寿命の延びを結論 加速器実験なら測定器ネットワークで直接観測 真実思考には測定器ネットワーク 10 5 Q.この講義ではどうして見かけの話も扱うの? A.宇宙規模の現象では測定器ネットは仮想であり 実際の観測は光に頼った望遠鏡(肉眼)観測 ⇒超高速の世界観には見かけも大事という考え 相対性理論は非常識(非日常的) 見かけはさらに非常識 動く時計は遅れると言 たばかりなのに 動く時計は遅れると言ったばかりなのに 近づく時計は進んで見えるとか・・・ ⇒補正が日常感覚ではないので違いを紹介 11 §3 運動する物体の長さの収縮 今日の講義のテーマ 2 マイケルソン・モーリーの実験の再考 3方向の鏡までの 距離は同じ 主役は静止 宇宙ステーションの立場(MMの地球に相当) 12 どの方向にも ⇒同時に戻る 6 宇宙ステーションが で右に動くように見える 基地の立場(MMのエーテルに相当) 一致の原理 3方向への発光は同時(事件1) 3方向から戻るのも同時(事件2) 宇宙ステーションの立場 どの鏡までも距離 往復所要時間 基地 立場( 基地の立場(ステーションは シ は で同時に戻る で右に動く) 右に動く) 1.上に向かう光 は不変(横収縮はない) 往復時間 動く時計の遅れ 14 7 2.右に発射された光(左も同様) →向きに鏡に接近する速さ ←向きに戻る接近の速さ 往復にかかる時間 このままでは同時に戻らないことになってしまって矛盾! 光速度不変の原理と一致の原理の帰結として 光速度不変の原理と 致の原理の帰結として 動く物体の 進行方向の長さが 可能性はこれのみ 倍に縮む ⇒往復時間 教訓5 速さ 15 動く物差しは縮む 位置間隔の相対性 で動く物体の進行方向の長さは 倍に縮む 結論はローレンツの仮説と一見同じ ⇒ローレンツ収縮と呼ばれる 内容の違い ローレンツ はエーテルに対する絶対的速度 相対性理論 慣性系はみんな平等 は主役の慣性系に対しての速度 16 観測者 8 長さ100mのロケットが0.8光速で地球近くの 基地に接近している。ロケットは60mに縮んで 見える。基地の奥行きは80m。地球から見てい るとこのあとどうなる? 1.そのまま一瞬格納される(その後壁が突き破られる) 2.入りきらずに基地は壊れる 3.基地が大きくなって格納される 17 動く物差しは縮む 位置間隔の相対性 本来の長さは100mという考え方は間違い ロケットに乗った人の立場 地球にいる人の立場 100m 60m 見る人の立場で長さ(距離、位置間隔)は異なる 主役は誰だ 基地の影に隠れるかどうかが問題ではない 地球にいる人にとってはロケットの真の長さが60m 18 9 ロケットに乗った人から見るとどうなる? 1.縮んでいるので一瞬格納 2.長さ100mなので20mはみだす 3.半分も入りきらずにはみだす 19 特殊相対性原理 慣性系はみんな平等 立場を変えればロケットが静止で基地が運動 特殊相対性原理⇒ロケットに乗った人にとっては 基地が0.6倍(48m)に縮む 自分に対して動いている物差しは縮む 教訓 教訓5の真の意味 真 意味 位置間隔の相対性 20 10 パラドックス??? 一瞬格納される⇔はみだしてしまう 一致の原理に抵触しないのか? 立場1 2つの原理から導かれた事実は事実 大きさがある物体の話なので一致の原理に 抵触することもない 1地点での事件ではない 間違いではないが、何が起こっているかを 理解することを放棄している・・・説明不十分 立場2 同時刻の相対性から理解してみよう ロケットに乗った人の立場 先端が格納庫の奥に到達 その後 後端が格納庫入り口に到達 先端は格納庫を突き破ってる 地球にいる人の立場 後端が格納庫 り 後端が格納庫入り口に到達 到達 前方は未来 その後 2つの別の事件 ⇒立場により順番も変わる 先端が格納庫の奥に到達 22 11 0.8光速のままだと当然基地は壊れる。そこで、 ロケットのあらゆる箇所につけた逆噴射エンジンを 同時に点火して機体に負担がかからないよう減速し て基地についた。 て基地についた 1. 縮んだまま無事格納 2. 20mはみだす 3. 半分も入らない ブレーキ 23 ポイント 同時刻の相対性 このクイズで特に追加する内容はない ロケットに乗った人の立場 逆噴射は同時⇒機体に負担がかかることなく 一様に減速 全長100mなので到着したときも100m 基地は48mから減速と共に収縮効果が減り 到着したときには80mに見える ⇒20mはみ出す 24 12 ポイント 同時刻の相対性 前方は未来 地球にいる人の立場 ロケット後方部の逆噴射が先! 後方部は先に止まろうとする 前方部は慣性でそのまま進もうとする ⇒ロケットの機体が伸びてしまう ロケット到着時には互いに静止⇒長さは共通 逆噴射開始時間のずれのため次第に ロケットが伸びて到着時には100m 25 長さ1mの針状生命体が0.8光速で飛んでくる。 長さは0.6mに縮んで見えるので、直径0.8mの 網を真横から使って捕まえられることになる。 針状生命体の立場でみると? 1. 捕まってしまう 2. 縁にぶつかる 3. 速度の合成を学ばないと 0.8光速 分からない 26 13 ポイント 同時刻の相対性と一致の原理 宇宙基地のパラドックスの理解度チェック 一致の原理 消去法に使える ⇒「縁にぶつかる」事件が起こるなら 誰が主役でも起こるはず ⇒2.の選択肢は× 速度がどう見えるかと捕まるかどうかは別問題 ⇒3.の選択肢は× 速度の合成については後の講義で扱います 針状生命体にとっては 縮んだ網が0.8光速で接近 ↑にも移動して捕獲を狙ってる 27 0.8光速 ⇒縁にぶつかりそうだけど ⇒縁にぶつかりそうだけど・・・ 何か忘れてないか? 前方は未来 運動物体の前方の時刻は遅れる 針状生命体 と 針状生命体にとって網は傾いている 網 傾 る 進路上に到達するのは右の縁が先 ⇒ 縁にぶつかることなく捕獲される 14 今日のまとめ 1.真実思考と見かけ思考 思考実験 見かけ思考には望遠鏡 真実思考には測定器ネットワーク 真実は見た目どおりではない 問題は真実か見かけか? 2.運動する物体の長さの収縮 動く物差しは縮む 位置間隔の相対性 ローレンツ収縮 29 次回の内容 第4章 特殊相対性理論の描く世界 ここまでのまとめと関連する話題 ローレンツ収縮による真実とみかけの世界 30 15 第4回宿題レポート 動く物体の時間は本当にゆっくり進むのか レポートを書く際の注意 時間間隔の相対性について「欠席した友人」に 納得してもらえるよう説明しよう 16
© Copyright 2024 ExpyDoc