ホワイトソルガムふすま抽出物のアレルギー抑制効果に関する研究

ホワイトソルガムふすま抽出物のアレルギー抑制効果に関する研究
○森岡 陽子、神田 幸大、大野 芙美、近藤 愛、冨永 詩央里、藤田 絵里子、西本 壮吾1、中野 宏一2、中野 恵子2、菅原 卓也
( 愛媛大・農、1愛媛大・CMES、2中野産業(株) )
1.概要
ホワイトソルガムふすま部分にはIgE
ホワイトソルガムふすま部分には
IgE産生抑制効果を持つ因子が存在する
産生抑制効果を持つ因子が存在する。
。ふすま抽出物を経口投与するとマウスの血中総
ふすま抽出物を経口投与するとマウスの血中総IgE
IgEと
と
OVA特異的IgE
OVA特異的
IgE量が有意に減少する
量が有意に減少する。
。また
また、
、ふすま抽出物は
ふすま抽出物はIL
IL--4遺伝子発現を抑制し、
遺伝子発現を抑制し、Th2
Th2の活性を弱めることでTh
の活性を弱めることでThバランスを
バランスをTh
Th1
1
優位にし、
優位にし
、アレルギー状態を緩和していることも明らかとなった
アレルギー状態を緩和していることも明らかとなった。
。さらに
さらに、
、ふすま抽出物に含まれる抑制物質の部分精製に成功した
ふすま抽出物に含まれる抑制物質の部分精製に成功した。
。
3-1.ふすま抽出物のマウスへの投与日程
2.緒言
Oral administration of bran extracts
(×1,×1/20)
BALB/c mice ♀ 0
7
14
21
28 days
6 week - old
(n=6)
Intraperitoneal injection of
0.1 mg OVA-Alum / mouse
ホワイトソルガム(学名 Sorghum bicolor (L
ホワイトソルガム(
(L..)Moench
)Moench)
)はイネ科のタカキビの
一種であり、
一種であり
種であり、グルテンを含まない穀物として知られている
グ テンを含まない穀物として知られている。ホワイトソルガムふ
グルテンを含まない穀物として知られている。
ホ イト
ガムふ
すま抽出物がヒト骨髄腫由来株U
すま抽出物がヒト骨髄腫由来株
U266細胞の
266細胞のIgE
IgE産生を抑制することをこれまで
産生を抑制することをこれまで
に見出してきた。
に見出してきた
。本研究では、
本研究では、OVA
OVA感作した
感作したBALB/c
BALB/cマウスに抽出物を経口投
マウスに抽出物を経口投
与することによるアレルギー抑制効果について検討した。
与することによるアレルギー抑制効果について検討した
。
3-2.ふすま抽出物投与マウス血中の総
ふすま抽出物投与マウス血中の総IgE
IgE、
、及び
特異的IgE
特異的
IgE量の減少効果
g 量の減少効果
OVA特異的
OVA
P < 0.05
4000
IgE concentration ( ng/ml )
5000
IgE concentraation
( ng/ml )
4000
3000
2000
1000
0
【 OVA - specific
IgE 】
3000
2000
血中の総IIIgG、
血中の総IgG
血中の総
G、IgA
IIgA、
A、IgM
IIgMともにわずかな量の増加傾向が認められ
Mともにわずかな量の増加傾向が認められ、
Mともにわずかな量の増加傾向が認められ
ともにわずかな量の増加傾向が認められ、ふすま
抽出物の経口投与により大きく減少しないことがわかった 。 このことは
抽出物の経口投与により大きく減少しないことがわかった。
このことは、
、
OVAに特異的な
OVA
に特異的なIg
Ig抗体にも似た現象が確認された
抗体にも似た現象が確認された。
。
【 Production of total IgG , IgA and IgM 】
Control
×1
×1/20
IgG
10.6±7.1
( 1.0 )
13.7±9.9
( 1.3 )
9.8±7.4
( 0.9 )
IgA
1.0±0.8
( 1.0
10)
1.1±0.6
( 1.1
11)
1.3±1.0
( 1.3
13)
IgM
10.7±6.1
( 1.0 )
12.9±7.9
( 1.3 )
11.1±7.1
( 1.0 )
( mg/ml )
1000
ふすま抽出物は生体内でもIgE
ふすま抽出物は生体内でも
IgE産生抑制効果を
産生抑制効果を示し
示し、
、IgE
IgEに対し
に対し
てのみ抑制効果を与えることが明らかとなった。
てのみ抑制効果を与えることが明らかとなった
。
0
×1
Cont.
ホワイトソルガムふすまをクロロホルム--メタノール
ホワイトソルガムふすまをクロロホルム
メタノール((2:1)溶液で抽出した抽出
物をサンプルとし、メス
物をサンプルとし、
メスBALB/
BALB/ccマウス
マウス((6週齢
週齢))に28
28日間経口投与した
日間経口投与した。
。投与開
始7日目
日目、
、及び
及び21
21日目に卵白アルブミン
日目に卵白アルブミン(OVA)
(OVA)を腹腔内投与した
を腹腔内投与した。
。抽出物の
投与開始28
投与開始
28日目に血液を回収し
日目に血液を回収し、
、血中の抗体の濃度を測定した
血中の抗体の濃度を測定した。
。また
また、
、回収
した脾臓細胞を2
した脾臓細胞を
2日間培養し
日間培養し、
、培養上清中のサイトカイン量を測定した
培養上清中のサイトカイン量を測定した。
。
3-3.ふすま抽出物投与マウス血中の
ふすま抽出物投与マウス血中のIg
Ig量の変動
量の変動
ふすま抽出物の経口投与により、マウスの血中の総IgE
ふすま抽出物の経口投与により、
マウスの血中の総IgE量が有意に低下し
量が有意に低下し、
、
コントロールの約60
コントロールの約
60%
%減少した
減少した。
。また
また、
、OVA
OVA特異的
特異的IgE
IgEの血中量についても
の血中量についても、
、
ふすま抽出液投与により約50
ふすま抽出液投与により約
50%
%の減少傾向が確認された
の減少傾向が確認された。
。
【 Total IgE 】
Serum collection
Splenocytes assay
×1/20
Cont.
×1
×1/20
WS bran extracts
WS bran extracts
3-4.ふすま抽出物投与マウス脾臓リンパ球中の
mRNAの発現に与える影響
mRNA
の発現に与える影響
3-5.ふすま抽出物に含まれる
アレルギー抑制物質の同定
遺伝子の転写段階に対するふすま抽出物の影響を検討した。
遺伝子の転写段階に対するふすま抽出物の影響を検討した
。ふすま抽出
物の投与により、IgE
物の投与により、
IgEの
のmRNA
mRNAの発現量は約
の発現量は約45
45%
%減少した
減少した。
。
また同様にサイトカイン遺伝子においても、
また同様にサイトカイン遺伝子においても
、ILIL -4では約50
では約50%
%減少し
減少し、
、反対
にIFN
IFN-γでは
では20
20%
%増加した
増加した。
。
ふすま抽出物をシリカゲルTLCプレートにて展開し
ふすま抽出物をシリカゲルTLC
プレートにて展開し、
、ヨウ素で染色した。
ヨウ素で染色した。
★溶媒 ( 左 ) ヘキサン:酢酸エチル=
ヘキサン:酢酸エチル=33:1
( 右 ) ヘキサン:酢酸エチル=
ヘキサン:酢酸エチル=33:2
それぞれスポットのIgE
それぞれスポットの
IgE産生抑制効果を検討したところ
産生抑制効果を検討したところ、
、③-2にのみ
にのみIgE
IgE産
産
生抑制効果が認められた。
生抑制効果が認められた
。
【 IgE 】
③-1
Extracts
0.2
0.4
0.6
Ratio
0.8
1.0
1.2
【 IL
IL-- 4 】
【 IFN
IFN--γ 】
③-1
③-3
③-2
0.0
80.0
Cont.
①
②
③
Control
IgE production ( ng/ml )
Control
60.0
40.0
③-2
20.0
④
Extracts
0.0
0.2
0.4
0.6
Ratio
0.8
1.0
1.2
③-3
0.0
0.2
0.4
0.6
Ratio
0.8
1.0
1.2
Th2
Th
2タイプの抑制、
タイプの抑制 、Th1
Th 1タイプの促進が認められた。
タイプの促進が認められた。 アレルギーに
よりThバランスが
よりTh
バランスが、
、Th
Th1
1優位に改善され
優位に改善され、
、アレルギー状態が緩和さ
れたことが示唆された。
れたことが示唆された
。
0.0
0.001
0.01
0.1
Sample concentration ( % )
1
③-2をさらにHPLC
をさらにHPLCにて分画し
にて分画し、
、TOF
TOF-MS
MSにて質量分析を行ったと
にて質量分析を行ったと
ころ、分子量
ころ、
分子量45
455
5.1と475.0の物質
の物質に抑制活性が認められた
に抑制活性が認められた。
。このこ
とから、
とから
、抑制物質は複数存在することが
抑制物質は複数存在することが推察された
推察された。
。